和服(着物)とは?和服(着物)の種類について

和服(着物)とは

和服(着物)とは?
もともと和服(着物)という言葉は西洋の洋服に対して日本の衣服を表す言葉として明治時代に生まれました。

和服という言葉

和服という言葉は洋服が時代とともに日本文化に浸透していくにつれて、本来意味していた着る物全般という意味から、日本の衣服、着物という意味合いで使われるようになり、さらに時代が進むことで、着るものという本来の意味から、いわゆる羽織りなどの着物や、和装などに用いられる衣類を指すようになりました。

衣類を大きく分類

一般的な衣類は大きく3つに分類でき、次にその概要について細かく解説します。

懸衣型

懸衣型は布を裁断したり縫ったりすることなく身体に巻いたり掛けたりすることで衣類となるものを指します。
貫頭衣形式
布に穴を開けたり、切り目を入れて頭部や腕部を通して見頃になる形式の衣類です。別名ではポンチョ形式と言われることもあり、中南米の原住民の衣類などが代表的です。
巻衣(まきい)形式
巻衣形式は布を身体に巻いたり掛けることで衣類となるもので、代表的なものにはインドのサリーや、ギリシアのキトン、ローマのトーガなどがあります。

寛衣型

寛衣型は緩やかなワンピース形式の衣類です。
寛袍(かんぽう)形式
寛袍(かんぽう)形式は別名でローブ形式とも呼ばれ、身体を緩やかに包むワンピース形式の衣類で、代表的なものには中国服やヨーロッパ中世のブリオーなどがあります。
前開(あ)き服形式
前開き服形式は別名でカフタン形式と呼ばれ、前身頃を合わせたり、あるいわ開いたまま用いる衣服の形式です。代表的なものにはトルコのカフタンや、日本の和服などがあります。

窄衣型(さくいがた)

布を切ったり縫ったりすることで身体に合わせて作らる衣服のことです。かつては北方の寒冷地などで多くみられましたが、温暖な地域でも着られています。
密着服形式
別名ではシャツ形式と呼ばれ古代エジプトや、古代メソポタミアの男女の衣類に用いられた形式です。
円筒服形式
チュニック形式の衣類のことで、近・現代の洋服はほぼチュニック形式で作られます。また中国の諸民族に伝わる胡服が代表例として挙げられます。

和服(着物)の歴史について

和服の歴史は古墳時代にはすでにある一定の形式の着衣を用いていたことが埴輪などの出土品から推察されています。 奈良時代には唐の漢服から影響を受けたとみられる衣装と、身分階級による衣装の違いがあったことがわかっています。 平安時代には遣唐使の廃止から国風文化が栄え、上流階級の間では十二単や束帯などの新しい衣装が生まれました。またこのころの庶民たちは後の着物の原型にもなる小袖一枚に腰帯といったスタイルが定着していたようです。 鎌倉・室町時代以降は、武士の台頭により階級間の隔たりが薄れ、庶民の間で用いられていた小袖に袴を合わせた小袖袴が一般的な略装になっていきました。現代の男装の正式とされる羽織袴は小袖袴に羽織をまとったものです。 その後の江戸時代になると袖丈が伸びたり、帯が長大化するなど形状はより複雑化し、それとともに絵柄なども現れるようになるなど平安の世生に合わせて華やかな変化が生まれました。現代の振袖もこのころから着られるようになりました。 明治時代になると西洋人と接点の多かった人々から徐々に洋服が定着していき、それと区別するために日本在来の衣服は「和服」と呼ばれるようになります。 大正時代に入ると、まだ和服を着ていた女性の間にも身体の動作を妨げる和服から洋服へと変わっていく流れが進むことになりました。 それから昭和以降現在まで、和服の需要は減少し、冠婚葬祭などの限られたシーンでのみ用いられるようになりましたが、近年では和装着用を再び評価するような運動がインターネットを中心とした一部で見られるようです。

