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柔道の歴史
柔道は世界的にもよく知られた日本発祥の武道です。
もともとは武道として武家を中心に柔術の発展形として親しまれましたが、様々な経緯を経て現在はスポーツや格闘技としても楽しまれ、国際的なオリンピック競技にもなっています。
今回はそんな柔道について詳しく解説いたします。
いつ作られた
柔道は柔術を創立者である嘉納治五郎が柔術(天津真楊流)と起倒流柔道の技を発展させて作りました。
成立時をいつにするかは1882年に東京の永昌寺に開いた講道館からとされています。
しかし柔道という言葉自体は江戸時代から使われていたため、当時は嘉納流柔道と呼ばれていました。
いつ海外に広まった
柔道が世界に広まったきっかけは創始者である嘉納の功績によるところが大きいとされています。
嘉納は柔道の創立以降、弟子たちを海外に派遣し、権力者たちの前で実際に試合や乱取りを見せり、時には野球の前座で投げ技を披露するなど地道な活動を行いました。
その結果、徐々に海外からの門下生も増え、日本で技を会得した彼らが、自国に帰り道場や支部を開くなどして世界に広がっていきました。
それから現在に至るまで、柔道は世界中の国々で行われており、国際柔道連盟に登録している国は200カ国を超えています。
2016年の世界の柔道人口調査によれば、1位のブラジルで200万人、2位のフランスで56万人、3位のドイツでは18万人と発祥国である日本の16万人を超える人気となっています。
いつオリンピック競技になった
柔道がオリンピック競技に初採用されたのは1964年の東京オリンピックからです。
当時は男子のみ、重量階級別で軽量級、中量級、重量級、無差別級の4階級で行われました。
この大会で発祥国日本は無差別級を除く3階級で金メダルを獲得しました。またこのオリンピックをきっかけにスポーツ競技としての柔道は世界に広まっていくことになります。
柔道競技
競技としての柔道は10cm四方の畳の中で競技者が試合を行い、勝敗を争います。
競技者は白、あるいは青のいずれかの柔道衣を着用し、投げ、寝技などを繰り出し、どちらかが「一本」をとった時点で試合終了となり勝敗が決します。
ポイントとなる一本、技あり、有効などの判定は主審が行います。
また主審は消極的な姿勢に対する指導や、服装の乱れを正すよう促すなど単に技に関する判定以外の役割も担います。
試合形式に関しては男女別で行いますが、個人戦であれば体重別に決められた階級に沿って行い、団体戦は数人のチームで行います。
また近年では混合団体という男女によるチーム戦も行われます。
オリンピック
競技スポーツとしての柔道について、男子柔道は前述の64年東京オリンピックから68年のメキシコ大会を除いた大会で実施されており、
女子は88年のソウル大会で公開競技、92年のバルセロナ大会で正式種目となっています。
直近の2021年東京オリンピックでは、個人戦は敗者復活戦のあるトーナメント方式、試合時間は男女ともに4分で、決着がつかない場合、
時間無制限のゴールデンスコア方式による延長戦が行われました。
女子柔道
女子柔道について、女子柔道の始まりとされているのは1893年に初めて稽古を許された芦屋スエ子さんとされています。
その後は1901年に嘉納治五郎に許可され講道館の門弟となる大場久美子さんと続きます。
続いて1934年に講道館にて正式に女子部が規定され、女性の社会進出などの時勢を受けて、1992年のバルセロナオリンピックから正式種目となりました。
柔道団体戦
受動の団体戦は数人で構成されたチーム同士で勝敗を争います。
団体戦の形式は決められた順番同士で争う対戦方式と、負けるまで同じ選手が戦う勝ち抜き方式があります。
国内の団体戦では体重に関わらず試合を行いますが、世界戦では一般的に体重別に行います。
世界柔道
世界柔道は1956年から開催されている国際柔道連盟(IJF)による世界柔道選手権大会のことです。
オリンピックと並ぶ柔道の世界一を決めるツアー大会で、ワールドマスターズ(世界ランキング上位36名による大会)、
グランプリ(世界各国で行われる10大会)を含めてIJFワールド柔道ツアーと呼ばれます。
全日本柔道選手権大会
全日本柔道選手権大会は年に一度、日本武道館などで行われる男子柔道の無差別級日本一を決める大会です。
全日本学生柔道優勝大会
全日本学生柔道優勝大会は、毎年6月に日本武道館で行われる日本の学生柔道を対象とした団体戦です。
1952年の第一回大会から初まり、1992年には女子大会も開催されています。
基礎知識
柔道の概要について見てきたところで、柔道の魅力や、「礼に始まり礼に終わる」という精神面などを含めた基礎知識をご紹介します。
柔道の魅力
スポーツや競技としての柔道が注目されがちですが、柔道の魅力はエンターテインメントに止まりません。
柔道本来の魅力は心身の力を最大限有効活用することであり、それは日常生活においても発揮されます。
また、柔道を通じて、相手を尊重し、共助や思いやりを学ぶことで、お互いを高め合っていくことが大切とされています。
柔道衣
柔道を行う際に着用する衣服で、上衣と股下に分かれています。
道衣を現在の形にしたのは講道館が始まりとされ、それまで上衣は肘まで、股下は腿の辺りまでしかなかったものが、1907年頃から現在の形になりました。
基本ルール
現在のルールでは試合時間は4分、その間に獲得したポイント数で勝敗が決まります。
終了時間に同点だった場合は時間無制限のゴールデンスコア方式の延長戦が行われ、技あり以上のポイントが決まった時点で勝敗が決まります。
試合場
正式な試合場は8間四方(1間=1.81m)です。その中に境界線をひき選手はその中で競技を行います。
ちなみに1間四方の面積=畳2枚のため、試合場には128の畳が必要になります。
技
講道館によると、投げ技が68種類、固技が32種類となっています。
受け身
受け身は、後方受身、側方受身、前方回転の3種類があります。
後方受身は後頭部や背中、側方・前方受身は肩や胸などを衝撃から守ります。
段級位制
段級位制は、技量の程度を定めた等級制度で、講道館の嘉納治五郎が始めた段位制を基にし現在はIJFや各国が独自の基準で段級位制を設けています。
段級位
級は大きい数字から小さくなるにつれて級が上がり、段は数字が大きくなることで、段位が上がっていきます。
帯
段や級によって着用できる帯が異なり、下位から白帯、茶帯となり、初段から5段までは黒帯、6段から8段までは紅白帯、九段、十段は紅帯となっています。
昇級・昇段
各団体によって異なりますが、講道館の定める段級位制では、各地域で行われる試験に合格することで昇段・昇級することができます。
また初段以上では試合の他に、演武と筆記試験もおこなわれます。受験資格には年齢制限があるものもあるようです。
まとめ
以上が柔道についてのご紹介になります。日本発祥の武道が世界中で実践されているのは、相対的に見ると体格的に恵まれていない日本人ならではと言えるかもしれませんね。
運動不足や生活習慣病に悩まされがちな昨今、一念発起して挑戦されてみるのもいいかもしれませんね。