カレーCurry&Cafe 茶話sawa-福岡県太宰府市

Curry&Cafe 茶話sawa

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Curry&Cafe 茶話sawa

「和」の暮らしを大事にする人たちにフォーカスを当て、その方たちの生き方や人生観を”生の声”で語っていただくヒューマンドキュメントです。

Curry&Cafe 茶話sawaオーナー、澤原廣さん

澤原廣さん

福岡県の重要文化財である太宰府天満宮の傍で、飲食店のCurry&Cafe 茶話sawaを営む、澤原廣さんを取り上げさせて頂きます。

52歳で、「自分のお店を持つ」という長年の夢を叶えた澤原さん。

娘さんの田口優花さんにもインタビューに参加して頂き、お店を始めたきっかけや、お店づくりへのこだわり、夢を叶えた現在の想いについて、語って頂きました。

-Interview-

廣さん優花さん
オーナーの廣さんと、娘さんの優花さん

20年ほど前から始めたスパイスカレー作り

―お店を始められたキッカケを教えて頂けますか?
和と洋の雰囲気が味わえる店内 和と洋の雰囲気が味わえる店内。


2021年の7月にこのお店をオープンしましたが、スパイスカレーは20年ほど前から趣味でつくっていました。

最初はただただ、妻と子供に「美味しい」と言ってもらいたがために始めたのですが、味にも自信がついてきて、ようやく形になってきた時から、いつかそのカレーを皆さんに振り舞いたいという想いが密かにありました。

―お店を始めたいと考えたのはいつ頃からだったのでしょうか?
廣さん オーナーの廣さんがスパイスカレー作りを始めた20年前は、スパイスカレー自体も珍しかったという。


10年ほど前からですね。

元々はサラリーマンだったのですが、いろいろな事が重なり会社を辞めて、その少し後に、元は私の実家であったこのお店に住んでいた実の母が、高齢者施設に入る事となりこの家が空きました。

そこで、私のスパイスカレーと築100年のこの実家。太宰府天満宮の傍という土地。そこを活かして、プラスでもう一つの趣味である音楽を乗っけて、この4つを大きな柱として、お店が開業できるのではないか?という事で、このお店を開業しました。

―優花さんは、初めてお父様のカレーを食べた時のことは覚えていらっしゃいますか?
優花さん子どもの頃からお父様の廣さのスパイスカレーが大好きだった娘の優花さん。

優花(以下、優)
もう、最初の記憶はないくらいずーっと父がカレーを作っていたので、最初の記憶というよりも、父が台所に立っていれば「カレーの匂いがするなぁ」と言う思い出が強いですね。

ただ、毎回感想を求められるんですよ、凄い圧で(笑)


一口食った瞬間に「どう?!どう?!どう?!」って(笑)


「ちょっと待って!」って(笑)でも、母の作るカレーとは違ったスパイスの効いた、でも子供ながらに癖になるようなカレーを作っていて、たまに「カレー食べたいけん作ってよ」ってリクエストしたり。家に遊び来た友達に振舞ってもらった時はすごく好評で、「お父さんって何者?!」って言われたりもして(笑)

「それくらい父のカレーは美味しいカレーなんだな」というのはありましたね。

子どものころの写真が背中を押した

カウンター席店内に入ってすぐのカウンター席には、廣さんが長年収集してきた、ロック、ジャズ、クラシック音楽のCDやレコード、DVDが所狭しと並ぶ。
―お店を始めるとなった時、ご家族の反応はどうでした?


家族と言っても話していたのは妻限定ですけど、まず相談しても、商売というのがなんなのかイメージできない。自分でお店をやる。個人事業主になるというのがイメージできないということで、全く受け入れてもらえず…

―どちらかというと反対だったと…


そうですね。

ただ、僕思うのが、お店をやったりする人って、「俺は店をやるぞ!」って言う雰囲気を持っていたりするじゃないですか?「俺はいつか独立してやる!」「俺は将来店を持つ!」って。

僕、それがなかったんですよ(笑)


