書道の段位・級位とは?

書道の段位・級位とは?
書道経験者が「書道◯段」と言っているのを聞いたことはないでしょうか。書道には段位・級位があり、それがその人の書道の技量を示しています。段位や級位は日本の他の芸道やスポーツでもありますが、書道の段位・級位は実際にどのくらいのレベルなのでしょうか?

本記事では書道をしている人・これから書道を始めたい人が把握しておくべき段位や級位に関して詳しく解説します。

書道の最高段位は?

書道をしている人ならいつかは目指したい最高段位。ところで最高段位とは何段のことなのでしょうか? 段位・級位の仕組みとともに解説します。

段位・級位について

書道を含め、段や級で技量を示す芸道やスポーツの世界では、基本的に級からスタートします。書道の場合は10級がスタートで、各級に合格すると級が上がっていき、最高級位は1級です。1級に合格したあと、昇段試験に合格すれば、初段となります。級は10級から始まって1級までですが、段の場合は初段から2段、3段と数の多いほうへ上がっていく仕組みです。

級の場合は評価次第で飛び級がありますが、段の場合はありません。各段の昇段試験に合格するごとに、1つずつ段が上がっていきます。子供と大人では異なる段位・級位を設けていることも多いので、試験を受ける際には各書道団体の試験基準などをチェックしましょう。

最高段位は団体によって違う

段位は初段からスタートしますが8段を最高位としているケースもあれば、10段を最高位としているケース、師範を最高位としているケースもあり、最高段位は書道教室が所属している団体によって異なります。書道教室で独自の段位を決めていることもあるようです。

最高段位を目指す場合は、所属する団体の最高段位がどこに当たるのかまず確認してみてください。

書道の段位の基準と取り方

書道の段位の基準と取り方
英検のような語学の資格や、宅建・FPなどの資格であれば「◯級を取得しているとどの程度の知識があるのか」ということを明確に示せます。では書道の段位にもそのような基準があるのでしょうか? ここでは段位の基準と段位の取得方法に関して解説します。

段位の基準は統一されていない

最高段位は団体によって異なるとお伝えしましたが、各段位の基準に関しても団体によって異なり、書道の世界全体で統一されているわけではありません。そのため同じ段位を取得している人でも所属している団体が異なれば、書道の技量が異なる、ということも起こり得ます。

各書道団体の段位認定基準

書道団体ごとに段位の基準は異なりますが、団体によってはそれぞれの段位認定基準を設けている場合もあります。
書道の技術だけで昇級・昇段が可能な団体もあれば、書道への取り組み方や姿勢を含めて評価して昇級・昇段させる団体もあります。書道への取り組み方を評価に入れている団体は、書道を通して本人が精神的に成長したかどうかを重視しており、段位や級位が書道の技術に直結しない場合もあります。

ただし基準を設けている団体でも「どのような字をどの程度美しく書けば昇段できるのか」といった具体的な内容は公表されていないようです。上位の段になると、講習を受けて昇段試験に合格しなければならない団体もあります。

書道の段位の取り方について

書道の段位を取るためには、書道教室に通うのが一般的です。ただし必ずしも教室に通わなければいけないということはなく、書道団体に所属して指定される課題を提出することで段位を取得することも可能です。一般的には級位からスタートし、徐々に昇級・昇段を目指していく流れとなるでしょう。

まずは教室に通うのか、個人で書道団体に所属するのかを決め、段位・級位の仕組みを確認してみましょう。所属する団体の最高段位に関しても併せて確認しておくと、長期的な目標を決めやすくなります。

書道団体が変わったら段位は再取得する必要がある

書道では団体ごとに段位・級位の基準が異なるため、引っ越しなどの理由で書道団体を変えた場合、段位・級位を取り直す必要があります。形式的には10級からスタートすることになりますが、新しい団体が認める基準をクリアしていれば、一気に飛び級できるケースがほとんどです。また団体や書道教室によっては、その人の技量に見合った段からスタートさせてくれることもあります。

今まで通っていた書道教室が所属していたのと同じ書道団体に入っている書道教室を見つければ、そのまま段位・級位を引き継ぐことができる場合もあるようです。

どこの書道団体で段位をとるのが良い?

書道団体によって特色がありますし、段位を取得する際の基準も異なります。一つの団体だけが権威を持っている、というわけでもないためどの団体で段位を取得するのが一番良いのかは一概に言えません。

趣味として楽しみたい人・字を上手に書きたい人・精神を鍛えたい人・習字の先生になりたい人など書道をする目的は人それぞれです。たとえば趣味で書道を楽しみたい人なら段位だけにこだわらず、書道の楽しみを感じさせてくれる団体が向いています。字を上手に書きたい人なら技量のみで昇級・昇段できる書道団体が良いでしょう。
書道団体ごとに書道との向き合い方が異なるため、向き合い方に共感できる団体を選んで、段位の取得を目指してみてください。

書道の段位は履歴書の資格欄にも書ける?

書道の段位は履歴書の資格欄にも書ける?
各書道団体で取得した段位・級位は履歴書の資格欄には書けません。ただ履歴書には特技欄がありますので、履歴書でアピールしたい場合はそちらに所属している書道団体と取得した段位を書いておきましょう。

字がきれいなことは履歴書を見れば一目瞭然ですが、高い段位や師範などを取得しているのなら、継続力や目標に向かって努力する姿勢を評価してもらえる可能性があります。

書道に公的資格はある?

書道には文部科学省が後援している「書写技能検定」という公的資格があります。先ほど各書道団体で取得した段位は資格として履歴書に書けないとお伝えしましたが、書写技能検定を取得している場合のみ、履歴書の資格欄に記載できます。

書写技能検定は毛筆と硬筆の2つに分かれており、実技と理論で問題が出題され合否が決まります。明確な合格基準があるため、書道の技量をアピールするにはぴったりな資格です。書道のスキルを生かして就職・転職活動をしたい場合は、所属している団体の段位とは別に書写技能検定の資格も取得しておくといいでしょう。また学生の場合、書写技能検定を取得することで単位として認定してくれる学校もあります。

また公益社団法人日本書作家協会が実施している「全国書道教師資格認定試験」も、文部科学大臣許可の公的資格です。この資格を取得すれば書道教室を開講するなど、仕事として書道の技量を活かせます。各団体で師範を取れば書道教室を開講できるケースもありますが、書道の先生を目指すならこちらの資格の取得を検討しておくといいでしょう。

自分に合った書道団体を見つけよう

書道をしている人の中でも、書道で段位・級位を取ることを目標としている方や書道によって精神力を鍛えたいという方など、様々な目的を持つ人がいらっしゃいます。書道との向き合い方や方針は書道団体によって異なるため、まずは自分がどのような目的で書道をしたいのかを考え、書道団体ごとの特徴を調べて自分に合った団体を見つけましょう。
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