もんぺで有名な福岡県筑後地方の伝統工芸品、久留米絣について

もんぺで有名な福岡県筑後地方の伝統工芸品、久留米絣について
福岡県の筑後地方で製造されている伝統工芸品「久留米絣(くるめがすり)」は、重要無形文化財に指定されている日本の大切な技術の結晶です。 そんな久留米絣は、別名「もんぺ」とも呼ばれており、江戸時代後期より使用されている衣類だということをご存じでしょうか。

この記事では、久留米絣の特徴や歴史、そしてどのようなファッションがあるのかを詳しく解説しています。 現代でもファッションとして利用されている衣類ですので、ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。

久留米絣とは?

久留米絣とは?
久留米絣とは、江戸時代後期から登場した歴史ある衣類です。

そんな久留米絣にはいったいどのような特徴があるのでしょうか。 ここでは、詳しい特徴と「絣(かすり)」に関連する情報を紹介しています。

久留米絣の特徴

久留米絣は染料によって着色された衣類であり、もともとは簡易的に着用できる農民向けの着物として親しまれていました。 また、久留米絣は別名もんぺと呼ばれており、戦時中に利用されていたことで有名です。

そんな久留米絣は織物として時間をかけてつくられることから、作業工程がかなり緻密であるという特徴を持ちます。

職人が手作業で作る久留米絣の場合は、なんと数か月も時間をかけて作成するほど複雑な工程が絡み合っているのです。

現在ではファッションアイテムとして利用されるほか、暮らしの中でさりげなく利用されています。

久留米絣の生地

久留米絣の生地は、多年草の「ワタ」の種子から採れる「綿素材」が使用されています。 綿素材を使った久留米絣は、夏に涼しく冬は暖かいという特徴を持ち、汚れにも強いため古くから愛用されています。

高温多湿な日本では綿素材の服装が過ごしやすく、まだ合成繊維などが生まれていなかった江戸時代後期には、重要な素材として町民から愛用されていました。

絣の種類

久留米絣という名前に入る「絣(かすり)」とは、何なのでしょうか? これは、綿素材の絣糸を用いて模様を付ける織物技法のことを言い、絣の技法を用いることによってバリエーションに富む久留米絣を作成できるのです。

そして久留米絣は代表的なものとして、次のような種類が存在します。

  • • 紺絣:紺色の生地に白い生地で絣を織りつけたもの
  • • 矢絣:複数色の生地を使って矢羽根模様を出したもの
  • • 絵絣:星や花、十文字といった多彩な模様を表現したもの


また、絣に使われる素材は、久留米絣の綿素材の他にも、次のような素材を使う地域があります。

  • • 絹素材:大島、結城など
  • • 麻素材:越後上布、能登上布など
  • • 綿素材:久留米、薩摩など


地域や素材の生産によって、さまざまなバリエーションのもんぺがあることから「久留米絣」といった地域特有のブランドが登場していったのです。

久留米絣の歴史や由来

久留米絣の歴史や由来
久留米絣のルーツを探ると、今から約220年前の江戸時代後期までさかのぼる必要があります。

この時代では、すでに織物技術が発達しており、様々な地域で織物を使った衣類が販売されていました。 その中に一人、当時12~13歳だった「井上伝(いのうえでん)」という少女がいました。 じつは、この少女の発案によって久留米絣が登場したと言われています。

少女によって発案された久留米絣の技術は、すぐに注目され、多くの購入者が現れます。

また、そこから時代が進み、昭和初期の戦時中になると、久留米絣を含む「もんぺ」は、傷や汚れに強く快適な着心地であることから、戦争のさなかにも着用しやすい服装であると注目され、需要が高まりました。

久留米絣の需要も例に漏れず高騰し、当時は年間200万~300万の久留米絣が製造されたと言われています。

しかし戦争が終わり、海外文化が伝来してグローバルな文化となった日本では、もんぺの需要が激減していきました。 それに伴い購入者も減っていますが、1957年に「国の重要無形文化財」、1976年に「経済産業大臣指定伝統工芸品」に指定され、高級衣類として販売されるようになっています。

現代でもファッションとして人気の久留米絣

現代でもファッションとして人気の久留米絣
着物として着用されてきた久留米絣ですが、近年ではファッションとして人気を集めているのをご存じでしょうか。

ここでは、3つのポイントからどのようなファッションとして取り入れられているのかを解説します。 また、現在「久留米絣」を販売しているファッションブランドも紹介しているので、ひとつずつ見ていきましょう。

着物や帯

現在、久留米絣はもんぺの製造だけでなく、その技法を活かした織物の販売を行っています。

職人によって生み出された着物や帯は、オシャレな柄と丈夫さが人気を持っており、現在でも着心地の良い和服として利用されているのです。

絣は自然や記号をイメージした柄を表現できることもあり、利用できる着物と帯のバリエーションが豊富にあります。

生地の色も複数のバリエーションがあるため、ぜひ自分好みの和服を探してみてください。

もんぺ

久留米絣と言えば、やはりもんぺが有名です。 藍色に染められた生地に、複数の着色糸を利用して柄をつけたもんぺは、落ち着きのある色合いが人気を集めており、部屋着、作業着、ファッションとして利用されています。

ふんわりとした見た目がシンプルな服装と合い、近年ではジャケットなどと組わせて利用することが多くあります。

もんぺは色合いが豊富であるため、どんなファッションとも組み合わせやすいという特徴を持ちます。 とくに夏の暑い時期には、ファッションもんぺと呼ばれるオシャレなもんぺを着用する人が増えています。

ファッションブランド

もんぺを含めた着物、帯といえば、呉服店を訪問しなければ手に入らないイメージがあります。
じつは久留米絣を取り扱うファッションブランドが全国展開しているのをご存じでしょうか。
特に有名な2店舗を紹介するので、ぜひ利用してみてください。

うなぎの寝床

福岡県八女市を拠点とする「うなぎの寝床」では、地域文化商社として、現代向きのオシャレな伝統工芸品が販売されています。

取り扱っている種類は次のとおりであり、そのひとつに久留米絣が含まれています。

  • • 衣類
  • • 食品
  • • インテリア
  • • アート
  • • 本
  • • ギフト
販売されているものはすべて職人の手によって造られたものであり、現代でも通用するオシャレアイテムが多数販売してあります。

全国展開しているだけでなく、ネット販売も行っていますので、日本の伝統工芸品や久留米絣に触れるためにもチェックしてみてください。

儀右ヱ門(ぎえもん)

久留米絣は「儀右ヱ門」というブランド名でも販売されており、複数の柄を組み合わせたエレガントなデザインが人気を集めています。

久留米絣に用いられている柄はどれも現代チックなものばかりで、全く古さを感じません。

こちらのブランドもネット販売に対応しているため、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

以上、福岡県の筑後地方で有名な「久留米絣」の特徴や歴史、そして現代でも楽しめるファッションについて解説しました。

長い歴史を持つ久留米絣ですが、時代の流れに合わせて絣のデザインも少しずつ変化しています。

バリエーションに優れる久留米絣は、現代でも通用するオシャレなファッションが沢山あるので、この機会にあなたの服装に取り入れてみてはどうでしょうか。
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