実用

玉露とは?煎茶・抹茶との違いと、うま味を引き出す淹れ方

高級なお茶といえば玉露。名前は知っていても、煎茶と何が違うのか、なぜ高価なのかまでは意外と知られていません。
違いを生んでいるのは「日光を遮って育てる」という一点です。この栽培方法の差が、味・成分・価格のすべてを分けています。
この記事では玉露の正体を、煎茶・かぶせ茶・抹茶との比較で整理し、持ち味を引き出す淹れ方まで解説します。

玉露とは日光を遮って育てたお茶

玉露は、収穫前の一定期間茶園に覆いをかけ、日光を遮って育てた茶葉から作られます。この栽培方法を被覆栽培(ひふくさいばい)といいます。
覆いには藁(わら)、こも、寒冷紗(かんれいしゃ)などが使われます。玉露の被覆期間は収穫前のおよそ20日前後と長く、これが特徴を決定づけます。

なぜ日光を遮ると味が変わるのか

お茶の味を決める主な成分は2つです。
  • テアニンなどのアミノ酸:うま味・甘みのもと
  • カテキン:渋みのもと
茶葉は日光を浴びるとアミノ酸をカテキンへ変えていきます。つまり日光を遮ればアミノ酸が残り、カテキンが増えないということです。
結果として玉露は渋みが少なく、濃厚なうま味を持つお茶になります。加えて被覆栽培特有の覆い香(おおいか)と呼ばれる独特の香りが生まれます。

高価になる理由

覆いをかける作業には手間と資材がかかります。さらに日光を遮ることで茶葉の収量そのものが落ちます。手間が増えて採れる量が減るため、価格が上がります。

煎茶・かぶせ茶・抹茶との違い

同じ茶葉から作られながら、育て方と加工で別のお茶になります。被覆期間の長さで並べると分かりやすくなります。
  • 煎茶:被覆なし。日光をしっかり浴びて育つ
  • かぶせ茶:被覆期間は短め。煎茶と玉露の中間
  • 玉露:20日前後の被覆。うま味が強い
  • 抹茶:玉露よりさらに長く被覆し、碾茶(てんちゃ)に加工して石臼で挽く

煎茶との違い

最も対照的な組み合わせです。煎茶は日光を浴びて育つため、さっぱりとした爽やかな渋みが持ち味になります。玉露のうま味とは方向が逆です。
どちらが上位ということではなく、役割が違います。食事に合わせるなら煎茶、お茶そのものを味わうなら玉露、という選び分けが自然です。
煎茶と玉露の違いは煎茶と玉露の違いとは?でも触れています。

抹茶との違い

抹茶も被覆栽培で育てますが、その後の加工が異なります。玉露は揉んで茶葉に仕上げるのに対し、抹茶は揉まずに乾燥させた碾茶を石臼で挽いて粉にします。
つまり玉露は茶葉を湯で抽出して飲むもの、抹茶は茶葉そのものを粉にして飲むものです。

玉露の淹れ方

玉露は淹れ方で味が大きく変わります。煎茶と同じ感覚で淹れると持ち味が出ません。

低い温度で淹れる

最大のポイントは湯の温度です。玉露は50〜60℃という低温で淹れます。
理由は成分の性質にあります。渋みのカテキンは高温で、うま味のアミノ酸は低温でよく溶け出します。低温で淹れることで、うま味だけを引き出せるわけです。
沸かした湯を湯冷ましや別の器に移し替えると温度が下がります。器を一つ移すごとにおよそ10℃下がるのが目安です。

手順

  • 急須に茶葉を入れる。煎茶よりやや多めにする
  • 湯を50〜60℃まで冷ます
  • 静かに注ぎ、2分ほど待つ
  • 濃さが均一になるよう、少しずつ回し注ぐ
  • 最後の一滴まで注ぎきる。残すと二煎目が渋くなる
一煎目は少量で濃厚な味わいになります。二煎目はやや温度を上げて淹れると、また違う表情が出ます。

やってはいけないこと

  • 熱湯を注ぐ:渋みが出て玉露の意味がなくなる
  • 長く蒸らしすぎる:えぐみが出る
  • 湯を注ぎ足しながら使う:味が濁る

茶がらも食べられる

玉露の茶がらは、うま味成分が多く残っているためそのまま食べられます。ポン酢や少量の醤油をかけるとおひたしのようになります。
茶葉には水に溶けない栄養も含まれるため、高価な玉露ほど最後まで使いきる価値があります。

保存方法

茶葉は光・湿気・においを嫌います。開封後は次の点に気をつけてください。
  • 密閉できる容器に移す:缶や茶筒が向く
  • 冷暗所に置く:コンロまわりや窓際は避ける
  • においの強いものと並べない:茶葉はにおいを吸う
  • 開封後は早めに使いきる:香りは日ごとに落ちる
冷蔵庫に入れる場合は、取り出したあと常温に戻してから開けるのが原則です。冷えた茶葉に結露が生じると一気に劣化します。

よくある質問

玉露はどこの産地が有名ですか

京都の宇治、福岡の八女(やめ)、静岡の岡部などが玉露の産地として知られています。被覆栽培の手間をかけられる産地に限られるため、生産量は日本茶全体のなかでごくわずかです。

カフェインは多いのですか

玉露は茶葉を多めに使い、成分を濃く抽出するためカフェインは多めです。就寝前や、カフェインを控えている方は量に気をつけてください。

普段飲みには向きませんか

価格と手間を考えると日常使いには煎茶が向きます。玉露は来客時やゆっくり過ごしたいときに淹れるお茶と考えると、無理なく取り入れられます。

玉露と煎茶、贈り物にはどちらがよいですか

特別感を出すなら玉露ですが、相手が淹れ方を知らないと持ち味が出ません。日常的に飲む方には煎茶、お茶好きの方には玉露、と選び分けると喜ばれます。

まとめ

玉露について、要点を整理します。
  • 玉露は収穫前20日前後、日光を遮って育てたお茶
  • 日光を遮ることでうま味のアミノ酸が残り、渋みのカテキンが増えない
  • 被覆期間の順に煎茶<かぶせ茶<玉露<抹茶
  • 淹れる温度は50〜60℃。熱湯では持ち味が出ない
  • 茶がらは食べられる。最後まで使いきれる
玉露は、手間をかけた分だけ応えてくれるお茶です。温度と時間さえ守れば、家庭でもその違いははっきり分かります。
日本茶と作法については煎茶道とは?茶道との違いも解説します、和の文化全般は和の文化のまとめもあわせてご覧ください。
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