白露とは?その意味と時期・由来について

白露とは?その意味と時期・由来について
二十四節気のひとつである「白露(はくろ)」とは、夏の終わりかけ、そして秋の訪れの間にやってくる時期のことを言います。

現代ではあまり聞くことがなくなった白露という言葉、これにはいったいどんな意味が隠れているのでしょうか。

この記事では、白露という時期の特徴や由来、また時候の挨拶で利用される白露の例文についても解説しています。 二十四節気など、日本に昔からある「季節を表現したキーワード」に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

白露(はくろ)とはどんな日?

白露(はくろ)とはどんな日?
あまり聞きなれない言葉「白露」とは、何なのでしょうか。 まず覚えてほしいのが、白露とは露が降ってあたりが白く輝くように見える時期のことを表現した言葉です。

夏の終わり、そして秋の始まりは、暑さが残りつつも少し肌寒さを感じます。 そういった時期には、気温の変化によって朝露が植物の表面に残って白粒となり、周囲をキラキラと輝かせるのです。 また、気温変化で水蒸気が立ち昇り、自然の景色を白く染め上げます。

白露の時期は9月8日と言われており、ちょうど秋口に差し迫った時期となります。 この時期には、昼夜の時間帯がちょうど同じくらいになることから、半袖から長袖に変わる衣替えの時期が近づいてきます。

白露の読み方

白露は「しらつゆ」と読まれがちですが、正式名称は「はくろ」と読みます。 どちらも間違った言葉ではありませんが、一般的には「はくろ」と読むことが多いのです。

葉の表面に浮かぶ水滴の反射を見て「しらつゆ」と呼ぶ人も多くいますが、二十四節気では「はくろ」と呼ばれるので、使い分けに注意しましょう。

二十四節気とは

白露は二十四節気のうち15番目の名称となりますが、二十四節気とは、いったい何なのでしょうか。 これは、1年を春夏秋冬という4つの季節に分類し、さらに1月ごとに「節頃」「中頃」の2つの季節をつくり、合計24の季節を作り出した言葉となります。

二十四節気の中は、次表のように分かれており、なかには「立春」「夏至」といった聞き覚えのある言葉も含まれています。
季節 二十四節気の名称 日付(新暦)
立春(りっしゅん) 1月節 2月4日
  雨水(うすい) 1月中 2月19日
  啓蟄(けいちつ) 2月節 3月5日
  春分(しゅんぶん) 2月中 3月21日
  清明(せいめい) 3月節 4月5日
  穀雨(こくう) 3月中 4月20日
立夏(りっか) 4月節 5月5日
  小満(しょうまん) 4月中 5月21日
  芒種(ぼうしゅ) 5月節 6月6日
  夏至(げし) 5月中 6月21日
  小暑(しょうしょ) 6月節 7月7日
  大暑(たいしょ) 6月中 7月23日
立秋(りっしゅう) 7月節 8月8日
  処暑(しょしょ) 7月中 8月23日
  白露(はくろ) 8月節 9月8日
  秋分(しゅうぶん) 8月中 9月23日
  寒露(かんろ) 9月節 10月8日
  霜降(そうこう) 9月中 10月24日
立冬(りっとう) 10月節 11月7日
  小雪(しょうせつ) 10月中 11月22日
  大雪(たいせつ) 11月節 12月7日
  冬至(とうじ) 11月中 12月21日
  小寒(しょうかん) 12月節 1月5日
  大寒(だいかん) 12月中 1月21日

白露(はくろ)の由来

白露(はくろ)の由来
二十四節気の15番目にあたる白露ですが、なぜこの名前が付いたのでしょうか。 ここでは、白露という名がついた由来について説明します。

暦の解説書「暦便覧」から読みとく白露

二十四節気の由来や詳しい説明については、徳川宗翰の6男である「松平 頼救(まつだいら よりすけ)」別名、太玄斎が執筆した暦の解説書である「暦便覧」から読みとくことができます。

暦便覧の白露の一節に、「陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也」という説明書きがあり、次のことが分かります。
  • • 陰気やうやく重りて=涼しさと暑さが合わさって
  • • 露にごりて=気温の変化で水蒸気が発生すれば
  • • 白色となれば也=反射して白く輝く
二十四節気は、その季節に起こる特徴が言葉にされる場合が多く、9月8日の温度変化、そして朝方の美しい景色から名づけられたのではないかと推定されます。

白露と関係する風習

白露と関係する風習
暑さと涼しさのちょうど中間となる白露の時期には、2つの風習・行事が行われます。 季節に関係する内容ですので、ひとつずつ見ていきましょう。

重陽(ちょうよう)の節句

日本には、3月3日にある桃の節句を含めて、5つの節句が設けられています。 そのうち、9月9日は「重陽の節句」というものがあり、栗ご飯を食べたり、菊酒を飲んだりと、その季節で味わう食べ物を食べて無病息災・長寿を願う行事が行われます。

中秋(ちゅうしゅう)の名月

旧暦8月15日に夜の月を眺めて月見団子を楽しむ風習です。 家族や恋人など、特別な人と一緒に過ごす風習として古くから親しまれています。

白露(はくろ)の時期に咲く花

白露(はくろ)の時期に咲く花
白露は9月8日を示す二十四節気のひとつです。では、この時期にはどのような草花が咲くのでしょうか。 ここでは、季節を感じる草花についてご紹介します。

シュウメイギク

シュウメイギクとは、大きな花弁を広げた姿が可憐で、フラワーショップなどでも販売されている花です。 「キク」という名前がついていますが、じつはアネモネの仲間であり、中国原産の植物です。

優しい香りを放つ花ということもあり、秋口の温度に併せて甘い香りが空気中に広がるのが特徴です。

ジンジャー

ジンジャーとは、黄色い花を咲かせ、爽やかな香りを放つ花です。

ショウガも英語でジンジャーと言いますが、花のジンジャーは鑑賞用の植物であるため、食用ではありません。 元々は熱帯の植物であることから、その強い香りが香料として利用されています。

時候の挨拶で使う白露(はくろ)の例文

時候の挨拶で使う白露(はくろ)の例文
9月8日である白露の前後に、手紙やはがきを出そうとしているのであれば、手紙の挨拶文として「時候の挨拶」が必要です。

白露に関係する挨拶が3つあるので、例文をひとつずつ紹介します。

白露の候

白露の候とは、この時期を待つという意味から、白露直前に用いられる時候の挨拶です。

例文①
白露の候、夏も過ぎて涼しい時期となりましたが、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか。

例文②
白露の候、皆々様には、ますますのご発展のことと大慶至極に存じます。

白露の折

白露の折とは、この時期が来た時という意味を持つことから、白露当日に対して用いられる時候の挨拶です。

例文①
白露の折、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか。

白露の砌(みぎり)

白露の砌とは、白露の候を柔らかく表現した挨拶です。

例文①
白露の砌、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか。

まとめ

以上、二十四節気の15番目である「白露(はくろ)」の特徴や由来、そのほか白露に関係する植物・言葉についてご紹介しました。

あまり聞きなれない白露という言葉ですが、朝露に濡れ太陽の光でキラキラと白く輝く様子を表すことから、日本独特の美しい季節の表現方法だということがうかがえます。

9月8日を示す白露という季節、この時期には手紙やはがきを出すことも多いと思いますので、時候の挨拶などに用いてみてはどうでしょうか。
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