天然香木・沈香の香りを「聞く」香道は、日本の伝統的な芸道の一つです。香りを鑑賞する「聞香」や、複数の香りを組み合わせたものを聞いて香りを当てる「組香」があり、香りを楽しむだけでなく、作法や古典文学への教養も深められる芸道として知られています。
「これから香道を始めたい!」という場合、行動で使われる道具が必要です。香道をするにはどのような道具が必要なのでしょうか。
今回は香道具の種類と、香道具が購入できる場所を紹介します。香道に興味がある方は、本記事を参考にして、香道具を揃えてみましょう。
今回は香道具の種類と、香道具が購入できる場所を紹介します。香道に興味がある方は、本記事を参考にして、香道具を揃えてみましょう。
香道具の種類
香道には茶道や華道と同じように流派があり、流派によって必要な道具が微妙に異なります。今回は主に志野流で用いられる道具を紹介します。
最初に、揃えておきたい主な香道具を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
主な香道具
ではまず香道をする上で欠かせない、主な道具から解説していきます。
乱箱
乱箱は香元がお手前をするときに必要な香道具を入れる箱のようなお盆のことです。志野流の場合は桑生地が使用されたものが多いですが、御家流の場合は金粉を施した梨地や蒔絵のものを多く使用します。
乱箱の中の道具の配置は、流派によってしきたりがあり、決まった並びは組付(くみつけ)と呼ばれています。乱盆と呼ばれることもありますが、同じものです。
聞香炉
聞香炉(ききこうろ)は、香を聞くときに使われる香炉のことで、二つで一つの組み合わせです。筒形をしていて、直径6~7センチ程度、高さ7~8センチ程度の大きさが一般的です。
表面に釉(うわぐすり)を施して作られた青磁という陶器や、素焼きしたものに色付けをした染付けなどが一般的ですが、金襴手のもの、白磁のもの、蒔絵を施したもの、金粉や銀粉を施したものなどもあります。筒は原則三脚です。
香包・志野折
竹紙か和紙を懐に入れられるよう畳紙にしたものが香包で、中には組香で使われる香木を入れて包みます。大きさは横2㎝程度・縦4㎝程度と、かなり小さなサイズです。香包には試香包(こころこうづつみ)と本香包があります。
組香を行う前に香りをたいて、香りの名前を明らかにするときに使われる香包が試香紙です。本香包は、実際に組香を行うときに使用されます。
志野折は、香包を入れておく包のことで、総包とも呼ばれます。金色の包には、春や秋に咲く花や尾長鳥の絵が施されていて、鳥の子紙を7枚重ねたものです。
銀葉・銀葉盤
銀葉(ぎんよう)は雲母で作られた板に銀の縁取りを施したもので、炭の粉を丸めて作られた炭団(たどん)の上に乗せて使用します。銀葉を使用することで香木を直接炭団に触れさせることなく加熱できます。
この銀葉を載せるための台が銀葉盤です。銀葉は雲母(うんも)でできた板に銀の縁取りをしたもので、香炉に埋めた炭団の上に乗せ、香木を間接的に加熱するための道具です。
炭団は炭の粉を丸めて固めた燃料です。 銀葉盤(ぎんようばん)は銀葉を載せる台で、漆塗りや唐木製などがあります。銀葉盤には本香盤と試香盤がありますが、志野竜ではあまり試香盤は使用しません。本香盤は10〜12に小さく区分けされていて、銀葉を置く場所には貝や象牙で梅・菊・桜を象ったものが施されています。
炭団は炭の粉を丸めて固めた燃料です。 銀葉盤(ぎんようばん)は銀葉を載せる台で、漆塗りや唐木製などがあります。銀葉盤には本香盤と試香盤がありますが、志野竜ではあまり試香盤は使用しません。本香盤は10〜12に小さく区分けされていて、銀葉を置く場所には貝や象牙で梅・菊・桜を象ったものが施されています。
銀葉箱
銀葉箱は銀葉を入れるために使う箱で、桑で作られています。銀葉箱を使用するのは志野流 で、御家流では重香合を使用します。
