畳のへりを踏んではいけない4つの理由とは?

「畳のへり(畳縁)を踏んではいけない」といわれる4つの理由とは?

「畳のへり(畳縁)を踏んではいけない」といわれる4つの理由とは?
畳のへりを踏んではいけないといわれる4つの理由は以下のとおりです。
  • ●上下関係を分ける境目とされていたから
  • ●家紋をあしらった紋縁を踏むことになるから
  • ●畳を傷める要因となるから
  • ●暗殺者の攻撃から身を守るため
この他、畳の段差に注意するためという説もあります。畳替えをしてからしばらくすると畳のへりが浮いてしまうことがあるため、躓いてしまう危険があるのです。そのため普段からたたみのへりを踏まないように注意しておけば、躓いてしまうのを防げます。 現代でも通用するのはこの理由かもしれません。しかし先に挙げた4つの理由のように、主に武家社会で浸透していたしきたりの影響が大きいとされています。

上下関係を分ける「境目」とされていたから

上下関係を分ける「境目」とされていたから
畳のへりは昔、上下関係を分ける境目とされていました。 畳だけでなく家の敷居でも同じような考え方がされていたといいます。敷居は家の結界を意味しており、外界と内界の境目とされていたのです。これは日本に限ったことではなく、アジア特有の思想として各国で見られます。 家の敷居の中に入ったら相手の聖域に入っていると意識しなくてはいけません。上下関係を分ける境目とされる畳のへりを踏む行為は、格式を無視した無礼な行為にあたります。 また、畳のへりに使われる色や柄にも身分の違いが表れています。
  • ●繧繝縁(うんげんべり):天皇や三宮、上皇が用いる格式の高い畳のへりの種類です。神仏像などでもこの色柄が用いられています。
  • ●高麗縁(こうらいべり):白と黒で織られた畳のへり。高麗縁にもいくつかの種類があり、親王や摂関、大臣などは大紋高麗縁、公卿は小紋高麗縁を用いています。神社仏閣の屋敷や茶室の床の間で見ることが可能です。
  • ●紫縁:四位五位の殿上人が用いる色柄。
  • ●黄縁:四位五位の六位以下が用いる色柄。
  • ●縁なし:無位の者が用いる色柄。
上記のような畳のへりの色柄は、現在でもさまざまな場所で見られます。興味のある方はぜひ調べてみてください。

家紋をあしらった紋縁(もんべり)を踏むことになるから

家紋をあしらった紋縁(もんべり)を踏むことになるから
畳のへりに家紋をあしらった紋縁が江戸時代の武家社会で流通していました。現在の一般的な畳にはほとんどありませんが、武家屋敷や仏閣などで見られます。 家紋は家の格式や権威を象徴するもので、それを踏むことは決して許される行為ではなかったのです。武家社会は特に格式へのこだわりが強く、紋縁を踏む行為は相手への侮辱的な行為として認識されていたといいます。

畳を傷める要因となるから

畳を傷める要因となるから
畳のへりを踏むと、畳を傷める要因となります。実は、昔の畳は今の畳と比べて畳縁の加工方法が異なり、耐久性がやや低かったのです。昔の畳縁は植物染めが多く、色落ちしやすく耐久性が低いものでした。 畳縁を踏むと傷みやすかったため、傷みにくい中心部分を踏んでいたのです。 畳の劣化をできる限り防ぐために、「畳のへりは踏んではいけない」といわれていたのだと考えられます。現在の畳は昔と比べて畳の強度が上がり、すぐに劣化してしまうことはなくなりました。そのため、昔ほど畳の劣化を心配する必要はないでしょう。

暗殺者の攻撃から身を守るため

暗殺者の攻撃から身を守るため
武家社会では暗殺者の攻撃から身を守るため、「畳のへりは踏んではいけない」といわれていたといいます。 とても恐ろしいことに、昔は畳と畳の隙間から刃物や槍を差し込まれ暗殺される事態がままありました。畳のへりを踏むと畳からの光の漏れ具合が変わり、暗殺者側に位置を特定されやすくなってしまいます。暗殺者に自分の位置を知らせないためにも、畳のへりは踏まないように常に注意していたようです。 一瞬気を抜いてしまっただけでも暗殺される恐れがある、今では考えられない時代の作法が当時は広く浸透していたのでしょう。

まとめ

「畳のへりは踏んではいけない」といわれるのは、武家社会で浸透していた作法が理由となっています。畳のへりを踏むと劣化しやすいといわれていた時代もありましたが、現在の畳は強度が上がり劣化しにくくなっているためあまり気にしすぎる必要はありません。 とはいえ和室のマナーとして現代まで言い伝えられているものなので、和室に招かれた際は畳のへりは踏まないように心がけるとよいでしょう。 参考URL
https://www.tori-matsu.jp/wordpress/?p=327
http://www.kariginu.jp/kikata/hoka.htm
無効化する