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日本刺繡(にほんししゅう)とは
日本刺繍とは日本で古くから行われてきた刺繍のことです。着物などの柄は日本刺繍の培われてきた高い技術が使われています。
着物を豪華に見せる、また、縁起の良いものをデザインして「着る意味」を持たせる日本刺繍。今回はそんな日本刺繍について紹介していきます。
日本刺繡の歴史
日本刺繍の歴史は古く、5世紀ごろに仏教と共に大陸から伝えられたのが始まりと言われています。
その後、時代と共に、それまではほとんど信仰のための繍仏に使われていた刺繍が衣類の装飾に多用されるようになると、日本独自の技法が次々と創作されていきました。現在使われている技法の殆どが、そうやって桃山時代から江戸時代の職人たちの手によって完成されていったものです。
明治・大正時代には、緻密な技法を凝らした刺繍が流行し、今に残る着物や半襟、帯などにその素晴らしい職人技の粋を見ることができます。
現在も、着物や半襟などの和装のものに刺繍は用いられていますが、様々な小物やインテリアにと活用の幅は広がっており、その繊細な色使いと立体感、絹糸の光沢、古典文様を中心とした洗練された図案など、日本刺繍は格調とその美しさで見る人を魅了しています。
日本刺繡で使われる用具
日本刺繍で使われる主な用具を紹介します。
糸
釜糸(かまいと)と言われる撚りのかかっていない絹糸を、そのままか自分で撚りを掛けて使います。
何本もの糸を合わせることで太さを自由に変えることが出来、色数も市販のものだけでも500~600色あります。
しかし、現在では日本刺繍糸を製造する業者は減ってきてしまっています。それは、糸を作る技術はとても高いものが必要であり、技術を維持・継承するのにはとても大変だからです。糸の色の種類が数多くある分、そのニーズに応えるのはどうしても大変になります。
針
針は日本刺繍専用のものです。手打ちのものと機械で作ったものがありますが、やはり手打ちのものが布通りもよく使いやすいようです。ただし、これらの値段は差がかなり出てしまいます。機械で作った針は10本で700円~1,000円くらいですが、手打ちによって作られた針は1本1,000円以上もします。1本あたり、10倍以上の値段の差があるのですね。。。
また、針の種類もたくさんあります。それらは太さによって分けられており、切付(きりつけ)や中太(ちゅうぶと)などの種類があります。
刺繍台
刺繍する布地を張るための組み立て式のものです。
日本刺繍は両手を使って繍うため、この刺繍台にしっかりと生地を張らないと仕事が効率よく出来ません。
また、ここに布を張ること、それ自体は少し面倒な作業になります。適度な張り感を出すには相応の経験が必要になってきます。また、実際に使うときには生地が縮むためそれも計算しながら作成していく必要があり、大変です。
日本刺繡の技法
日本刺繍には様々な柄を表現するためにたくさんの技法があります。それらは、よりリアルな模様を作り上げ、着物をより豊かなものにしてくれました。その中でも特に代表的なものを4つ紹介していきます。
駒取りとは
日本刺繍のステッチの一種で、コーチング・ステッチと同じです。「駒繍い」のことです。「こま」とよばれる特殊な糸巻きに巻いた金糸や銀糸、太い絹糸を下絵にそって置き、「こま」を操作して糸を調節しながら別糸で目立たないように押えます。模様の輪郭線や強調する部分に用い、鎌倉時代以後の作品にみられます。「本駒」、「片駒」、「陰駒」、「平埋め」、「ちゃらぬい」などの刺し方があります。別名、「駒返しぬい」、「駒取り」、「伏せぬい」といいます。
相楽縫いとは
まずは相楽縫いとは何なのかについて紹介します。
相楽縫いはシュエニール縫いとも呼ばれる、毛糸をすくい上げながら模様を描く刺繍技法です。
ふわふわとした感触や立体感のあるところが特徴的で、見ていると温かい感じがします。
毛糸をカギ針に引っかけて引き上げることで、ループを作ります。
それからパイル状に仕上げる、というループステッチを使っているので、ボリューム感が他の縫い方とは全然違います。
縫い切りとは
ピース同士を中表に合わせて縫うとき、布の端から端までを縫う方法で、縫い代分も縫います。パターンによっては一方の端は縫い切り、もう一方の端は縫い止まりにする場合もあります。
割り縫いとは
割り縫いは、印通りに塗ってから縫い代を割り開く始末法です。裁ち目が隠れ、薄くきれいに仕上げることができるので厚手やタオル地などのほつれやすい布地に向いています。
刺繍もこの技法を使うことでデザインが剥げにくくいつまでも使い続けることができるもの仕上げることができています。
まとめ
このように日本刺繍には現代まで培われてきた長い歴史と、それに伴う時代時代の職人さんたちの努力の成果である技術の結晶が現代でも受け継がれています。普段何気なく見る刺繍かもしれませんが、その裏に隠されている歴史や高い技術を知ることができればまた違った楽しみ方ができるかもしれません。