うんうん。


だから周りの人からすると「大丈夫なの?何を言っているのこの人…」って取られる。

―お店を開業されたときは、周りの方も驚かれたでしょうね。


ですね。今でもそう思っている人が多いでしょうね。近い友達ほど多いと思います。「あいつ大丈夫?!」みたいな。

―それでもお店を始めようとなった、一番の動機は何だったのでしょうか?
廣さんお店の準備で一番大変だった事は家の改装だったという。


正直言うとですね。これ、わかってくれる人はわかってくれると思うんですけど、例えば僕の好きなROCKとかって、ずっと聴いていると、やっぱりカッコいいんですよ、自分の憧れのミュージシャンとかって。

自分のやりたい事をステージで表現して、多くの人を感動させる。そしてそれがレコードやCDの記録として残って、何年も後になってもその記録が聴かれ続けるって。

でも、自分にそんな才能はないとずっと思っていて。それでも、自分を表現したい。そして多くの人に共感していただくと言うのをいずれかは、やらなきゃいけないと言うのはずっとあって。

―やらなきゃいけない…


そう。人生のヒストリでー、自分が死んだ時に「あぁ、澤原の廣君は、いい人だったよね。」で終わるのは嫌だなと。何かを残したいと。

優花さん廣さんの密かな想いを、優花さんはずっと感じ取っていた。


前々から、「お店をやりたいんだろうな」というのはヒシヒシと伝わってきていたんですよ。とは言っても、自分も実家暮らしの時は親の元で生活しているという思いもあって、じゃぁ生活ってどうなるんだろうとか、母の気持ちもなんとなく察していたので「いいじゃん!やっていいじゃん!」とは簡単には言えないと思っていたんですね。

でも、私も結婚するタイミングが来て家を出ることになって、先ほど父が言ったようにこの家も空いて。

そういう偶然が重なって、育ててもらった身としては、今までは家族を養っていかなくちゃいけないと言う父親の責任を背負っていたと思うんですけど、そこから一旦卒業おめでとう!と言うことで、娘の私からすると「やっていいじゃん!」みたいな感じで。

夢を実現するカッコいい父親の姿を見たい。と言うのもありましたね。

―素敵ですね。一番背中を押してくれたのは誰でしたか?
廣さん「父はすごく繊細で、めんどくさい人。」と語る優花さんに、笑いを隠せない廣さん。


いや、これに関してはもう、自分で自分の背中を押すしかないと言うところでしたね。言い方は悪いけど、切羽詰まった状況に自分の身を置いて、もう前に進むしかないと。

その中でも特に印象的だったのが、この家を工事する前にいろいろな片付けをしていた時、自分の小さい頃の写真が出てきたんですね。母と小学生の時の兄、幼稚園生の時の私の、3人が写っている写真で。

そのとき、「あぁ、この子、すごく引っ込み思案で、大人しくて、空気読みすぎて、何も言えなくなる子だったよね。」って、自分で自分の写真を見て思ったんですよね。

でも僕はその子に、「大丈夫だよ。自分が信じたとおり生きていっていいよ。」って、声をかけてあげようって思ったんですよね。

僕が、その子にとって自信が持てるような人間にならなくちゃいけないと言うのを、その写真を見たときに思って、あとは前に進むしかない!って思いましたね。

カレーのこだわり

欲張りダブル定番メニューの「欲張りダブル」。スパイスの効いたキーマカレーと、まろやかな味のスパイスカレーを同時に楽しめる。
―お店づくりにおいて心がけていることを教えていただけますか?


まず、このお店の目的は何かというと、お客様がこの場所に来て癒されて、くつろぐということ。僕らとお客様の出会いの場である。お客様同士の出会いの場所である。っていうことなんですね。

ただ美味しいカレーを出しておけばお客様が来ると言うのは、僕は間違いだなと思っていて。カレーが美味しいと言うのは大前提だし、僕の中では、カレーというのはこのお店の媒体でしかない。

美味しいカレーを出しているからみんな来るだろう。そういう所じゃなくて、くつろぎと出会いのこの空間。そのコンセプトを守り続けないといけない。それは僕の使命だと思っています。

―あえてお聞きしたいのですが、カレーにはどんなこだわりがありますか?
キッチンかつての生活を感じられるアットホームな雰囲気のキッチンに、カレーの香りが漂う。


食べ終わる時に「もう1回食べたい」と思ってもらえるかどうかが大事だと考えています。

食べ始めが美味しいというのはどのスパイスカレーも一緒だけど、スパイスカレーはキャラクターが強いだけに食べ終わる頃にはもういいかなと思ってしまうんですね。
そうじゃなくて、スパイスカレーの持っているスパイスの角をどう和らげるのかというのは考えています。

