和室の障子の歴史とその役割や特徴についてわかりやすく解説

障子について解説

障子について解説
日本建築に欠かせない要素に「障子」があります。日本人の生活に馴染んでいるものだからこそ、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。 当記事では、歴史や種類、張替えのポイントなど障子について詳しく解説します。

障子ってどんなもの?

障子ってどんなもの?
障子とは、扉や窓に用いられる建具です。木枠に縦横に細い枠(組子)を入れ、紙を張ったものを指します。 日本建築において欠かせないアイテムで、源氏物語にも登場するほど日本では昔から親しまれてきました。歴史が長い分「障子は古いもの」というイメージを持たれがちです。 しかし、障子には他の建具にはないメリットや特徴があります。障子の役割と特徴、種類や襖との違いについて解説します。

障子の役割と特徴

障子の大きな役割は次の3つです。
  • 外からの目隠し
  • 外の明かりをほどよく室内に通す
  • 外気の侵入を防ぎ空調効率を上げる
障子は外からの視線が気になるとき、目隠しとして機能します。閉めていても光を通すので、視界を気にせずに外の光を室内に取り込むことができるのです。 また、外と室内の境界としての役割もあります。障子があることで、外と室内の間に空間ができます。これにより外気と直接触れることなく室内で生活することが可能になるのです。 冬の冷気や夏の熱気を、障子によって和らげることができます。室内の冷暖房効率も障子があることで高まるため、省エネにも効果的です。

障子の種類

障子の種類
障子は日本家屋にとって重要な建具でした。そのため用途に合わせた様々なバリエーションがあります。種類を大きく分けると次の4種類です。
  • 水腰障子
  • 腰板障子/腰付障子
  • 額入り障子
  • 猫間障子/雪見障子
それぞれの障子について解説します。

水腰障子

上から下まで、全面に障子紙が貼られたスタンダードな障子です。一般的に広く知られている障子がこれにあたります。

腰板障子/腰付障子

障子の下部に板(腰板)が張られた障子です。もともと障子の基本形は腰付障子でした。紙が貴重だった時代、日々の動作で紙が破れてしまわないよう腰部分が板張りになっていたのです。 板の高さは35~70㎝ほど。さらに板の長さが長いものは腰高障子と呼ばれます。

額入り障子

障子の中央に額がはめ込まれた障子です。額はガラスになっており、障子を開けなくても外の景色が楽しめます。 額の位置は障子によって様々。いずれもガラスが使われているので「ガラス障子」とも呼ばれています。昭和初期に日本で流行した障子です。

猫間障子/雪見障子

猫間障子とは、障子の下部が開閉できる障子です。文字通り、猫の出入りに使われていたと言われています。 猫が出入りできる開放部にガラスがはめ込まれているのが「雪見障子」です。ガラスがあることで、冷たい外気を入れることなく庭の雪が眺められます。 ガラスが入っている点は額入り障子と同じですが、障子を閉めて使用することもできるため、保温や調光、目隠しといった機能も備えています。

襖との違い

障子と障子の1番の違いは張り方にあります。障子は通常、片面にだけ紙を張ります。これに対し障子は両面に障子紙を張ります。どちらも木枠を使っている点は同じですが、障子の場合は中に何層も紙を重ねて透けないように仕上げます。 障子には光をほどよく通すという特徴があります。一方の障子は光を通しにくいため、部屋をしっかりと区切りたい場所に用いられます。

障子の歴史

まくらの向きと風水は関係あるの?
木枠に紙を張った現在の「障子」は日本で誕生しました。その歴史を解説します。

障子の成り立ち

「障子」という言葉自体は中国から伝わったものですが、中国語の障子は「生垣」を意味する言葉です。 もともとは、部屋を仕切るものを総称して「障子」と呼んでいました。そのため、襖や屏風も「障子」だったのです。 木枠に紙を張った現在の障子は平安時代後期に誕生しました。「寒さをしのぎながら外の明かりを部屋に取り込みたい。」そんな思いから生まれた建具です。 広く浸透したのは南北朝時代。和紙を生産する技術が向上したことで、一般家庭でも障子が使われるようになりました。

