地方で違うお盆(bon)の風習。期間の違いや風習の違いについて解説

  • 2022年7月19日
  • 2022年7月26日
  • その他
地方で違うお盆(bon)の風習
8月半ばに行われるお盆という行事。社会人にとっては夏の長期休みとしても利用されています。そんな8月半ばが一般的だと思われているお盆、じつは地域によって実施期間が異なっているのをご存じでしょうか。

この記事では、地域による期間の違い、各地の独特な風習について解説しています。日本全国で開催される有名なイベントも含めてご紹介するので、間近に迫っているお盆を有意義に過ごすためにチェックしてみてください。

地域による期間の違い

地域による期間の違い
日本全国で行われるお盆ですが、地域によって行う期間が異なるのをご存じでしょうか。明治時代にあった旧暦・新暦の変化によって地域文化が少しずつ分かれていきました。
ここでは「新暦7月盆」「新暦8月盆」「旧暦盆」の3つの期間についてご紹介します。

【新暦7月盆】7月13日~16日の地域

明治時代の旧暦・新暦へ切り替わるとき、日本政府は新暦7月盆を一般化しようと徹底しました。その影響を受け、政府のおひざ元であった次のような都市部では新暦7月盆が主流となっています。
  • • 東京都
  • • 神奈川県
  • • 静岡県(都市部)
  • • 石川県(金沢市)
  • • 北海道(一部地域)

【新暦8月盆】8月13日~16日の地域

全国的に見ると「新暦8月盆」が一般的なお盆期間として有名です。
政府が一般化しようとしていた「新暦7月盆」に対して、1か月時期がズレることから「月遅れ盆」とも言われており、主に政府の目が届かなかった都市部以外の地域で浸透したお盆の期間です。

この時期にお盆を行う理由は、かつて日本中に農村があり、7月の農繁期が忙しくお盆の時間を確保できなかったことが関係しています。農繁期を終えた8月に入ってからお盆を行う方が、庶民としては時期が良かったのです。

【旧暦盆】旧暦7月13日~16日の地域

明治時代の新暦・旧暦のあわただしい変化を避け、歴史と習慣を変えずにお盆を行う「旧暦盆」は沖縄県で有名なお盆の時期です。新暦で言うと8月31日~9月2日がお盆の時期となり、少し涼しさを感じる時期となります。

家族や祖先とのつながりを強く意識する沖縄県では、時代に流されず、古くから行われている旧暦盆が好まれているのです。

各地の独特な風習

各地の独特な風習
地域によって時期が異なるお盆、じつは時期だけではなく地域特有の風習にも違いがあるのです。ここでは、独特な風習を持つ5つの地域についてご紹介していきます。

山形県

山形県では、毎年お盆になると「山形花火大会」といった盛大なお祭りが盛んに行われます。約1万発の花火を長時間打ち上げることから夏のお祭りとして日本全国から人々が集まるイベントなんです。
また、山形県の名産品である「あべかわ餅」「ほうとう」をお墓参りでお供えするなど、地域特有の風習を持っています。

岩手県盛岡市

岩手県にある盛岡市では、お盆がおわる時期「送り盆」に「舟っこ流し」という地域特有の風習を行います。
舟っこ流しとは、木製の小舟に提灯・お供え物・花などを飾り付けて北上川へ流す行事であり、流した舟に火をつけるため、最後には舟が沈んでしまいます。お盆にやって来た祖先を天国へ帰すことを目的とした興味深い風習だと言えます。

石川県金沢市

石川県にある金沢市では、お墓参りで独特な風習を持っています。
お墓参りへ行く際には訪問者それぞれが「切子(きりこ)」と呼ばれる灯篭を持ち、お墓へ向かいます。持ち寄った切子はすべてお墓の前につるし、夜まで灯篭の明るさを続けさせるというもの。いろんなお墓に灯篭が設置されるということもあり、幻想的な風景がつくり出されます。

長崎県

長崎県では地域特有の面白い風習が沢山行われています。
とくに有名なのが、爆竹や花火を鳴らしつつ精霊船を曳く「精霊流し」です。木製の舟に提灯や花、お供え物を積み、男性たちが精霊船を曳いて市内を練り歩く行事であり、激しい爆竹と花火の音がにぎやかな雰囲気をつくり出してくれます。

沖縄県

沖縄県では本島で行われる「エイサー」、八重島諸島で行われる「アンガマ」等が有名です。この中でもエイサーは日本全国で知られている沖縄の伝統行事であり、カラフルな法被を着た若者が太鼓を担ぎ旧盆の夜に地域内を踊りながら練り歩くというもの。
隊列を組んで踊るさまは美しく、太鼓の音色が沖縄中に響きます。

日本全国の有名なお盆イベント

日本全国の有名なお盆イベント
お盆といえば、実家に帰省し、親族で集まりお墓参りを行う行事です。お盆の時期には市内・町内・村内の活気を高める目的から地域イベントが盛んに開催されています。

ここでは、その中でも全国的に有名なお盆イベントについて解説していきます。なかには日本中から人が集まる伝統的なイベントもあるので、お盆時期の観光に合わせて訪問してみてはどうでしょうか。

【東京都】みたままつり

「みたままつり」は、東京都千代田区にある靖国神社で開催されるお祭りです。お盆にやってくる先祖の御霊(みたま)を迎え入れ、賑わいのあるお盆にするために開催されるイベントであり、毎年日本中から多くの参拝者が訪れます。

「みたままつり」では、境内に設置された大小3万個を超える「御灯(みあかし)」「揮毫(きごう)」「ぼんぼり」に明かりがともされます。また靖国神社周辺では出店や奉納芸能が行われるなど、幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

【徳島県】阿波踊り

「阿波踊り」は音楽に合わせて踊り手集団が市内を踊り歩くイベントです。 「杭全神社 夏祭」は、大阪府大阪市内で開催されるお祭りです。
「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」という「よしこの」リズムが有名であり、その歌に合わせて女性の踊り手が華やかな衣装を着て踊り続けます。

阿波踊りは国内だけでなく、海外でも名が知れ渡っており、イベント開催時には海外からの訪問客も多い行事となっています。

【秋田県】大湯大太鼓祭り

「大湯大太鼓祭り」は、秋田県の無形民俗文化財に指定されている伝統行事です。4人1組のグループが直径1.2mほどの巨大な太鼓を担ぎながら市内を練り歩くというものです。

大湯大太鼓祭りは夏の農繁期である「五穀豊穣の祈り」そして「先祖の供養」を目的に行います。大太鼓から鳴り響く重低音が身体の奥まで響いてくるなど、近くで聴く競演はかなり圧巻のパフォーマンスです。大太鼓を担ぐ男性陣が列をなして長距離を移動することから、活気あふれるお祭りを楽しむことができます。

まとめ

以上、日本の伝統行事である「お盆」がもつ地域性、そしてそれぞれの文化が育む面白い風習やイベントについてご紹介しました。
明治時代に起こった旧暦・新暦の転換期を経て、様々な文化が派生していったお盆というイベント、行われる時期が異なることを知らなかった人も多いのではないでしょうか。

もしも夏を利用して観光を予定している方がいるのなら、お盆に開催されるイベントに参加して、伝統文化や地域特有の行事を満喫してみてはどうでしょうか。
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