耕作放棄地とは?耕作放棄地の活用方法から借り方、補助金制度などを解説

耕作放棄地とは?
農業従事者の高齢化や後継者問題で放置されたままの農地、耕作放棄地。この30年の間、耕作放棄地は全国的に増加し続けています。その数、昭和60年代に比べると約4倍。

耕作がなくなった荒れ果てた土地は、雑草が生い茂り、害虫や鳥獣が発生します。また、農用排水設備が故障したり、災害が発生したりと、近隣環境へも大きく影響を与えてしまいます。全国的に耕作放棄地の増加は深刻な問題です。近年では、耕作放棄地を再生しようと、新規就農者や新たなビジネスを始めたい企業を誘致し、地域の活性化や雇用の創出を図る自治体も増えてきています。

今回は耕作放棄地を有効活用するために必要な情報をアラカルトでお届けします!

そもそも耕作放棄地とは?

耕作放棄地とは、農林水産省によって「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義されています。
遊休農地(現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地)、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている基準に該当する農地)とは大きく異なります。

耕作放棄地増加の原因

冒頭でも挙げた通り、耕作放棄地が増加する原因は、農業従事者の高齢化や後継者不足による農業人口の減少が大きくあります。 農業従事者が少なくなり、土地が放置されてるのです。

耕作放棄地増加の問題点

では、このまま耕作放棄地が増えてしまうと一体どのような問題が起こるのでしょうか。

農地として再利用ができなくなる

長期間放置され続けると、土壌の質はどんどん悪化、雑草や害虫、鳥獣も増え放題で、荒廃農地と化してしまい、再利用が難しくなります。

食料自給率の低下

農地が減ると、国内の農作物の生産量も減り、食料自給率も低下…。 食料自給率の低下には新型コロナウィルスをはじめとしたさまざまな要因がありますが、農地減少要因の一つです。

ゴミの不法投棄

見通しが悪くなるくらいに荒れ果てた土地は、ゴミや産業廃棄物が不法投棄されやすくなります。

こういった問題が重なると、その農地を含めた周辺の景観を損なうだけでなく、再生するために多くの改修費用が必要になります。

耕作放棄地の活用例

耕作放棄地の活用例

農地として再生する

作業負担の少ない農作物を作付けすることで、耕作放棄地を農地として再生します。例えば、そば・なたね・果物・さつまいも・大豆・山菜・お茶などです。(農林水産省「耕作放棄地への導入作物事例」より。)
これらは、比較的少ない労働時間や作業的な負担で栽培することができるので、人手が足りない農家さんでも運用することが可能といわれています。

農地を転用して他の用途で使用

例え耕作放棄地であっても、地目が農地であればさまざまな手続きが必要です。加えて、農地転用は、日本の食料自給率に係わってくるため厳しい審査が課せられます。
市街区域にある生産緑地以外は、農業委員会に申請することで農地の転用が可能。 市街化区域外の農地は都道府県知事の許可を得なければなりません。 転用手続きは大変な場合もありますが、認められると活用の幅も広がります。 手入れもできずただただ放っておくより良いのではないでしょうか。

耕作放棄地の借り方

耕作放棄地を借りて、または買って農業はじめてみたい!というあなたへ。以前、農地を売る場合は、売り手も買い手も農家でなくてはなりませんでした。しかし、2014年度から各自治体において「農地バンク」という仲介サービスがはじまり、農家でない人も借りれるように。
公的機関を通すため、貸す側も借りる側も、お互い安心して農地の貸し借りができます。農地を借りるには、各都道府県の農地バンクが実施する「借受公募」から応募しましょう。

耕作放棄地再生補助金

耕作放棄地再生には「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」という制度が利用できます。農業を再開する際、土づくりから施設の整備や設備の設置といった再生作業を支援するための補助金です。
他にも、地方自治体によっては個別に耕作放棄地再生のための補助制度を設けていることも多いので、ぜひ有用しましょう。

まとめ

耕作放棄地の増加は全国的に深刻な問題であるため、再生や対策に対しての補助制度が多く用意されています。農地として再利用したい方や、耕作放棄地を転用して別の目的で使いたい方。ぜひ一度ご希望の地方自治体に相談してみてはいかがでしょうか。
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