涼を感じる夏の風物詩 風鈴(ふうりん)について

涼を感じる夏の風物詩 風鈴(ふうりん)について
ちりんと涼しい音を出す夏の風物詩「風鈴(ふうりん)」、この音を聞くと夏を感じる人も多いのではないでしょうか。そんな日本に古くからある風鈴には、あなたが思っているよりもバリエーションに富むデザインと面白い歴史があるんです。

この記事では、涼を感じる風鈴の歴史と由来、そして風鈴の種類や楽しみ方について解説しています。 現代インテリアにも合うおしゃれな風鈴が多数登場するので、チェックしてみてください。

風鈴とは?

風鈴とは?
風鈴とは、軒下やカーテンレールに吊り下げて用いる小さなガラス鐘です。夏になると涼を求めて多くの日本家屋に設置されます。

おわん型の外見が特徴的で、その中に「紐」と「舌(ぜつ)」と呼ばれる小さな金具(硬貨、火箸、備長炭などを利用することもある)を取り付け、風の力を利用して音を鳴らします。 少ない風でもしっかり音が鳴るように、舌に紙製の「短冊」をくくって利用されるのが一般的です。

風鈴を設置することによって、風が吹けば涼やかな気持ちになる「ちりん」という音が心地よく、かなり風情を感じる夏のアイテム。 現代では、夏になるとスーパーやモール、インテリアショップなど様々な場所で販売されだします。
町を歩くときに「ちりん」と風鈴の音が聞こえだしたら、日本に夏が到来したのでしょう。

風鈴の歴史と由来

風鈴の歴史と由来
以前まで夏を乗り切る方法といえば、団扇(うちわ)や扇風機が当たり前でした。一方、現代では技術発展により、空調設備のクーラーが一般的です。これに対して冷風機器がなかった時代には、「風鈴」が夏を乗り切るアイテムとして一般的だったのです。

歴史をさかのぼると、2000年もの歴史をもつ風鈴。この章では、風鈴の持つ長い歴史と由来について詳しく紹介していきます。
地域の特性によって姿かたちを派生させつつ、日本人の夏を涼しいものに変えていたアイテムですので、歴史について知りたいという人はチェックしてみてください。

風鈴の歴史・由来

風鈴の歴史・由来
風鈴は約2000年前の中国で生まれたと言われています。その当初は、現代のようなガラス製のものではなく、青銅製のガランガランと音が出る「風鐸(ふうたく)」が一般的であり、大きさも巨大でした。
また、風鐸は当初「占い」を行うアイテムに利用されていました。竹林に吊るし、風によって起こる音の変化や風向きで占いを行うことから、涼しさ目的で用いられていなかったのです。

そんな中国で利用されていた風鐸ですが、あるとき中国を訪問していた日本の僧侶によって持ち帰られ、平安時代には寺の仏堂に利用されだしたと言われています。
日本で利用されはじめた際には、目的も「占い」から「魔除け」へと変化し、大きさも徐々にコンパクト化していきました。また、江戸時代にはガラス細工技術の発達により、現代のガラス製の風鈴へと姿を変えていったそうです。

夏を涼むアイテムとして普及しはじめたのは、おおよそ江戸時代からだと言われています。いろんな目的で利用されているのも面白いポイントだと言えます。

音の違いで楽しむ 風鈴の種類

音の違いで楽しむ 風鈴の種類
日本で広く流通している風鈴は、江戸時代に登場した「江戸風鈴」が有名です。ただ風鈴の種類はそれだけではなく、地域的特徴や伝統によって次のような姿かたちへと派生していきました。
  • • 岩手県:金属製の「南部風鈴」が登場
  • • 富山県:銅製の「高岡風鈴」が登場
  • • 神奈川県:陶器製の「小田原風鈴」が登場
  • • 兵庫県:伝統工芸品である火箸を利用した「火箸風鈴」が登場
  • • 沖縄県:貝殻を用いた「貝殻風鈴」が登場
ほかにも、ガラス製の風鈴については「琉球ガラス」「諏訪ガラス」など、地域によって様々な素材が用いられており、音色の違いを楽しむことができます。
今回は、その中でも代表的な「江戸風鈴」「南部風鈴」「小田原風鈴」についてご紹介していきます。

