
これから書道を始める方は、まず道具を揃えることから始める方が多いはずです。子どもの頃に学校で習字を習って、なんとなく使っていた道具を思い出す方は多いでしょうが「大人になった時にどのような道具を揃えればいいのだろう」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は書道を始めるために必要となる道具について詳しく解説します。必須と言われる道具から具体的な筆の種類や硯の種類なども紹介しますので、この記事を参考にして書道に必要な道具を揃えましょう。
そこで今回は書道を始めるために必要となる道具について詳しく解説します。必須と言われる道具から具体的な筆の種類や硯の種類なども紹介しますので、この記事を参考にして書道に必要な道具を揃えましょう。
目次
書道を始めるために必須の「文房四宝」
書道を始めるために必ず必要となる道具のことを「文房四宝」と言います。文房四宝は筆・墨・硯(すずり)・紙の4つのことです。
筆
書道は筆に墨をつけて文字を書きます。どの筆で書くかで仕上がりが変わってきますから、筆選びは非常に重要です。またどのような書体で書くかによっても適切な筆は異なります。一般的に書道を始める際には太筆と細筆を揃えるのが良いでしょう。
墨
筆で紙に文字を書くためには、墨がなければ始まりません。元々は固形墨しかありませんでしたが、明治時代には墨汁が生まれました。ただし現在も書道家は固形墨を使用する人が多く、書道教室などでも出展する作品の場合は固形墨を使う、など使い分けることが多いです。
書道は精神修行の一環でもありますから、固形墨を磨ることは心が研ぎ澄まされ精神統一の一貫となります。ただ、練習の際には墨汁を使うのが一般的ですし、書道家でも大きな作品を作るときには墨汁を使うケースもあります。
書道は精神修行の一環でもありますから、固形墨を磨ることは心が研ぎ澄まされ精神統一の一貫となります。ただ、練習の際には墨汁を使うのが一般的ですし、書道家でも大きな作品を作るときには墨汁を使うケースもあります。
硯
硯は墨を磨るためにも欠かせない道具ですし、墨をつけた筆先を整えるためにも欠かせません。硯に使われている石の素材によって、固形墨の磨り具合に違いが生まれます。墨汁を使用する場合も、墨汁を入れて使うために硯は必ず必要です。
また硯は鑑賞用としても人気があり、骨董品として高い価値を持つものもあります。硯の石が長方形に整えられているものが一般的ですが、石の形を生かして作られた硯は芸術品として非常に美しいです。
また硯は鑑賞用としても人気があり、骨董品として高い価値を持つものもあります。硯の石が長方形に整えられているものが一般的ですが、石の形を生かして作られた硯は芸術品として非常に美しいです。
紙
文房四宝の最後の一つは紙です。同じ筆・同じ墨で同じ人が文字を書いても、紙によって仕上がりは全く異なります。
書道に用いる紙として広く知られているのは半紙です。半紙は約横25センチ×縦35センチのサイズですが、種類によって素材や製法が異なり、薄さもさまざまです。半紙が薄すぎると墨で破れてしまうことがありますから初心者は薄すぎない半紙を選ぶといいでしょう。 半紙以外にもさまざまな紙のサイズや質があります。紙ごとの仕上がりの違いを楽しんでみるのも、楽しみの一つと言えるでしょう。
書道に用いる紙として広く知られているのは半紙です。半紙は約横25センチ×縦35センチのサイズですが、種類によって素材や製法が異なり、薄さもさまざまです。半紙が薄すぎると墨で破れてしまうことがありますから初心者は薄すぎない半紙を選ぶといいでしょう。 半紙以外にもさまざまな紙のサイズや質があります。紙ごとの仕上がりの違いを楽しんでみるのも、楽しみの一つと言えるでしょう。
「文房四宝」以外に必要な書道道具

文房四宝以外にも、書道を始めるにあたって揃えておきたい道具があります。
下敷き
下敷きは紙の下に敷くものです。書道を習う際は半紙を使うことが多いので、半紙より少し大きめのサイズが一般的。黒や紺色でフェルト素材のものが多いです。文字が書きやすいように線画が入っているものを下に敷けば、字のバランスが取りやすくなります。