ご飯炊きたてのご飯に、作りたてのカレーをよそっていく。


福岡にも今、たくさんカレー屋があって、私自身もよく、それこそインスタで映えるようなカレーとか?友達と食べにいったりするんですけど、やっぱり日本人に合うカレーと言うよりも、本当に本格的なカレーで、めちゃくちゃ辛いんですよ。

ただ父のカレーは、食べ慣れていると言うのもあるけど、どちらかと言うとフルーティで、スパイスも効いているけど本格的過ぎず、日本人にも親しみやすい味で。

私も、ここが父のお店だからと言うのではなく、普通に友達と食べに行きたいなと思うような味ですね。


そうなんだ(笑)

お店づくりへのこだわり

赤のアクセントお店の細部にも廣さんのこだわりが宿る。随所随所に赤色のモチーフを置く事で、独自の雰囲気を演出する。
―(笑)お店のコンセプトという所に話を戻します。畳や襖、蓄音機やレコードなど。いわゆるレトロな物、和の物を置くのはどういう意図があるのでしょうか?


いわゆる古民家風のお店に、僕たちも訪れる機会はあると思うんですけど、そういうお店に置かれているものって民芸風のものが多いかなと思うんですよね。折り鶴じゃないですけど、なんていうのかな?


手毬とか…


そうそう。そういう日本的ものがいっぱい飾っている、民芸的な古民家が多いと思うんですけど僕はそこじゃなくて、大正モダンとか昭和レトロとか。僕らが経験してないけどなんとなく懐かしさを感じると言う部分にフィードバックしたい。

そういう意味で言うと茶話は、暖かみがあると言うよりは、むしろちょっと冷たい感じがあるんですよね。

和室この家で過ごした幼少期の体験が、このお店の演出に深く影響を与えているという。

―ちょっと、インダストリアルといいますか…


そうそう。落ち着いた空間の中にちょっとした「怖さ」が同居する感じ。

それこそ、*1The Velvet Undergroundみたいな(笑)若干、曲ポップなのに演奏へたで、なんか狂気潜んでいるみたいなのをどこかに含ませたいというのがあるんですよね。

だからただ単に民芸風で暖かみがあって、お店の人も優しくてってだけじゃなくて、時間が止まる感覚をいかに演出するか。そういう異世界感を演出したいというのはありますね。

それは僕が小さい時に、例えばここで一人で留守番している時に、「怖いなぁ」って思っているようなものをこの空間で演出したいと言うのもあるんでしょうけれど。

*1.アメリカのバンド。前衛的な音楽性が特徴。

西洋と和

洋のモチーフ和だけでなく洋のモチーフを入れていくのも、廣さんのこだわり。
―お二人が考える「和」の魅力を教えていただけますか?


「なんか落ち着くよね。」「癒されるよね」と言うのが和にはあると思います。ここに来られるお客様も、長居されるお客様が多いんですよね。

普段の日常って時間に追われる日々を、私もそうですけど、過ごしていると思うんですよね。

そんな中で、畳の、い草の匂いを嗅ぎながら、熱いお茶を飲んでとか。そのような本来日本人が求めているような空間っていうのが、和にはあるんじゃないかと思います。茶話を初めてそれに気がつきましたね。


日本人としてのアイデンティティっていうのが僕らの血の中にある。

ここに来て懐かしいと思う感覚って言うのは、その血が、ここにきて初めて「おぉ」って騒ぎ出すってことなんだと思うんですよね。

逆に、それだけ身の回りに和のテイストが減っていってると言う事なんだろうなと思うので、そう言う経験をした事がない若い人でも、ここに来るとなんか落ち着く。血が騒ぐ。そう言うのを体験してもらいたいですね。

―お客様からはどんな声を頂きますか?
テーブル席畳の部屋のテーブル席が意外にも人気だという。 


今、店内にかかっているBGM、*2ジュリーロンドンなんですけど、和室でかかっているジュリーロンドンが凄く良いって声をいただいたことがあるんですね。多分その、年配の方からしたら自分たちの憧れである西洋の大スターの音楽が和室でかかっていると言う感覚も、凄く不思議なんだと思います。

