【解説】園芸農業とは?

  • 2022年9月13日
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  • その他
園芸農業
園芸農業は都市部で消費されることを目的として植物、果物、野菜などを栽培することです。
園芸農業には大きくわけて2種類あります。近郊農業と輸送園芸の違いも確認しましょう。
さらに日本の園芸農業の特徴、オランダや北アメリカ東部など世界の園芸農業の特徴も解説します。

園芸農業とは

園芸農業は、植物、果物、野菜を栽培し、大都市など消費地へ送るための農業です。
大都市では充分な農地を確保できず、一方で人口が多いため植物、果物、野菜の消費量は多いです。
充分に農地を確保できる郊外と比べて都市部は農作物の需要が高いため、園芸農業では都市部で消費されやすい農作物を育てます。
自分で食べたり観賞したりを目的としない農業は商業的農業と呼ばれます。
農作物を販売して利益を出すことを目的としているので、作業には効率化や経費削減が必要です。
一度に収穫できる量を多くする、種をまく、水をやるなどの作業の人件費を削減する、作業をマニュアル化して常に同じクオリティの農作物を届けられるようにするなどの工夫が求められます。
限りある土地面積の中でいかに多くの農作物を作って販売できるかも大切なポイントです。
大都市周辺では確保できる土地の面積が少ないため、より工夫しなければなりません。

園芸農業の2つの種類

園芸農業には近郊農業と輸送園芸の2種類があります。
近郊農業は大都市の近くで園芸農業を行うことで、輸送園芸は大都市から離れた場所で園芸農業を行うことを意味します。
それぞれにどのような特徴があるのか、メリットとデメリットを比較してみましょう。

近郊農業

都市部の近くで園芸農業を行うことを近郊農業と言います。 野菜、果物、植物などは収穫してから時間が経つほど鮮度が落ちてしまうため、新鮮な農作物を届けるためにはスピードが必要です。
都市部の近郊で園芸農業を行えば、スピーディ―に鮮度を保ったまま農作物を届けられます。
都市部から近い場所での園芸農業は新鮮な農作物を届けられるメリットがある一方で、充分な土地を確保しにくいデメリットもあります。
土地の価格や人件費も高く、コストがかかってしまいます。
限られた狭い土地で園芸農業をしなければならないため、いかに工夫してより多くの農作物を収穫するか、作業を効率化するか考えなければなりません。
人件費を抑えるために最新機器を導入する、ビニールハウスなどを導入して気候に左右されない農作物作りを行うなどの工夫があります。

輸送園芸

輸送園芸は、都市部から離れた場所で園芸農業を行うことを意味します。
都市部から離れれば離れるほど収穫してから届けられるまでに時間がかかり鮮度が落ちてしまうデメリットがあります。
ですが近年は輸送技術も進歩しており、以前よりもスピーディ―に、鮮度を保ったまま都市部に届けられるようになりました。
都市部近郊よりも土地を充分に確保でき、土地の価格や人件費も比較的安いです。
かなり距離がある場合は都市部と気候に差があるケースもあります。
気候に差がある場合は差を利用して出荷を遅らせたり早めたりすることも可能です。
旬よりも早く農作物を収穫して出荷時期を早めることを促成栽培といい、旬よりも遅く農作物を収穫して出荷時期を遅らせることを抑制栽培といいます。
土地や人件費が安く近郊農業よりも効率よく農作物を収穫しやすいメリットがありますが、農作物を販売して利益を出さなければならないことに変わりはありません。
一定のスピードで同じクオリティの農作物を、よりコストを抑えて作るかを考え続ける必要があります。

日本の園芸農業

日本では特に北海道、千葉県、高知県、群馬県、愛知県、栃木県などが有名です。
北海道はタマネギやニンジン、ジャガイモなどの野菜の収穫量が多いです。
東京都などの都市部からは離れていますが、広い土地を確保できることもあり園芸農業は盛んに行われています。
都市部に近い地域では、千葉県や群馬県、愛知県、栃木県などの園芸農業が盛んです。
高知県などの比較的暖かい気候の場所では、寒い時期には収穫量が少なくなる夏が旬の農作物を早めに収穫、販売できます。
反対に都市部より気温が低い地域では冬が旬の農作物を早めに収穫、販売できます。
日本は災害が多く、毎年さまざまな地域で台風や豪雨、地震による被害が出ています。 農業は自然災害の影響を受けやすいため、園芸農業を効率化するためには充分な対策を取り入れる必要があります。

世界の園芸農業

世界で園芸農業が盛んに行われている地域を紹介します。 オランダ、北アメリカ東部、地中海沿岸では特に園芸農業が盛んです。
地域ごとに作っている農作物には違いがあります。それぞれの違いも確認しましょう。

オランダ

オランダの園芸農業はチューリップが有名です。 チューリップの他、野菜や果物の栽培、収穫も盛んに行われています。
収穫され他農作物はオランダの都市部だけでなく、フランスのパリにも輸送されます。
オランダは国土が狭いものの周辺にヨーロッパの都市部が数多く点在しており、輸出によって利益を出しやすい特徴があります。
広大な土地を確保できない分、工夫を重ね、効率化、デジタル化が進んでいるのも特徴の一つです。
園芸農業のために多額の資本を投資しているため生産性も高く、充分に利益を出せる仕組みが整っています。

北アメリカ東部

北アメリカ東部の都市圏のことをメガロポリスといいます。 メガロポリスにはニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ボルティモア、ワシントンD.C.といった大都市が連なっています。
このメガロポリス周辺で園芸農業を行えば、どこの都市部にも農作物を届けやすく、大きな利益を生み出せます。
メガロポリスに新鮮な農作物を届けるため、周辺では近郊農業が盛んに行われています。
フロリダはメガロポリスから少し距離が離れていますが、メキシコ湾岸に至るまで温暖な気候が一年を通して続きます。
メガロポリス周辺との気候の差を利用して、寒い時期には収穫量が少なくなる農作物の栽培に力を入れています。

地中海沿岸

地中海沿岸は地中海性気候といった独特の気候です。 近くにはヨーロッパの都市部が多くありますが周辺とは違う気候ですので、気候の差を活かした園芸農業が盛んに行われています。
寒い季節には収穫できない農作物を多く栽培できるため、季節を問わず国内外に輸送して利益を出せます。
どの都市部からもアクセスがよく輸送しやすいメリットもあります。
新鮮なまま農作物を届けられるだけでなく、輸送にかかるコストも抑えられます。

園芸農業の理解を深めよう

園芸農業の特徴、近郊農業と輸送園芸の違い、日本と世界の園芸農業の特徴を紹介しました。
農作物を収穫、販売して利益を出すことを目的にしているのが園芸農業です。
都市部では充分に農作物を収穫できない分、周辺での園芸農業は効率的です。
より都市部に近いエリアでの園芸農業を近郊農業といい、都市部から離れたエリアでの広大な土地や気候の差を活かした園芸農業を輸送園芸といいます。
園芸農業は日本でも盛んに行われていますが、ドイツや地中海沿岸、北アメリカ東部での園芸農業も有名です。それぞれの違い、特徴を抑えると、より理解が深まります。
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