和服(着物)の種類

和服(着物)の種類
和服は大きく分けて大人の男性・女性用と子供用の3つに分けることができ、大人用のものはそこから、正装・普段着の二つに分けることができます。もともと男女兼用のものはありませんでしたが、近年では羽織が一般化していたり、女性用の甚兵衛や作務衣なども存在します。

女性の正装

女性の正装用の着物としては黒留袖、色留袖、振袖、訪問着、喪服、付け下げ、袴などがあります。
  • ・黒留袖は、既婚女性の正装とされており、柄となる絵羽模様も腰より下に配されています。
  • ・色留袖には黒以外の縮緬が用いられ、黒留袖が五つ紋(染め抜きの日向紋)だけがつけられるのに対し、色留袖では5つ紋以外に3つ紋やひとつ紋なども場合もあります。
  • ・振袖は主に未婚女性が着用する正装です。袖の長さにより大振袖、中振袖、小振袖に分けることができ、婚礼の際には大振袖、成人式などは中振袖のように使い分けられています。文様は絵羽文様だけに限らず、小紋や無地のものもあります。
  • ・訪問着は縮緬・綸子・朱子地・紬地などで作られる和服で、未婚・既婚の区別なしに着用できる絵羽文様のある正装です。正装ではありますが、あくまでも普段着とされているため正式な席などに適さないとされています。
  • ・喪服は関東では羽二重、関西では一越縮緬を使用した五つ紋付きの黒無地服です。喪服の中には略喪服と呼ばれる黒以外の鼠や茶、紺色の地色に黒の帯を合わせたものもあり、血縁や式典の種類によって使い分けられています。
    また喪服は古来より白を用いるのが一般的でしたが、近年では洋装文化の影響を受け黒を用いるようになったようです。
  • ・付け下げは訪問着を簡略したもので、絵羽模様がありません。訪問着との大きな違いは、柄の大きさや縫い目での繋がりのほか、すそ回しが表生地とは別う生地が使われていることが挙げられます。
  • ・袴は明治・大正期に学校の制服として使われたほか、現在でも入学・卒業式などで下半身の正装として用いられています。男女問わず着用されます。

女性の普段着

女性の普段着には訪問着や付け下げの文様を小さく全体に配した小紋や、紬糸で仕立てた紬、家庭でのくつろぎ服や夏のお祭りの際などに用いられる浴衣などがあります。

男性の正装

男性の正装には五つ紋付、黒の羽二重、アンサンブル、縦縞の仙台平などがあり、下半身には基本的に袴を着用します。正式な黒紋付として黒羽二重に紋をつける際は日向紋を5つ付けます。アンサンブルは、長着、羽織り、袴をセットにしたもので和名では「お対」と呼ばれます。その他、正装の際の足袋の色は白、草履を履くときは畳表、履物の鼻緒は慶事の際はしろ、弔事の際は黒と決まっています。

男性の普段着

男性の普段着としては、黒以外の生地を用いる紋なしの色無地、浴衣、禅宗の僧侶が雑務などの際に着る作業着の作務衣、ホームウェアとして一般化した甚平、どてらとも呼ばれる厚い綿を入れた防寒用の上着の丹前、お祭りなどで切られることが多い法被などがあります。

結婚式での新郎新婦

結婚式における和装について、新婦は白無垢、色打掛、引き振袖が用いられます。一方新郎は紋付羽織袴が一般的で、第一礼装とされているのは黒の紋付羽織袴ですが、新婦の衣装と合わせて色付きのものを選ぶこともあります。

まとめ

普段生活の衣類としてはマイノリティになっている和服ですが、冠婚葬祭などの儀式や祭典、行事などではまだまだ伝統的に用いられていることがわかりますね。また近年では和装を見直す運動もあり、改めて普段着に和装を取り入れてみるのも意外な発見があるかもしれませんね。
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