色紙など厚手の紙に書く場合は不要ですが、半紙で練習する機会も多いため、下敷きを持っておくと便利です。
色紙など厚手の紙に書く場合は不要ですが、半紙で練習する機会も多いため、下敷きを持っておくと便利です。
文鎮
文鎮は紙の上に置いて紙がずれないようにするためのものです。文鎮がないと書いているときに紙が動いてしまって、思うように字が書けません。半紙はツルツルとした素材のものもありますから、文鎮は滑りにくいものを選びましょう。また錆びにくい素材を選べば、長持ちします。
また硯と同様に観賞用の文鎮もあります。柄が施されたものや動物などをモチーフとしたものなど、さまざまな種類の文鎮があるので、気分を上げるために見た目にこだわってみるのもおすすめです。
また硯と同様に観賞用の文鎮もあります。柄が施されたものや動物などをモチーフとしたものなど、さまざまな種類の文鎮があるので、気分を上げるために見た目にこだわってみるのもおすすめです。
水差し
水差しは硯で墨を磨るときに必要な水を入れておくためのものです。スポイトのような水差しから陶器で作られた芸術性の高い水差しまであります。書道をこれから始めるのであればスポイトのような水差しでも十分ですが、本格的に書道をしたい、道具にもこだわりたいという場合は陶器製のものを選ぶといいでしょう。デザインや柄も豊富にあるので気になる方はチェックしてみてください。
筆巻
その名の通り、筆を巻いてしまうための道具です。巻き寿司を作るときの「巻きす」のような形をしています。細長く切った竹を糸で繋ぎ合わせて作られており、シンプルなものから柄にこだわったものまでデザインはさまざまです。
筆巻は一般的に筆を持ち歩く際に筆の穂先が傷まないように使用しますが、長期間の保管には向いていません。自宅で保管する場合は筆巻に巻かず、風通しを良くして筆を保管する必要があります。また筆巻に墨がついてしまうことがありますが、洗って正しい乾かし方をしないと筆にカビが発生したり筆巻の染料が筆についたりする原因となってしまいます。 汚したくない場合は、半紙に筆を巻いて収納するか墨の汚れが目立たない色合いのものを選ぶといいでしょう。
筆巻は一般的に筆を持ち歩く際に筆の穂先が傷まないように使用しますが、長期間の保管には向いていません。自宅で保管する場合は筆巻に巻かず、風通しを良くして筆を保管する必要があります。また筆巻に墨がついてしまうことがありますが、洗って正しい乾かし方をしないと筆にカビが発生したり筆巻の染料が筆についたりする原因となってしまいます。 汚したくない場合は、半紙に筆を巻いて収納するか墨の汚れが目立たない色合いのものを選ぶといいでしょう。
ケース
ケースは必須ではありませんが、教室に通う場合ケースがあったほうが全ての書道道具をスムーズに持ち運びできます。書道道具を入れるケースはシンプルなものからおしゃれなデザインまでさまざまなものがあるので一つ用意しておくと便利です。持ち歩くことがないのであれば、ケースではなく空き箱などに道具を入れて収納しておいてもいいでしょう。
筆の種類

書道に使う筆は大きく分けると剛毛筆・柔毛筆・兼毛筆に分けられます。それぞれの特徴を紹介しますので、筆選びの参考にしてください。
剛毛筆
剛毛筆は穂の部分に弾力があり、とめやはねなどもしっかり表現できるため楷書を書くのに最適な筆です。小学生が学校で使う習字セットには剛毛筆が入っていることも少なくありません。書道を始める人は最初に標準的な書体である楷書から習うことが多いため、剛毛筆は初心者にも適している筆と言えるでしょう。
ただ剛毛筆は柔らかい書体を書くのには向いていません。また他の2種類の筆と比べるとしっかり墨を含まないので、字がかすれやすいです。その特徴を活かしてかすれを出すためにあえて剛毛筆を選ぶ人もいます。剛毛筆に使われることが多いのは馬毛・タヌキ毛・イタチ毛です。
ただ剛毛筆は柔らかい書体を書くのには向いていません。また他の2種類の筆と比べるとしっかり墨を含まないので、字がかすれやすいです。その特徴を活かしてかすれを出すためにあえて剛毛筆を選ぶ人もいます。剛毛筆に使われることが多いのは馬毛・タヌキ毛・イタチ毛です。
馬毛
