最近は食べ物や雑貨などに和テイストが感じられるものが人気ですが、住宅に関しても古民家をリノベーションしたり、和モダンなインテリアが注目されています。
和室は畳や障子、襖などがあるイメージですが、天井についてはあまり考えていなかったというケースも多く、いざ決めようとしても悩むこともあるでしょう。
そこで、今回は和室の天井の種類について解説します。
和室の一般的な天井は8種類
一般的な和室の天井は8種類あり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 格天井:日本の伝統的な天井
- 竿縁天井:数寄屋建築で多く採用
- 目透かし天井:和室の印象がすっきりする
- 折上天井:洋風のリビングにも採用される
- 船底天井:部屋を広く感じさせる
- 網代天井:和風モダンな部屋にも合う
- 大和天井:京の町屋や古民家でみかける
- 化粧屋根裏表し:茅葺き屋根の住宅で用いられる
1.格天井(ごうてんじょう)
格天井は日本の伝統的な天井で、寺社など格式高い建造物に使われています。
細い格縁(ごうぶち)という格子を大きく縦横に組まれていて、格子天井(こうしてんじょう)とも呼ばれています。
小さな格子を組み、上に蓋をしない小組天井(こぐみてんじょう)や太い格縁を組んだ組入れ天井とともに格縁がメインとなるデザインの天井です。
2.竿縁天井
竿縁天井はイナゴ天井とも呼ばれ、細長い木材でできた竿縁を平行に並べた天井板を支えて作られた天井です。
安土桃山時代には茶室や数寄屋建築などで多く採用されてており、和室の天井というと竿縁天井のイメージを浮かべる人も多いです。
3.目透かし天井
目透かし天井は、天井板を張る際に板と板の間に少し隙間を空けて作られた天井で、和室の印象をすっきりさせたいときにおすすめです。打ち上げ天井と呼ばれることもあります。
4.折上天井
折上天井は、天井の一部が上に凹んだようになっている天井で、昔のお城のような格式高い部屋に使われていました。
部屋を広く感じさせてくれるため、洋風のリビングなどにも採用されてることもあります。また、間接照明を設置しておしゃれな和室に仕上げる際にもおすすめの天井です。
5.船底天井
船底天井は天井の中央ラインが船の底のように高くなっていて、端に向かってなだらかに下がる勾配がついています。
折上天井と同じように部屋を広く感じさせる効果が期待できます。
6.網代天井
網代天井はスギやヒノキ、サワラなど木の皮を薄く剥いだ片板(へぎいた)状にして交互に編んで作った天井です。
矢羽模様、籠目模様、市松模様など編み方によって模様が変えられ、伝統的な和室にも和風モダンな部屋にもマッチします。
7.大和天井(ささら天井)
大和天井は2階の床板の裏面を天井板として使った状態です。京の町屋や古民家でよく見かけられます。
2階の床材を支える部分をささらと呼ぶことから、ささら天井とも呼ばれています。
8.化粧屋根裏表し
化粧屋根裏表しは、屋根の梁や垂木などを天井板で隠さない仕上げの天井です。
茅葺き屋根の住宅で囲炉裏の煙で茅を燻すためにあえて天井を張らない場合などに使われています。
和室の天井を決めるときの注意点は3つ
和室の天井を決める際に押さえておきたいポイントが3つあります。
1.和室の天井にまつわるタブーに注意
古来からの言い伝えや風習によってさまざまなタブーが存在しますが、和室の天井についても注意が必要です。
特に注意したいのが、竿縁天井で竿縁が床の間に対して垂直にならないようにしましょう。
これは刀に刺されるイメージにつながり、昔の武家屋敷では自然とタブー化されたもののようです。
また、竿縁がない目隠し天井の天井板や床の間に接する畳も床の間に対して平行になるよう施行されるのが一般的です。
2.地域によって天井板の規格が違う
天井板の幅の規格では、関東と関西でサイズが異なります。
天井板の高さが3,000mm(一間半)と4,000mm(二間)あるのは共通していますが、幅は関東が440mm、関西では470mmの天井板が使用されます。
3.木材以外で仕上げる天井もある
ここまでご紹介した和室の天井は全て木材で作られたもので、昔から日本にあったスギ・ヒノキ・サワラ・竹などが使われています。
木材以外では漆喰や和紙などが使われるケースもあります。紙は木材に比べてコストも抑えられ施工性も高く、和風モダンな和室作りにはおすすめです。
形式にとらわれすぎず自分に合った和室を考えよう
自宅に和室を作る際は畳や襖などのイメージははっきりあるのに、天井は特に決めていない、どうでもいいと思う人も少なくありません。
しかし、天井も和室の中では面積の多い部分で、和室全体のイメージを左右する大切なものです。
形式的なものが多い昔ながらの和室のイメージにとらわれ過ぎず、今回ご紹介した和室の天井の種類やタブーなども参考に、自宅にあった和室のデザインを考えてみるのもおすすめです。