―和だけじゃなくて、西洋のものもあると言う


西洋のものが入ってきて、それを日本人がどう消化しようかとしている時の、バランスの悪さみたいなものを、僕らの上の世代の人たちは経験してきていると思うので、それを再体験してもらいたいって言うのもあるんですよね。


畳とテーブルっていう組み合わせも、いい味を出していると思います。


僕の予想では、あぐらをかけるところに座るのかなと思ったんですけど、意外と畳と椅子のところに座るお客様が多くて、そこも面白い効果だなと思いました。

デート静かな落ち着いた雰囲気は、デートにも最適。

―昔の日本の暮らしというよりも、明治になって西洋の文化が入ってきて、大正になってそれが庶民にも広まってきた。そこで日本人が何を思ってきたのか。そこも体感できると。


僕が民芸の方に偏らないのもそこなんですよね。気がついたら、大昔にそういう経験をしていたのが、今ここにあるという。

―これから、どんなお店にしていきたいですか?
メニュー表現在のメニュー展開は、3つ。デザートの梅サイダーも人気。


カレーの味を守る、商売として成立させる、繁盛させるのは当然の話ですけど、繁盛すると今度は癒しの空間としてどこをどういう風に維持させていくかというのも問題になっていくので、そこはこれから先の大きな問題であると思っています。

お店のコンセプトを守っていくというのが、僕の責任としてあるかなと思います。

*2.アメリカの女優・歌手。戦前は女優として活躍。戦後からは歌手としても活躍した。

自分が信じた通り生きていっていい

レコード店内にあるレコードは、廣さんにリクエストすれば聴くことができる。撮影中に、筆者お気に入りのレコードをかけて頂いた。
―最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。


先ほど話した、小さい頃の自分の写真を見て、その子に声をかけてあげたいとい言う気持ちですね。「自分が信じた通り生きていっていいよ。」って。

自分自身がこんなお店を持つなんて事は、本当に思ってもいなかったし、お客様から「美味しかったです。また来ます。」ってお声かけ頂くなんて事は、想像もできていなかったので。

今夢を持っている人っていっぱいいると思うし、その夢を諦めながら生きていくと言う作業をしている人たちもいっぱいいると思うんです。

自分の中に秘めた想いを持った人たちが、きちんと前に進んで働ける。

そこの部分に僕は、本当はダイレクトに接して応援してあげたいなと言う想いはありますし、接していない人にも、この想いが届いてくれたらなと思います。

壁当時の家の趣が所々に残っている。優花さんが小学生の頃、お祖父様が身長を測った跡が残っている。


まずは、開業して3ヶ月しか経っていないので、多くの人にこのお店を知ってもらいたいなと思います。なので、まずはカレーを食べに来てもらって、そこでまた来たいなって思ってもらいたいです。

その先に、先ほど父が言った通り、どんな年代になっても夢を諦めずに、実現できることって可能なんだなと、自分らしく生きていける、そういう生き方が今は本当にできるんだというのを、このお店を通じて伝えていけたらと思います。

―素敵なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。


ありがとうございます。

収録日:2021年10月21日(木)


Curry&Cafe 茶話sawaについて

Curry&Cafe 茶話sawa

一度食べたら忘れられないスパイスカレーと、和の雰囲気、そして古今東西の音楽を楽しめる、Curry&Cafe茶話sawaは、太宰府天満宮境内のすぐ傍にあります。

店内

一見普通の民家に見えても、一歩中に入ればそこは異世界!普段の日常を忘れて、まるで時間が止まったかのような感覚を味わえます。

お店に関する詳細は下記の通り。皆様も、太宰府にお越しの際はぜひ足をお運びください。常連になること間違いなしです!

◆Curry&Cafe 茶話sawa◆

営業時間 11:00〜無くなり次第終了
定休日 不定休
住所 福岡県太宰府市宰府4-8-2
TEL 090-1975-3418
SNS @curryandcafe_sawa

ご覧いただき、ありがとうございました。

株式会社イケヒコ・コーポレーション
ライター 伊東朋宏

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