華道と生け花の違いとは?

華道は日本の伝統文化の一つです。華道=花を生けるものと考えている方も多いかもしれませんが、実は、華道と生け花は似て非なるものです。 本記事では華道と生け花について、成り立ちやそれぞれのイメージ、学び方の違いを解説します。後半では、近年習い事としてもポピュラーな、フラワーアレンジメントとの違いについても触れています。ぜひ最後まで読んで、この機会に華道や生け花の違いを理解しましょう。

華道とは?

華道とは? 華道とは、茶道・書道と合わせて三道と呼ばれる日本の伝統文化の一つです。 華道の起源は中国の隋・唐時代にまで遡ると言われており、渡来人によって日本に持ち込まれました。当初は仏教の伝来によって仏に花を供えるということが目的でした。

時代が下るにつれ、日本の地理・環境、国の情勢や時代背景に合わせて独自の文化が作られ、室町時代には女子教育に欠かせないものとして確立されたと言われています。昭和時代頃までは華道や茶道は花嫁修行の一つと呼ばれた時代もあり、長く日本に息づいた文化です。 教育の一環でもあった華道では、ただ単に花を生けるだけでなく、作法や礼儀も学ぶことが可能です。また花を生ける上で精神的な部分を非常に重視しており、華道を通して人としての魅力や内面を磨くという意味もあります。

花道と表記されることもありますが、同じものを意味しており、一般的に使用されるのは華道の表記です。

生け花とは?

生け花とは? 生け花は花や草木などを花器に生けて、作品を作ることです。器に剣山という針がたくさんついた道具を乗せて花や草木を生けるのを想像する方が多いかもしれません。実際には必ずしも剣山を使うわけではなく、花瓶を使うこともあり、思い思いに花を生けます。 もともと花を生けることは貴族や武家のたしなみで、庶民が楽しめるものではありませんでした。しかし江戸時代に入ると、庶民の間でも花を生ける文化が広がり、生け花として発展していくようになります。

江戸時代中後期には、江戸で古流、大阪で未生流など生け花の流派も生まれ、生活に花を取り入れることが日常的となっていきました。 このように、生け花は生活の趣味として広がっていった文化です。厳格なルールはなく、花や草木を楽しみ、各々の自由な感性で作ります。

和のイメージが強いので「和室に飾らなければならない」と考えている方もいるかもしれませんが、飾る場所も自由です。そのため文字通り生活に華を添えるインテリアとして、気軽な気持ちで楽しめます。 なお生け花を「活け花」と表記することもありますが、基本的には同じものです。

華道と生け花のイメージや学び方の違い

華道と生け花のイメージや学び方の違い 華道と生け花の特徴が理解できたところで、イメージや学び方の違いも知っておきましょう。

イメージ

華道は礼儀や作法に厳格なルールがあります。また流派があり、しきたりや花を生ける型は流派ごとに異なるのも華道の特徴です。 茶道や書道にも流派がありますが、同じようなものと考えておきましょう。 また、花を生けるとき、花に何を感じ、その感情をどう見せるのかという精神性も重要になります。

自分自身の感性を使って生けますが、花や草木など、自然のものに宿る命にも意識を向け、深く理解することを求められるのが華道です。教育でもある華道は、花を生けるという経験を通した修行と考えられています。 一方、生け花はかしこまった印象があるかもしれませんが、基本的には自由で、自分の思ったように花材を生けて、その美しさを楽しみます。きちんと花屋さんで花材を手に入れなければいけないわけではなく、道端や庭に咲いた花や草木などを取り入れて自由に楽しめるのが生け花です。

学び方

華道は流派によってしきたりや型が異なります。本格的に学びたいのであれば、流派が開催している教室に参加するといいでしょう。 池坊や草月流、小原流、龍生派など、さまざまな流派があります。まずは、いろいろな流派の花を見てみて、ご自身の感覚や好みに一番合うものを選んでみるのがおすすめです。

流派がワークショップを開催していることも多いので、ワークショップでまずその流派のしきたりや型に触れてみるのもいいでしょう。 厳格なルールがない生け花は、特別教室に通わなくても、誰もがすぐに楽しめるものです。ただ、生け花にもテクニックや上手な花の見せ方などがあるため、生け花教室に行って学んでみると、花の生け方の幅が広がるでしょう。

本格的なものから、カルチャーセンターで行われているような気軽なレッスン、1日だけ参加できるワークショップなどもありますので、近くで開催されている教室を調べてみましょう。

華道とフラワーアレンジメントの違い

華道とフラワーアレンジメントの違い ここまでお話ししたとおり、華道は花を生けることを通して学びを得たり、精神の修行をして内面を磨いたりするものです。フラワーアレンジメントは趣味の要素が強く、その点では生け花に似ています。 華道は花材を使い、空間を活かして世界観を表現します。花材や草木だけでなく、苔などを使用して華やかさではなく、わびさびを表現する作品も多いです。

もちろん華やかなものもありますが、作品を通してさまざまなメッセージを伝えます。 一方、フラワーアレンジメントは豪華絢爛という言葉がまさにピッタリで、たくさんの花をスポンジに隙間なく詰めて、華やかな作品を作り出します。フラワーアレンジメントはどの方向から見ても美しいようにデザインされていますが、華道は一枚の絵のように一面から見ることを考えて花を生けるのが一般的です。

生け花とフラワーアレンジメントの違い

生け花とフラワーアレンジメントの違い フラワーアレンジメントは花瓶がなくてもそのまま飾れるので、花束よりもフラワーアレンジメントを選ぶ人が増えており、プレゼントとして人気です。洋風なイメージが強いため、現代の家の作りにも合いやすいと言えるでしょう。 生け花とフラワーアレンジメントは、どちらも自由なイメージで花を生けるという点では同じです。生け花が花器や剣山を使うのに対し、フラワーアレンジメントは一般的に専用のスポンジに花を挿して形を作っていきます。

また、生け花は引き算の美学です。生け花はそれほど多くの花材や草木は使用せず、空間を見せることに重点を置いています。 一方フラワーアレンジメントは足し算の美学で、ゴージャスさがポイントです。先ほども解説しましたが、花をたくさん詰め込んだようなアレンジが一般的で、テーマはそれぞれあるにしろ、場が華やぐようなデザインを作ります。

花を取り入れたインテリアで生活に彩りをプラスしよう

花を取り入れたインテリアで生活に彩りをプラスしよう 華道と生け花の違い、フラワーアレンジメントの違いをご紹介しました。同じ日本の文化でも華道と生け花には大きな違いがあることが分かったと思います。 生け花なら華道のようにしきたりや型を学ぶ必要がないので、思い立ったときにすぐ始められます。花を生けることを通して、成長したり、自分を磨いたりしたいと考えているなら、華道を本格的に学んでみてもいいでしょう。

華道でも生け花でもフラワーアレンジメントでも、花は生活に彩りをプラスしてくれます。お部屋のテイストに合わせて、好みのスタイルで花を取り入れてみましょう。
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