目次
鰻(うなぎ)の特徴

土用の丑の日のウナギなど夏に食べられることの多いウナギ。今回はそんなウナギの特徴を紹介していきます。
栄養満点!
うなぎは様々な栄養素が含まれた栄養満点の食材です。
ビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンD、ビタミンEが豊富で、ミネラルでも亜鉛、カルシウムが豊富、さらに脂質の部分にはDHA、EPAも豊富に含まれていて、うなぎの体の表面のぬるぬるした部分にはムチンという胃腸の粘膜を保護する成分が含まれている、どこを取っても「栄養」の「最高の健康食」なのです。
今より栄養をまんべんなく取ることが難しかった江戸時代などは、ウナギを食べることで暑い夏を乗り切る栄養を摂取していました。
今より栄養をまんべんなく取ることが難しかった江戸時代などは、ウナギを食べることで暑い夏を乗り切る栄養を摂取していました。
漁獲量の減少
うなぎの漁獲量は残念ながら年々減っています。日本においては、明治~戦前までは3,000トン程度の漁獲量を誇っていましたが、1990年には20トンを初めて割り込むなど減り方が著しいです。なお、2019年には過去最低となる3.7トンの漁獲量しかありませんでした。
このように漁獲量が著しく減少しているとどうしても気になるのがうなぎの値段の高騰化です。今でもウナギは高級品のイメージですが将来的には値段がさらに上がるかもしれません。
このように漁獲量が著しく減少しているとどうしても気になるのがうなぎの値段の高騰化です。今でもウナギは高級品のイメージですが将来的には値段がさらに上がるかもしれません。
絶滅危惧種
二ホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)に絶滅危惧ⅠB類に指定されています。これは野生での将来的な絶滅が危惧されている種だということだということです。絶滅してしまうと値段の高騰どころではなく、もうウナギを食べることができなくなってしまいます。それを防ぐためにとる漁業から育てる漁業へ移行するために、養殖などの取り組みが進められています。
諸説あり 鰻(うなぎ)の呼び名

ウナギはかつて「むなぎ」と呼ばれていました。諸説ありますが、天然うなぎの胸が黄色いことから来ている説が有力です。
鰻(うなぎ)の獲り方

うなぎは様々な方法で捕まえて私たちの食卓まで届いています。主な漁獲方法をまとめました。
うなぎ釣り
3月から11月にかけて川でウナギを釣ることができます。基本的にはぶっこみ釣りスタイルといって、餌を付けて、狙いのポイントに投げ、あたりを待つだけです。ウナギは意外と自分の住んでいる近くの川にも生息していることも多いです。絶滅危惧種なので都道府県などから細かいウナギ釣りの規定は定められていますが、それをしっかり守れば自分で釣りを楽しむことも可能です。
養殖
うなぎは昔より数が少なくなってしまいました。その原因は、人間がたくさん捕獲しているだけでなく、自然界にいる天敵からも襲われているためです。特に体が小さいときは様々な動物から獲物として狙われやすく、うまく育ちません。そこで養殖では、1尾0.2gほどのシラスウナギを捕獲し、専用の池で6か月から1年半ほど育てます。そして、シラスウナギが1尾200~300g程度まで育てたところで川などに放流し、成長して私たちが食べられるサイズになるときにまた捕獲します。
この養殖は「育てる漁業」の一環として漁獲量が少なくなってきた現在でとても大切にされています。
この養殖は「育てる漁業」の一環として漁獲量が少なくなってきた現在でとても大切にされています。
完全養殖
完全養殖というのは最初から最後まで、自然界に戻すことなく出荷するときまでうなぎを育てるということです。うなぎは近年完全養殖もおこなわれるようになってきています。しかし、それはいいことばかりではありません。養殖よりもある程度大きくなった魚を最後まで育てなければならないので、費用もかなりかかります。そして、うなぎの生態は解明されていないことも多く、卵をふ化させて育てるのはとても難しいです。
漁獲量減少とコスト、養殖の難しさなどの多くの切実な問題に挟まれながらうなぎは私たちの食卓まで様々な方法で運ばれてきているのです。
漁獲量減少とコスト、養殖の難しさなどの多くの切実な問題に挟まれながらうなぎは私たちの食卓まで様々な方法で運ばれてきているのです。
鰻(うなぎ)料理はこんなにたくさん!

ここからはうなぎ料理を紹介していきます。定番料理からちょっと変わった一品まで気になるものがあれば食べてみてください。
蒲焼(かばやき)
うなぎを開いて串に刺して、脂を落としながら焼いたもののことを指します。実はこの調理法が編み出されたのは江戸時代のこと。それまでは、「かば焼き」というのは、うなぎをぶつ切りしたものを焼いたものでした。なお、この時の様子が蒲(がま)の穂に似ているから「がま焼き」という言葉がつき、のちに転じて「かば焼き」になったというのが通説です。
白焼(しらやき)
白焼きはかば焼きと異なり、たれをつけません。それ以外の調理工程などはほとんど同じです。素材の味をより楽しむことができます。
うな重(うな丼)
うな重は重箱の中に炊いたご飯を入れて、その上にウナギのかば焼きを乗せて、さらにそこに濃厚なたれをかけたものです。なお、お店に行くとよく、「並」や「上」、「特上」など同じうな重でもランクの違いがありますが、ほとんどの場合、使われているウナギや調理法は同じで量だけが異なっています。
ひつまぶし
ひつまぶしはうな重と非常に似た料理になっています。その違いは基本的に器の違い。うな重は重箱を使っていますが、ひつまぶしは小型の櫃(ひつ)にお茶碗三杯程度のごはんを入れて刻んだウナギのかば焼きを乗せたものになっています。ひつまぶしは名古屋の名産としても全国的によく知られています。
串焼き
うなぎは、焼き鳥のように串焼きにしてもおいしく食べることができます。串焼きはおいしいだけでなく、レバー、肝焼き、かぶと、くりからなどを食べることができ、無駄になる部位はありません。数が少なくなってきているウナギを無駄なくおいしくたべることがきるのも魅力です。
肝吸い(きもすい)
肝吸いは、うなぎの内臓を実とするお吸い物のことです。なお、使われている実は肝臓ではなく、腎臓や腸の一部であることが多いです。ほとんどの場合は、実に味があまりついていませんが、その分、食感や風味を楽しむことができます。
うざく
うざくとはきゅうりとウナギを合わせ酢で味付けしたもののことです。アレンジでショウガなどを入れてもおいしく食べることができます。
うまき
うまきとは、卵焼きの中にウナギを具として入れたもの。贅沢な卵焼きとしても知られています。おうちでも簡単にできてごはんのおかずになるため人気も高いです。
煮凝り(にこごり)
冷えたかば焼きのたれなどでうなぎを具としてゼリーのように固まったものを煮凝りと言います。見た目もよく、食卓のアクセントになるためたまに挑戦してみるのもいいかもしれません。
うなぎパイ
イギリスにはウナギパイやウナギのゼリー寄せとして親しまれる料理があります。ぶつ切りにしたウナギを煮込んでから冷やしてゼリー状に固められたものです。温かくしても冷たいままでもおいしく食べることができます。
まとめ
昔から親しまれているウナギ。しかし、近年は絶滅危惧種にも指定されている通り、気軽に食べられるものではなくなりつつあります。今回紹介したレシピの中で食べたことがなかったり、気になる一品があったとすればぜひ試してみてください。