お彼岸(ひがん)とその歴史

お彼岸(ひがん)とその歴史
お墓参りや先祖供養等を行う「お彼岸(ひがん)」という行事。なかには、これから行事に参加しなければならないという人も多いのではないでしょうか。しかし、ノウハウやお彼岸に関する知識がなければ、上手く物事を進められません。

この記事では、お彼岸の概要や行う時期、その他歴史について詳しくご紹介します。日本古来から受け継がれているお彼岸という風習を理解するためにも、1つずつチェックしてみてください。

今年の彼岸はいつ?

今年の彼岸はいつ?
お彼岸は年に2回「春のお彼岸」「秋のお彼岸」があります。これらは春分の日、秋分の日を挟むように7日間ずつ行う行事であり、年に14日間がお彼岸の期間と言われています。
2022年のお彼岸は次の期間で実施されます。
  • • 「春のお彼岸」3/18(彼岸の入り)、3/21(春分の日)、3/24(彼岸明け)
  • •「秋のお彼岸」9/20(彼岸の入り)、9/23(秋分の日)、9/26(彼岸明け)
どちらも涼しさを感じる時期に行えることから、お墓参りなどで汗をかく心配がありません。

彼岸の入り

お彼岸を行う7日間のうち、彼岸の初日を「彼岸の入り」と呼びます。彼岸の入りでは先祖に感謝する日として用いられるのが一般的で、お墓参りやお墓掃除、お供え物などを置いて先祖の元に訪れます。

彼岸明け

お彼岸の初日となる「彼岸の入り」は、先祖に感謝する日となりますが、その後の6日間は悟りに達する「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という6つの徳目を修めるとされています。
この修業が完了する最終日(6日間のうち6日目)は「彼岸明け」と呼ばれます。

彼岸とは?

彼岸とは?
現代では彼岸を行う機会が減っているため、多くの方が彼岸の概要まで知らない場合が多いはずです。では、彼岸とは一体どのようなものでしょうか?
ここでは、彼岸の概要と語源についてご紹介していきます。

彼岸について

彼岸とは仏教諸国で行われる行事であり、日本だけじゃなく世界各地の仏教を崇拝するいろんな国で行われています。
春分の日、秋分の日を中日として7日間ずつ実施される行事であり「先祖供養」「六波羅蜜」を行います。この期間は太陽が真東から真西に沈む時期であり「彼岸から此岸へわたりやすい時期」ということで年に2回やってくるのです。

彼岸の時期には先祖供養を行うのが当たり前になっていますが、この習慣は日本独特の習慣であり、他の仏教諸国にはない独自習慣だと言えます。宗教の自由性をもつ日本だからこそ発展したお彼岸の形です。

彼岸の語源

彼岸という言葉は、古代インドのアーリア語で書かれたサンスクリットにパーラミターという言葉を日本語で「到彼岸(とうひがん)」が語源となっています。

苦しみの世界「此岸(しがん)」から、苦しみから抜け出した世界「彼岸(ひがん)」へ向かうため、悟りを開く修業を行う目的で設けられた期間です。日本ではこれを三途の川など死後の世界に見立て、お彼岸という行事が発展していったと言われています。

彼岸の歴史

彼岸の歴史
つづいて、彼岸の歴史について紐解いていきましょう。
彼岸は日本で古くから行われている行事であり、この行事にはいろんな意味が込められています。どのような理由でこの行事を行うかも含めてチェックしてみてください。

彼岸の由来

日本には死後「極楽浄土(ごくらくじょうど)」へ行くという考えがあります。もともと彼岸は古代インドの修行として「六波羅蜜」が行われる行事でしたが、この世とあの世を彼岸・此岸になぞらえ、あの世を彼岸とすることによって先祖供養の行事として日本で定着しました。

彼岸の歴史

彼岸の歴史をさかのぼると、今から1200年以上前の「806年」にたどり着きます。この年に日本で初めて「彼岸」が行われました。

当時の有力者である「早良新王(さわらしんおう)」が昼夜を問わず7日間お経を唱えることを日本諸国の僧に命じ、彼岸が全国に伝わっていきます。現代ではお墓参りを行う行事へと変化していきましたが、当時から先祖供養という目的で彼岸が行われています。古くから形を変えずに行われ続けている行事ということもあり、先祖を思いやる古き良き日本の習慣が分かってきます。

日本の風習

日本の風習
前項でも少し登場しましたが、世界の仏教諸国で行われている彼岸と日本の彼岸には少し違いがあります。その中でも最も大きなポイントが「先祖供養」です。海外では先祖供養ではなく悟りを開く修行として彼岸を行う中、日本では先祖供養+悟り修行を行います。

では、先祖供養では一体どのようなことを行うのでしょうか。日本独特の風習について見ていきましょう。

お墓参り

お彼岸には先祖のお墓を訪問してお墓参りを行います。また、これに併せて仏壇・仏具の手入れを行うのが一般的であり、内容はお盆に行うお墓参りと大きな違いはありません。お墓参りではお線香をたき、先祖供養を行います。

お供え物

お彼岸のお墓参りは、その季節にちなんだお供え物が良いとされています。普段の生活でもよく聞く2つのお供え物が「春のお彼岸」「秋のお彼岸」で用いられるため、お供え物の準備をしていきましょう。

ぼたもち

「春のお彼岸」では、春に咲く「牡丹(ぼたん)」の花を意味する牡丹餅(ぼたもち)が好まれます。かつては手作りされていたぼたもちがお供えされていたそうです。

おはぎ

「秋のお彼岸」では、秋に開花する「萩(はぎ)」という多年草を意味するおはぎが好まれます。かつては手作りされていたおはぎがお供えされていたそうです。

時節

今年の彼岸はいつ?
お彼岸は春と秋の2つの季節に行う行事であることから、季節の慣用句や俳句の季語としても利用されています。夏や冬のような寒暖差が少なく、過ごしやすい季節ということもあり、色とりどりな草花が咲く季節、用いられる慣用句や季語が豊富にあるので、併せてチェックしてみてください。

季節の慣用句

彼岸の時期には、彼岸と掛け合わせた慣用句が沢山あります。どの言葉にも彼岸という言葉が入っているので、覚えやすいものばかりです。
  • • 彼岸桜:バラ科の落葉樹であり、春の季節に淡紅色の花を咲かせる。
  • • 彼岸団子:春と秋のお彼岸でお供えする団子。ぼたもち、おはぎのこと。
  • • 彼岸参り:お彼岸の時期に寺院や先祖の墓に参拝すること。

俳句の季語

彼岸の時期を表す季語は複数ありますが、その多くに彼岸と言う言葉が入っています。季語を用いた俳句や挨拶状を作られる場合には、次の項目をご参考下さい。
  • • 入り彼岸:彼岸の始まり
  • • 終わひ彼岸:彼岸の終わり
  • • 彼岸中日:春分の日、秋分の日のこと
  • • 彼岸過:彼岸が終わった後
  • • 万灯日:彼岸の時期に藁を高く積み燃やすこと

まとめ

以上、春と秋に行われる日本の行事である「お彼岸」についてご紹介しました。
もともと古代インドの六波羅蜜を日本風にアレンジした行事であることから、仏教諸国で行われていない先祖供養を実施します。また、悟り修行として六波羅蜜を行うなど、いかに日本が先祖のことを考えていたのかがうかがえます。年に2回行われる行事ですので、これから参加する予定があるという人は、お彼岸の意味を理解し、準備を始めてみるのもいいかもしれません。
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