江戸風鈴

江戸風鈴
江戸風鈴とは、国内で一般的に知られているガラス製の風鈴のことを言います。登場したのは江戸時代ですが、名称などが決まっていなかったことから昭和30年代に「江戸風鈴」という名称が設けられたのが名前の始まりです。

ガラス細工を用いた風鈴ということもあり、形状、サイズなどがバリエーションに富んでおり、色のついたガラス細工を用いたものや、音をよくするために風鈴の切り口を波打たせたり、ギザギザにカットされたものなどもあります。

「ちりんちりん」と乾いた音を立てるのが特徴的で、乾いたガラスの音色がリラックスさせてくれます。

南部風鈴

南部風鈴
南部風鈴とは、緑色をした鉄製の風鈴のことであり、主に岩手県が生産の中心となっている伝統工芸品です。なんと環境省が公開する「残したい日本の音風景100選」にも選ばれるくらい魅力的な風鈴なんです。
除夜の鐘で有名なお寺の巨大な鐘をコンパクトにしたような見た目をしており、模様入りのデザインが風情を感じるアイテムとして親しまれています。

南部風鈴の大きな特徴は、ガラス製の風鈴と異なる「音」にあります。 「りーん」と澄んだ音を遠くまで響かせることができ、聞き心地の良い音色が人気を集めています。

小田原風鈴

小田原風鈴
小田原風鈴とは、鋳物を利用してつくられた鉄製の風鈴のことを言います。
すこし南部風鈴と似た特徴を持つ風鈴ではありますが、この風鈴はバリエーションに富んだ形状が特徴的な風鈴なんです。 たとえば次の通り。
  • • 鈴虫:おわん型の一般的な形状
  • • 松虫:鈴型の湾曲した形状
  • • 釣鐘:お寺の鐘を模した形状
  • • 小田原提灯:円柱型をしており、凹凸のある模様が特徴的
  • • 富士山:富士山のように山型の形状
形状によって音色の響きに違いがあり、選ぶ楽しさを持つ風鈴として人気を集めています。

風鈴の楽しみ方

風鈴の楽しみ方
形状や音色に違いのある風鈴ですが、自宅に置くことによっていろんな楽しみ方ができるんです。 さいごに、2つの楽しみ方についてご紹介しますので、自宅に取り入れてみてください。

音のリラックス効果

風鈴は、種類によって異なる音色を奏でます。 ちりんと乾いた音を出す江戸風鈴、リーンと音を響かせる南部風鈴など、響く音に違いがあるため、好みの音色の風鈴を選んでいくことによって音のリラックス効果を堪能できます。

風情ある風鈴の音を選んでいけば、自宅に涼しさを生み出すことができるため、気になる音色の風鈴を探していきましょう。

今の暮らしに取り入れてみる

風鈴に興味があるのなら、ぜひ今の暮らしに取り入れてみましょう。 風鈴を設置できるポイントは2つあるので、吊るしやすそうな場所に設置していきましょう。

玄関につるす

風鈴は風の効果によって音を鳴らすアイテムであるため、風の入り口に設置するのがオススメです。

最近の一般家庭では窓を開ける機会が少なくなっていることから、オススメの設置場所は玄関です。たとえば、玄関の閉まる勢いを調整してくれるドアクローザーに設置すれば、ドアの開閉に合わせて風鈴を鳴らせます。
帰宅時や来客がある際に心地よい音色を鳴らせるので、毎日風鈴の音を聞けるのも魅力的なポイントです。

インテリアとして

風鈴はただ音色を鳴らすだけじゃなく、インテリアとしても人気を集めています。とくに室内を和風に統一しているご家庭であれば、窓際に風鈴を設置するだけでより和風な雰囲気をつくり出せます。
また、複数種類を購入し並べるだけでもおしゃれな空間をつくり出せますので、インテリアの一部として取り入れてみてはどうでしょうか。

まとめ

以上、夏の風物詩である「風鈴」の特徴、歴史、そして楽しみ方について解説しました。夏にあると安心する風鈴、なんと2000年以上も歴史を持つアイテムなんです。

時がたつにつれて、姿かたちを変えつつ現代まで愛され続ける風鈴は、インテリアとしても人気があります。 これからの猛暑を乗り切るために購入してみてはどうでしょうか。
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