障子が破れた、黄ばんできた、部屋の印象を変えたい。障子の張り替えを考えるきっかけはさまざまです。
障子の張り替えは、手順さえ押さえれば自分でもできます。材料費は1枚1,000円前後から。一方で業者に依頼すれば、シワのない仕上がりと手間の省略が得られます。費用は障子の種類と紙のグレードによって4,000〜11,000円程度が目安です。
この記事では、張り替えの時期の見極め方から障子紙の選び方、自分で張り替える手順、業者に依頼する際の費用と注意点までをまとめました。
障子を張り替える時期の目安
障子の張り替えは4〜5年が一つの目安とされています。襖より紙が薄く傷みやすいため、襖(10年目安)よりも短い周期になります。
ただし設置場所の日当たりや使用状況によって劣化の速度は変わります。次のような状態になったら、年数に関わらず張り替えを検討してください。
- 破れ・穴:一箇所でも破れると全体がだらしなく見えます
- 黄ばみ・変色:日当たりのよい場所ほど早く進みます
- 剥がれ・たるみ:糊が劣化すると桟から浮いてきます
- 来客の予定・模様替え:障子は部屋の明るさと印象を大きく左右します
なお、自分で張り替えるなら湿度の低い晴れた日が向いています。障子紙は襖紙とは逆で、乾燥した状態で貼ってから霧吹きで湿らせることで、乾く過程でピンと張ります。
障子紙の種類と選び方
近年は障子紙のバリエーションが大きく広がりました。破れにくいもの、UVカット機能のあるもの、デザイン性の高いものなど、選択肢は豊富です。
素材で選ぶ
和紙は最もスタンダードな素材です。主原料は楮(こうぞ)という天然繊維で、繊維が長くしっかりしているため強度があります。柔らかな光の透け方が持ち味です。
洋紙はパルプや化学繊維で作られたものです。量産できるため価格を抑えられます。ただし安価なものは劣化が早い場合があるため、耐久性を確認して選んでください。
プラスチック紙は樹脂を使ったもので、強度に優れます。猫が爪を立てても破れにくいため、小さなお子さんやペットのいるご家庭に向いています。ただし糊が付きにくく施工に技術を要するため、業者に頼む場合は料金が高くなる傾向があります。
プラスチック紙の中でも、和紙を樹脂で挟んだ「ワーロン紙」は、和紙の風合いを保ちながら強度と防炎性を備えています。価格は上がりますが、長く使いたい場所に向きます。
貼り方のタイプで選ぶ
自分で張り替える場合、貼り方が難易度を左右します。
- 糊で貼る:最も一般的で仕上がりが良い。障子用の糊を水で溶いて使う
- アイロンで貼る:熱で接着。糊を用意する手間がなく、初めてでも扱いやすい
- 両面テープで貼る:最も手軽。ただし剥がすときに桟に糊が残ることがある
デザインで選ぶ
透かし模様の障子紙は、光が当たると柄が浮かび上がります。柄が主張しすぎないため、落ち着いた印象を保ちたい方に向きます。和柄のほか、幾何学模様や北欧柄も増えています。
プリント柄は絵柄がはっきり出るため、部屋のアクセントになります。全面に施されたものから、一部に挿絵のように入ったものまであります。
カラー障子紙は、全面に使うより格子の一部だけに入れると洗練された印象になります。枠ごとに色を変える使い方もおすすめです。
自分で障子を張り替える手順
障子の張り替えは、丁寧に進めれば初めてでも仕上げられます。糊で貼る場合の手順を4段階で解説します。
用意するもの:障子紙、障子用の糊、刷毛、カッター、定規、霧吹き、スポンジ、新聞紙かビニールシート
1. 障子戸を外す
障子戸を上に持ち上げ、下を手前に引いて引き抜きます。うまく外れない場合は、マイナスドライバーを敷居に差し込んで少し持ち上げてみてください。
それでも外れないときは、ジャッキや角材を使って隙間を作ります。力任せに引くと敷居や鴨居が歪みます。建具の歪みは修理費が高くつくため、無理をしないでください。
2. 古い障子紙を剥がす
床に新聞紙かビニールシートを敷き、障子戸を寝かせます。スポンジや刷毛に水をよく含ませ、障子紙の上から桟を濡らします。
5分ほど置くと糊がふやけるので、端からゆっくり剥がします。剥がしにくい部分はヘラを使うと作業が進みます。両面テープで貼られている場合は、ドライヤーで温めながら剥がしてください。
紙が残ったら、濡らしたタオルで拭き取ります。桟に糊やゴミが残っていると、新しい紙が浮く原因になります。
3. 障子紙を貼る
桟が完全に乾いてから作業に入ります。障子紙は枠の大きさに合わせて、上下左右に余白を残して切っておきます。
まず貼る位置を決め、端をセロハンテープで仮止めします。障子用の糊を水で少しずつ溶き、刷毛で桟全体に薄く均一に塗ります。塗りムラがあると浮きやシワの原因になります。
仮止めした側から、シワが寄らないよう少しずつ伸ばしながら貼っていきます。柄物は上下や裏表を間違えないよう、貼る前に向きを確認してください。