剛毛筆に使用される毛の中で最も一般的なのが馬毛です。剛毛筆の中でも、大筆によく使用されます。どの部位の毛を使用しているかでも筆質が大きく異なり、尻尾の毛はより硬く、胴の毛は比較的柔らかいです。
タヌキ毛
日本産のタヌキは比較的毛が柔らかいため、細筆に使われることが多く色が白いのが特徴です。中国産のタヌキは毛が硬いので、太筆に多く用いられます。中国産のタヌキ毛は色が黒いのも特徴です。
イタチ毛
馬毛よりも柔らかいイタチ毛は、尻尾の部分だけが筆に使用されます。毛が細く長さもないため細筆に使用されることが多いです。
柔毛筆
その名の通り毛が柔らかい柔毛筆は強弱が付けやすく、表情豊かな文字が書けます。草書や行書を書くときに使用されることが多いです。
ただし毛が柔らかいため、初心者には力の入れ具合が難しいかもしれません。剛毛筆のような弾力がないので筆入れのたびに硯で筆の形を直す必要があります。柔毛筆に用いられるのは羊毛やネコ毛が多いです。
ただし毛が柔らかいため、初心者には力の入れ具合が難しいかもしれません。剛毛筆のような弾力がないので筆入れのたびに硯で筆の形を直す必要があります。柔毛筆に用いられるのは羊毛やネコ毛が多いです。
羊毛
羊毛はヤギから取れる毛で、柔毛筆としては最もポピュラーな毛になります。太筆から細筆まで広く使われる毛の種類です。毛がしっかり墨を含むのでかすれにくく一度の筆入れで長く書き続けられます。
ネコ毛
柔毛筆の中では弾力があるのがネコ毛です。毛先が膨らんでいるため、玉毛とも呼ばれます。毛が短いため細筆に使われるのが一般的で、写経の際に使われる筆はネコ毛が多いです。
兼毛筆
兼毛筆は剛毛筆と柔毛筆の中間で、硬すぎず柔らかすぎない筆です。剛毛筆と柔毛筆のいいとこ取りをしたような筆で、初心者にも最適。これから書道を始めるにあたって筆の種類に悩んでいるのなら兼毛筆を選びましょう。
兼毛筆は楷書にも草書にも向いている筆なので、1本あればさまざまな書体に挑戦できるのも良いポイントです。初心者ではなくても、兼毛筆を持っているという人は多いです。
兼毛筆は楷書にも草書にも向いている筆なので、1本あればさまざまな書体に挑戦できるのも良いポイントです。初心者ではなくても、兼毛筆を持っているという人は多いです。
筆のサイズ
筆の毛の部分を穂と呼び、穂の太さで筆のサイズが分られています。筆のサイズは1〜8号まであります。
半紙以上の大きな紙に書くときには太筆が用いられます。太筆は穂の径が1.6〜1.8cmの1号と1.4〜1.6cmの2号です。
半紙よりも小さな紙に書くときは、中筆が用いられます。中筆は穂の径が1.2〜1.4cmの3号と1.0〜1.2cmの4号、0.9〜1.0cmの5号です。
手紙など小さな紙に文字を書くときや、写経などには細筆が用いられます。半紙でも自分の名前をしたためるときは細筆を使うのが一般的です。細筆は穂の径が0.8〜0.9cmの6号、0.75cmの7号、0.7cmの8号があります。
これらのサイズが一般的ですが、さらに大きな作品を作るときは太筆よりもサイズの大きな筆を用いることもあります。また同じ筆でも力加減や墨の含ませ方で筆跡が大きく変わります。
半紙以上の大きな紙に書くときには太筆が用いられます。太筆は穂の径が1.6〜1.8cmの1号と1.4〜1.6cmの2号です。
半紙よりも小さな紙に書くときは、中筆が用いられます。中筆は穂の径が1.2〜1.4cmの3号と1.0〜1.2cmの4号、0.9〜1.0cmの5号です。
手紙など小さな紙に文字を書くときや、写経などには細筆が用いられます。半紙でも自分の名前をしたためるときは細筆を使うのが一般的です。細筆は穂の径が0.8〜0.9cmの6号、0.75cmの7号、0.7cmの8号があります。
これらのサイズが一般的ですが、さらに大きな作品を作るときは太筆よりもサイズの大きな筆を用いることもあります。また同じ筆でも力加減や墨の含ませ方で筆跡が大きく変わります。
墨の種類

墨には固形墨と墨汁の2種類があります。練習に墨汁を使う場合でも、作品作りには固形墨を使うこともあるためどちらも揃えておくといいでしょう。
固形墨
