華道とは?初めての人向けの基礎知識を紹介

華道とは、旬の草花を器に生けて花材の美しさや空間を楽しむ日本の伝統文化です。 正しい礼儀作法やセンスがないと難しいイメージがあり、始めることができない人もいるのではないでしょうか。

華道はどの統派を選ぶかによって学ぶ内容は異なるものの、基本的なことさえ覚えてしまえば、毎日の暮らしの中でも楽しむことができます。 今回は華道の歴史や必要な道具、代表的な統派まで基本的な知識を初めて学ぶ人に向けてご紹介します。

華道とは?

華道とは? 華道とは草花を生ける人とそれを鑑賞する人、双方が日本の旬の草花を存分に楽しむことができる伝統芸術です。最近は、花道や生け花と同意で使われることも増えてきました。 華道では、草花にも人と同じように命があると考えられています。限られた花材でそれぞれの魅力や空間を美しく表現するにはどうすればいいのか、季節感と取り合わせを意識しながら作品を作る過程を楽しむことができるのも魅力です。

空間を多くの花で埋め尽くし、華やかな見た目を楽しむドライフラワーとは対照的な花の楽しみ方となります。 華道が作り出されたのは室町時代中期。始まりは仏様に草花をお供えする供花(くげ)とも言われています。当時は細かい決まりごとが複数あり、現代の華道とは一味違ったものでした。江戸時代中期以降は手軽に始めることができる生け花が人々に広まり、現代でも進化を続けています。

華道で使われている道具

華道で使われている道具 華道を楽しむために必要な道具は複数あります。ここでは、基本的な道具を見ていきましょう。

花ばさみ(花鋏)

花ばさみは、花材をカットするときに使います。鋼製とステンレス製があるので、手に取って使いやすいものを選びましょう。 鋼製は水分に弱く錆びやすいため、使用したあとは水分をきれいに拭き取ったり、定期的に研いだりしてメンテナンスしなければいけません。メンテナンスが面倒だと感じる人は、ステンレス製の花ばさみを選ぶといいでしょう。

花留め

花留めは、枝を差したり茎を埋め込んだりするときに使います。剣山または七宝と呼ばれるもので、金具の針が何本も付いているのが特徴です。 初めての人は、使用する花器の大きさに合ったサイズで、滑り止めが付いたものを選ぶといいでしょう。専門店に行けば、滑り止めが単品で販売されています。自宅で楽しむ場合は、花留めの代わりにビー玉やスポンジを代用するのもいいでしょう。

花器

花器はデザインや大きさが豊富なので、どのように生けたいか考えながら選びましょう。初めての人はシンプルなデザインで、そこまで大きくないものを選ぶのがベターです。 奇抜なデザインの花器は花材とのバランスを考える必要があるので、難易度が高くなります。自宅で楽しむ場合は、コップなどの容器を使ってみるのもいいでしょう。

華道で使う道具の購入先

華道で使う道具は、専門店のスタッフやお稽古を始める予定がある人は華道教室の先生に相談して購入するのがベストです。 大型店舗のお花屋さんやホームセンターで販売されていることもありますが、錆びにくい素材の花ばさみや滑り止め付きの花留めなど専門的なものは取り扱っていないこともあります。

代表的な生け方

代表的な生け方 華道にはさまざまな統派があるものの、基本的な草花の生け方は同じです。ここでは、代表的な生け方の手順を見ていきましょう。
  • 1.主材(3本の枝)を生け骨格を作る
  • 2.配材(2本の花)を挿して空間の雰囲気を作る
  • 3.あしらい(いける花)を挿して色のコントラストを整える
  • 4.ねじめで緑を足して全体の雰囲気を整える

生けるときのポイント

お花は花材を見る人に向けて生けます。華道は生花を美しく見せるものですので、大ぶりの葉っぱや草ものなどを低い位置に置き、針金や剣山などの人工物をうまく隠しましょう。 また枝は剣山に何度も挿すと根元が柔らかくなり、挿しにくくなってしまうものです。花材の根元を花はさみで斜めに切ると、挿しやすくなります。

代表的な流派

代表的な流派 華道には2,000~3,000程度の統派があると考えられています。その中でも代表的な統派が池坊(いけのぼう)と草月流(そうげつりゅう)、小原流(おはらりゅう)です。3大統派とも言われています。ここでは、各統派の特徴を見ていきましょう。

池坊(いけのぼう)

池坊は華道を作り出した家元です。そのため他の統派のように、流と付けて呼ぶことはありません。 花の生け方は立花と生花、自由花の3種類です。華道を初めて学ぶ人は、ある程度自由に楽しむことができる自由花から学ぶのがいいでしょう。立花と生花は伝統的な要素が強く、覚えなければいけないことが多いため慣れてから学ぶのがおすすめです。

草月流(そうげつりゅう)

草月流にはルールがなく、芸術的に華道を楽しむことができる統派。花を挿さずに木だけで作られたものや生花ではなく金属を使ったものもあり、個性的な作品が多いことが特徴です。 初めての人は基本立真型や基本傾真型を通して型を学んでから、自由な発想で作品を作ります。伝統やルールに捉われずに華道を楽しみたい人には心地良いものになるでしょう。

小原流(おはらりゅう)

小原流は明治時代中期に作られた西洋の花を積極的に使用する統派。花の生け方は盛花と花意匠、瓶花、花舞の4種類です。その中でも口が広い器に名前のとおり花を盛るようにして美しさを表現する生ける盛花は、花材だけでなく水盤の景色を美しくする楽しみ方もできます。 盛花は当時、多くの統派に影響を与えたと言われています。華道を楽しむだけではなく、毎日の暮らしでも使えそうな生け方を学ぶことができます。

華道を毎日の暮らしに取り入れよう

華道を毎日の暮らしに取り入れよう 華道は、四季折々の草花を使用して作り出す線や空間の美しさを楽しむことができる日本の伝統芸術です。決して堅苦しいものではなく、基本さえ学んでしまえば毎日の暮らしに誰でも簡単に取り入れることもできます。 少しでも気になった人はまずは自宅にあるコップやガラス容器など身近なものを使って、お花を生けてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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