障子の語源

障子の「障」は「さえぎる」という意味です。視界や外気、光をさえぎる「障子の役割」を表しています。 障子の「子」には「道具」という意味があります。「子」は「ちょっとした道具」に使われる漢字で硝子や椅子、帽子といった言葉にも使われています。 「障(さえぎる)」「子(道具)」が組み合わさって「障子」という言葉が生まれました。

近年の状況

障子は「和室の建具」として長く愛されてきましたが、近年では様々な用途で使用されています。 木枠に紙を張った従来の形だけにとどまらず、バリエーションやデザインもどんどん増えてきています。
  • 壁一面を障子にする
  • ガラス戸と組み合わせる
  • 紙を張らず、木枠だけを使う
  • ポリエステルフィルムなど、異素材を張る
障子を使った空間演出で、こだわりの住居を作る人も増えてきています。 また、近年の障子紙は様々な機能を備えています。たとえば、紫外線カット効果のある障子紙を使えば、室内で紫外線を気にすることなく快適に生活ができます。 断熱効果の高い障子紙なら、夏の暑さや冬の寒さをさえぎることが可能です。生活スタイルに合わせた障子の使い方が広がっています。

障子の張替えについて

障子の張替えについて

障子の張替え時

「障子はいつ張替えればいいの?」障子の張替えについて解説します。

障子の張替え時

障子紙の張替え周期は4年程度と言われています。しかし、使用状況により年数に関わらず張替えたほうがいい場合もあります。 次のような時には、張替えがおすすめです。
  • 梅雨の時期
  • 来客があるとき
  • 破れや剥がれがあるとき
  • 黄ばみや汚れが気になるとき
それぞれ見ていきましょう。

梅雨の時期

障子紙は湿った状態で伸びる性質があります。この性質を利用して湿気の多い梅雨時期に張替えをおこなうと、乾燥した時期にぴんと張った美しい障子になります。 逆に、夏や冬の乾燥した時期に張ると湿気で紙がたわんでしまうことがあるのでご注意ください。

来客があるとき

「美しい障子でお客様をお迎えしたい。」そんな時は張替えを検討してみてはいかがでしょうか。新しい障子紙はおもてなしの気持ちを表します。

破れや剥がれがあるとき

障子紙が破れてしまったときは張替えがおすすめです。また、日差しの熱や雨風によって糊がはがれてしまうことがあります。 破れや剝れを見つけたら張替えを検討してみてください。

黄ばみや汚れが気になるとき

障子紙は種類によって黄ばみやすい場合があります。また、日差しがよく当たる場所の障子紙は劣化が早まるので注意が必要です。 黄ばみや汚れが気になったら張替えを検討しましょう。黄ばんだ障子を使い続けると部屋が暗くなってしまう恐れがあります。

障子の張替えはどこに頼めばいい?

障子は自分で替えることも可能です。しかし、きれいに仕上げたい場合や、手間を省きたいときは「障子張替え専門業者」に頼むのがおすすめです。 「どこに頼めばいいのか」迷った場合は次の項目をチェックしてください。
  • 料金が明確か
  • 好みの障子紙を扱っているか
  • 実績があるか
料金が不明確な業者は避けましょう。後から追加料金を見積もりに入れてくる業者も存在します。見積もりはしっかり確認してください。 次に、好みの障子紙を扱っているか確認しましょう。たとえば、「破れにくい障子紙にしたい」という希望がある場合は、「強化和紙」や「強化プラスチック紙」に対応した業者を選んでください。 希望しない障子紙を張ると後から後悔することも。見積もりの段階で、どんな紙が張られるのかしっかりと確認しておきましょう。 また、実績もたいへん重要です。経験が浅いときれいに仕上がらない場合もあるので注意が必要です。口コミや施工例を参考にしながら、実績がある業者を選びましょう。

まとめ

まとめ
障子について解説しました。障子は日本ならではの伝統ある建具です。 古いイメージをもたれがちですが、様々なメリットがあります。障子の効果を活かせば、より快適な生活が実現します。 お好みの障子を、お部屋に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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