固形墨は煤(すす)・にわか・香料を混ぜ合わせ、乾燥させて作られたものです。それぞれどのような原料を使っているかで、墨の艶や濃淡、滲み具合などが変わります。香料には龍能というものが使われることが多く、この香料にはにわか独特の匂いを抑える効果があります。
煤は松煙・油煙・改良煤煙の3種類で、良質な墨は煤が空気に触れても変化しません。 また良質な墨には粘り気があり透明度の高いにわかが使われます。ただし素人目に固形墨の質を判断するのは難しいでしょう。
固形墨は墨汁よりも長期間美しい墨色を残しますが、求める墨色を作るのには経験が必要になります。書道ではこの墨を磨る時間が精神統一にもなるため、慣れないうちから墨を磨ることは非常に重要です。
煤は松煙・油煙・改良煤煙の3種類で、良質な墨は煤が空気に触れても変化しません。 また良質な墨には粘り気があり透明度の高いにわかが使われます。ただし素人目に固形墨の質を判断するのは難しいでしょう。
固形墨は墨汁よりも長期間美しい墨色を残しますが、求める墨色を作るのには経験が必要になります。書道ではこの墨を磨る時間が精神統一にもなるため、慣れないうちから墨を磨ることは非常に重要です。
墨汁
墨汁はにわかを使用するものと樹脂を使用したものがあります。にわかを使用したものは墨の黒が綺麗に発色し、伸びが出やすいのが特徴です。乾燥には1週間程度かかります。 樹脂を使用した墨汁は数日程度で乾き、力強い字が書けますが墨本来の自然な黒色が出にくいのが特徴です。
紙の種類によっては墨汁の方がきれいに仕上がることもあります。また墨汁を使えば時間をかけずに字が書ける上に安価なものも多く、練習の際におすすめです。書道本来の楽しさを感じるためには墨を磨ることも必要ですが、たくさん練習したいという方は墨汁を一つ持っておくといいでしょう。
紙の種類によっては墨汁の方がきれいに仕上がることもあります。また墨汁を使えば時間をかけずに字が書ける上に安価なものも多く、練習の際におすすめです。書道本来の楽しさを感じるためには墨を磨ることも必要ですが、たくさん練習したいという方は墨汁を一つ持っておくといいでしょう。
硯の種類

硯は石の硬さによって墨の磨りやすさが変わりますし性質も異なります。代表的な硯の種類を紹介するので硯選びの参考にしてください。
雄勝硯
雄勝硯は日本の代表的な硯で黒や暗い藍色が特徴です。墨が磨りやすいため初心者にも最適な硯です。曲げや圧縮に強い素材で給水率も低いので劣化しにくく、長く愛用できます。
羅紋硯
中国の江西省で採掘される石を使って作られる羅紋硯は、横目に羅紋と言われる模様が入っていることからこの名がついています。値段もリーズナブルなので、書道セットに入っていることもあり、初心者でも墨が磨りやすいのが特徴です。
端渓硯
中国の広東省で採掘される石を使って作られる端渓硯はきめ細かい粒子が特徴で、きれいな墨を磨りやすいです。こまめなお手入れが必要になります。
セラミック硯
子ども向けの習字セットに入っている硯に多いのがセラミック硯です。価格が安く軽量でお手入れの手間がかかりません。
紙の種類
書道に使う紙は半紙が一般的ですが、それ以外にも六尺画仙、四尺画仙、全懐紙などさまざまなサイズの種類があります。また製法は手漉きと機械漉きがあり、原料によって風合いはさまざまです。一般的に書道には用いない紙に文字を書いて独創的な作品を作るケースもあります。
道具選びも書道の楽しみの一つ

今回紹介したように書道には、文房四宝をはじめさまざまな道具が必要です。道具によって文字の仕上がりが全く変わってくるので、書道を楽しむために道具選びにもこだわってみましょう。特に文房四宝の4つは必ず使う道具なので厳選して選んでみてください。
ただし初心者の場合は道具の良し悪しが判断しづらいかもしれません。そんなときは必要な道具が全て入っている書道道具セットを使うのもおすすめです。慣れてきた頃に少しずつ道具を自分に合ったものに変えていくといいでしょう。
ただし初心者の場合は道具の良し悪しが判断しづらいかもしれません。そんなときは必要な道具が全て入っている書道道具セットを使うのもおすすめです。慣れてきた頃に少しずつ道具を自分に合ったものに変えていくといいでしょう。
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