火道具・香筋建
火道具は七ツ道具とも呼ばれ、銀葉や香木、灰を扱うときに必要な7種類の道具です。火道具を入れておく筒は香筋建(きょうすじたて)と呼ばれ、どのように納めるかは流派ごとにルールが決まっています。
火道具は火筋・灰押・羽箒・銀葉挟・香筋・香匙・鶯の7つで、初心者セットとしてまとめて販売されていることも多いです。それぞれに詳しく解説します。
火筋
火筋(こじ)は灰を扱うために使う火箸のことです。香炉に入れた灰に香炭団(こうたどん)を埋め込んだり、灰押を使って灰を平らにしたりした後に、火筋を使って灰に箸目をつけるときにも用いられます。素材は穂の部分に赤銅、柄の部分に象牙や唐木を用いたものが一般的。柄は五角六角か丸形で、長さは約17センチです。
灰押
香炉の中の灰に香炭団(こうたどん)を埋めた後、灰を平らに整えるために使用されるのが灰押(はいおし・はいおさえ)です。扇形の金属で作られたものが志野流では多く使用され、花型のものや笏(しゃく)型のものもあります。長さは12〜15 センチ程度です。
羽箒
灰ごしらえをした後、香炉の内側の縁についた灰を払うために使われるのが羽箒(はぼうき)です。羽箒の柄は唐木や象牙で作られているのが一般的で、長さは12〜15センチ程度あります。元々は朱鷺の羽を用いて作られたことから、この名前が付けられました。
銀葉挟
銀葉挟(ぎんようばさみ)は、銀葉をつかむためのもので、ピンセットのような形をしています。赤銅で作られたものが多く、長さは9センチ程度です。
香筋
香筋(きょうじ)は香箸(こうばし)とも呼ばれ四角で先に向かうほど細くなっているのが特徴。長さは16センチくらいです。志野流では木香箸(きこうばし)とも呼ばれ、灰や地敷に香木が落ちたときに使用します。
香匙
香匙(こうさじ)は柄の材質が唐木や象牙、匙の部分が金属製で花形などさまざまな形があります。香包から香木をすくい、銀葉に載せるときに使います。流派によっては「香掬(こうすくい)」と呼ばれることもあります。長さは16センチ程度です。
鶯
鶯(うぐいす)は使用した本香包を刺してまとめるために使う串です。長さは10〜13センチ程度で、銀や真鍮で作られていることが多いです。本香包を刺すと、木の枝にうぐいすが留まっているように見えることからこの名前がつけられました。
香道具はどこで買えるの?
これから香道を始める方 の中には、どこで香道具が購入できるか分からない方もいるでしょう。香道具を購入できる場所をご紹介します。
香道具専門店
香道具を専門に扱っているお店があり、香道具専門店であれば香道に必要なものはなんでも揃います。香道具以外にお香や線香などを一緒に扱っているお店も多いです。近くに香道具専門店がないか、インターネットで調べてみましょう。
通販サイト
老舗の香道具専門店を中心に、最近は通販サイトで香道具を販売しているところも増えています。香道具を購入できるお店は限られているので、近くで購入できない場合もあるかもしれません。通販サイトなら近くにお店がなくてもすぐに購入できます。
フリマアプリ
香道具を揃えるとなると、それなりに費用がかかります。そこでおすすめしたいのがフリマアプリです。フリマアプリで「香道具」と検索するか、道具の種類を検索してみましょう。新品にこだわらない人や手頃な香道具を手に入れたい人におすすめです。
まずは体験してから香道具を揃えるのもおすすめ
本記事では香道にどのような道具があり、それぞれの使い方や購入場所をご紹介してきました。これから始めてみようと考えている方は、ご紹介した道具や使い方を参考にしてみてください。
また、道具類を揃える前に体験レッスンやワークショップから始めてみるのもおすすめです。体験の際に道具がなくてもすぐに香道を始められ、スムーズに理解できるでしょう。ぜひ奥深い香道の魅力に触れてみてください。