アイロンタイプの場合は、四隅を仮止めしてから中心より上下左右へゆっくりアイロンをかけます。温度は商品によって異なるため、必ず説明書に従ってください。
4. 仕上げ
はみ出した余分な紙を、定規を当ててカッターで切り取ります。フリーハンドで切ると縁が波打つため、必ず定規を使ってください。
最後に霧吹きで全体に軽く水を吹きかけ、そのまま乾かします。乾く過程で紙が縮み、たるみが取れてピンと張ります。この工程を飛ばすと仕上がりに差が出ます。
業者に依頼する場合
枚数が多い、プラスチック紙を使いたい、仕上がりにこだわりたいといった場合は業者への依頼が確実です。
障子の種類で費用が変わる
費用を左右するのは障子紙のグレードと障子の種類(サイズと構造)です。見積もりの前に、自宅の障子がどれに当たるか確認しておきましょう。
- 欄間(らんま)障子:鴨居の上にある小さな障子。最も安価
- 掃き出し障子:床まである一般的な大きさの障子
- 雪見障子・猫間障子:下部にガラスや上下する小障子が組み込まれたもの。構造が複雑なため割高
価格帯の目安は次のとおりです。
- 普通紙:欄間 4,000円台/掃き出し 5,000円台/雪見・猫間 8,000円前後
- 強力紙:欄間 5,000円台/掃き出し 6,000円台/雪見・猫間 10,000円前後
- ワーロン紙:欄間 6,000円前後/掃き出し 11,000円前後
安価な普及品であれば1,500円程度から対応する業者もありますが、価格だけで選ぶと劣化が早い、シワが目立つといった結果になりがちです。紙の種類と施工内容を確認してから判断してください。
障子の張り替えを申し込む(イケヒコ公式通販) 普通紙・強力紙・ワーロン紙から、障子の種類別に選べます。
依頼先と業者選びのポイント
障子の張り替えは、リフォーム会社・工務店・張り替え専門業者・畳店などが対応しています。障子だけを張り替えるなら、専門業者や畳店が費用と対応の早さで有利です。
- 実績があるか:口コミや施工例を確認します
- 誰が作業するか明確か:下請けや経験の浅い担当者が施工することがあります
- 料金が明確か:障子の種類ごとの単価が示されているか確認します
- 希望の障子紙を扱っているか:取り扱いの幅は業者によって差があります
当日の流れを確認しておく
業者によって作業の進め方が異なります。契約時に確認してください。
- その場で張り替える
- 障子戸を持ち帰り、工場で張り替える
- 駐車場や庭など、作業スペースを設けて張り替える
障子の張り替えには広いスペースが必要です。自宅で作業する場合は場所を空けておいてください。持ち帰りの場合は、障子を外している間の目隠しをどうするかもあわせて相談しておくと安心です。
賃貸住宅の場合の注意点
賃貸物件では、張り替える前に管理会社や大家さんへ確認してください。原状回復の義務があるため、断られる場合があります。
特にプラスチック紙など特殊な紙に変える場合は、その旨も伝えておきましょう。退去時に「元の和紙に戻すこと」を求められると、二重の費用が発生します。事前に合意しておけばトラブルを避けられます。
よくある質問
障子と襖、張り替えは同じ日にできますか
できます。同じ業者が両方に対応していることが多く、まとめて依頼すると出張費が一度で済みます。ただし枚数が少ないと割増料金がかかる業者もあるため、まとめたほうが単価が下がることもあります。見積もりの際に確認してください。襖については襖の張り替えで解説しています。
破れた一部分だけ補修できますか
市販の補修シールで応急処置ができます。桜や紅葉の形をした装飾的なものもあり、目立たせずに隠せます。ただし紙全体が黄ばんでいる場合は補修部分だけが白く浮くため、全面の張り替えをおすすめします。
障子を外して過ごすことはできますか
可能です。ただし障子は目隠しと採光の調整を担っているため、外すと外から室内が見えやすくなります。断熱性も下がります。障子をやめる場合は、和室の窓には障子かカーテンかなど代わりの手段を検討してください。
まとめ
障子の張り替えについて、要点を整理します。
- 張り替えの目安は4〜5年。破れや黄ばみがあれば年数に関わらず検討する
- 自分でやるなら乾いた日に。仕上げの霧吹きでピンと張る
- 障子戸を外すときは力任せにしない。敷居や鴨居の歪みは高くつく
- 業者依頼は障子の種類(欄間・掃き出し・雪見)で費用が変わる
- ペットや小さなお子さんがいるならプラスチック紙という選択肢がある
障子は部屋の明るさと印象を左右する建具です。破れをそのままにしていると部屋全体が古びて見えます。まずは1枚から試してみてはいかがでしょうか。
和室全体の設えを見直したい方は、和室づくりのまとめもあわせてご覧ください。