床の間に使う木材のひとつ、床柱(とこばしら)の種類について

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「床の間」の間取り検討で重要になるのが、部屋の雰囲気をつくる化粧柱の「床柱(とこばしら)」です。木の素材を活かしたおしゃれな柱であることから、住宅によって様々な種類の木材が利用されています。

この記事では、床柱の持つ特徴のほか、床柱に利用される木材の種類について詳しく解説していきます。利用する樹木で異なる見せ方についてもご紹介するので、床柱選びでお悩みだという方はぜひチェックしてみてください。

床柱(とこばしら)とは?

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「床柱」とは、床の間の縁部を構成する1本の柱のことです。和室を構成する柱は成形された真四角の柱が用いられますが、床柱だけは樹木の自然な形状を残した作りにされることが多く、次のような加工が施された丸太を用いて床の間に設置します。
  • ・天然絞り丸太
  • ・天然磨き丸太
  • ・人工絞り丸太
  • ・人工前堀床柱
  • ・錆丸太
  • ・名栗柱
  • ・変木出節柱
たとえば「天然絞り丸太」なら、樹皮を剥がした状態の自然の丸太がそのまま使われています。また「天然磨き丸太」なら、表面が滑らかになるまで磨き上げた丸太を使用します。他にも天然カビを付着させて加工する「錆丸太」など、加工方法によって床柱の見た目や色合いが変化する面白さがあります。

人をもてなすために重要な場所である「床の間」の意匠的な意味合いが強く、選ぶ丸太の見栄えによって、一緒に設置する掛け軸や置物、そして和室全体の印象を大きく変えてくれる特徴をもっています。

床柱(とこばしら)の種類

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床の間をおしゃれに表現する「床柱」には、様々な種類の天然丸太が利用されています。そのなかでも国内利用が多い有名な樹木を15種類ご紹介します。選ぶ樹木によってそれぞれ見た目や雰囲気が異なるので、床の間の雰囲気やデザインを検討するためにチェックしてみてください。

檜(ひのき)

日本特有の有名な樹木であり、高級家具や住宅の構造部にも利用されている木材です。まっすぐ成長する見た目が特徴的であり、樹皮を剥がした表現がツヤツヤの光沢を発することから気品を感じる材料です。また、樹木の繊維が細かいことから絹糸よりも滑らかだと言われており、ヒノキ特有の「森の香り」が部屋に広がるため、日本家屋に利用するポピュラーな木材として人気を集めています。

赤杉

少し赤みがかった見た目が特徴的な樹木であり、日本全国に分布しています。樹木の断面が赤色をしていることからこの名前がついており、乾燥が早く程よい耐久性を持つことから、建築用材としても利用されています。檜(ひのき)に次いで日本で頻繁に利用されている木材であることから、床柱としても人気を集めています。

黒神代杉(くろじんだいすぎ)

黒神代杉は、樹木の中でもかなり希少な木材であり、その製造方法は自然の力によって時間をかけて作られていきます。黒神代杉のつくられ方はかなり特殊で、地震や地殻変動によって地面の中に埋もれた杉が腐ることなく生き残り、黒紫色へと変色して完成する杉材であるため、ほとんど入手することができません。近年ではその色身を表現するため、杉の樹木に薬品処理を行って黒神代杉と似た色に染める方法など、研究を重ねて類似樹木が製造されています。このとき、本物の黒神代杉は莫大な費用がかかることから、床の間にこの樹木を利用する家庭はかなり少ない状況です。

床柱の中でも格式が最上位である樹木が「松」です。樹脂を多く含む松は防虫効果があるだけでなく、その香りの良さから和室全体を居心地よい場所へ変えてくれます。国内では、四方柾目、日向松、霧島松を代表とする杢目のものが床柱として利用されています。松の種類によってはまっすぐ成長しないものも多く、特殊な加工を行い床柱として利用されます。

天然唐松

本州を中心に分布する樹木である「天然唐松」は、高い強度としなりをもつ樹木で、表面に赤みを帯びていることから、別名「信州赤松」と呼ばれています。天然唐松は成長に伴いねじれが生じることが多く、直線に伸び、木目が細かい天然唐松は高級品として取り扱われます。

栂 (つが)

栂は、材質がかなり堅く強固であることから「大工泣かせの木」と言われている樹木です。白みを帯びた見た目が特徴的であり、檜(ひのき)に比べて木目がまっすぐなのが特徴です。主に関西地方の床柱として人気を集めています。

一位 (いちい)

紅褐色の樹芯から表面に向かって黄白色へ変化していくグラデーションをもつ樹木です。「一位」という名前から縁起の良い樹木として床柱に利用されています。

槐(えんじゅ)

黒茶色の樹芯と黄色の表面の2トーンカラーに分かれたおしゃれな樹木です。主に関西・中部地方で利用されることが多く、アジア諸国でも植樹されていることから、海外輸入されるほどの人気を集めています。また、加工部によって色味が変化することから、床の間の「落とし掛け」などにも利用されています。

楓 (かえで)

淡茶色をした見た目が特徴的な樹木であり、日本では「紅葉」として有名です。美しい光沢を持つ滑らかな見た目が人気を集めており、優雅な雰囲気を作りやすいのが特徴的です。当時の日本家屋では、床柱として楓が頻繁に利用されていました。

欅 (けやき)

全国に分布する広葉樹の中でも有名な樹木であり、優れた耐久性を活かし、神社やお寺など神仏に関わる建物の建材として利用されています。近年では、欅の生産が減り貴重材として扱われるようになっています。

黒柿(くろがき)

黒色と濃茶色がまじりあった見た目が特徴的な樹木です。これを孔雀模様と言い、滑らかな手触りと細かい木目が床柱として人気を集めています。ただし、現在では黒柿の生産が減り、貴重材として取り扱われるようになっています。

紫檀 (したん)

その名の通り、紫色をした見た目が特徴的な樹木であり、西洋では「ローズウッド」とも呼ばれています。樹木からほのかにバラの香りがすることから、和室の雰囲気を華やかにしてくれる床柱として人気を集めています。

黒檀(こくたん)

南方アジアに分布する黒色と濃赤色が入り乱れた樹木であり、美しい光沢を出すことから妖美な魅力を感じる樹木です。緻密な肌目をしていることから高級感を感じ、和室の雰囲気に重みを加えるキーカラーとして人気を集めています。

花櫚 (かりん)

東南アジアに分布するマメ科の樹木であり、木目が複雑に入り乱れているのが特徴です。縦方向に延びる縞模様が美しいことから、床柱としても人気を集めています。

月桂樹

南アジアに分布するクスノキ科の樹木であり、樹木の葉は、香辛料のローリエとして利用されることで有名です。紫褐色と黒紫色で構成されるきれいな縞模様が特徴的であり、輸入利用されるくらい床柱としての人気を集めています。

まとめ

以上、床の間に設置する「床柱」の特徴や、床柱に利用される樹木の種類について詳しく解説しました。利用する樹木の種類によっては、その樹木特有の芳香効果や意匠効果があるので、実際に樹木をその目で確かめるのがオススメです。家づくりで床の間の間取りを考えているのなら、和室の雰囲気を作り出す樹木の検討をしてみてはいかがでしょうか。
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