盆景とは?

盆景とは?
盆栽と似た言葉に盆景があります。
盆景という言葉は知らなくとも、実はすでに盆景を目にしたことがある方も多いはずです。今回はそんな盆景の概要や、盆栽や箱庭との違い、材料や作り方などをご紹介します。

盆景とは小さな自然風景

盆景とは小さな自然風景
盆景とは、器やお盆の上に植物や石、苔などを用いて小さな自然風景を作り出し、それを鑑賞する日本の伝統文化であり、伝統芸術です。
盆景の起源は中国の唐の時代(618年〜)までさかのぼり、当時は盆梅などと呼ばれていたようです。 その後、盆景は中国から朝鮮半島を経て、鎌倉時代(1185年〜)に日本へと伝わったといわれており、日本に伝わってからは日本独自のスタイルへと変化していきました。

なお、現代においては盆景のためのミニチュアグッズなども多く販売されており、中国や日本のみならず、東南アジア諸国やオーストラリアなど、世界中で愛される文化・芸術になりつつあります。

盆栽や箱庭との違い

盆景と盆栽は似ているようで少し異なります。盆栽は基本的に一種類の植物を一つの鉢に植え、その植物の幹や枝の形、葉の付き方や花の咲き方など、植物そのもののみを手入れし、鑑賞するものです。
一方、盆景は植物だけではなく、石や苔、ミニチュアアイテムなどの小物を用いて小さな世界を作り、鑑賞します。 木を間近で眺めることが盆栽だとすれば、盆景は木を含めた風景全体を眺めるイメージといえるでしょう。

また、盆景に似たものには箱庭もあります。 箱庭はその名のとおり浅い箱に土や草木、橋や家のミニチュアアイテムなどを入れて小さな庭を作るものです。 盆栽と比較すると箱庭の方が盆景に近いイメージですが、箱庭がリアリティを求める傾向であるのに対し、盆景は理想郷的なものを求める傾向にあるといえるでしょう。

盆景を構成する要素

盆景は主に盆石、盆山、盆庭の要素から構成されています。 まず、盆石とは、大小さまざまな石、あるいは岩を用いながら自然を表現したもので、盆山は石や岩を積み重ねて山を表現したものです。
盆石が石や岩を点在させる演出方法であるのに対し、盆山は石を積み重ねることで山の壮大さを表す演出方法といえます。 そして盆庭は、盆石に苔や樹木、小物などを用いて豪華にしたもので、箱庭に近いイメージです。

それぞれの要素のみでも成り立つものではありますが、盆景はこれら全てが交じり合うことによる総合芸術のような側面を持っているのです。

盆景の材料

盆景の材料
盆景では、必要な材料を自由に組み合わせながら自分がイメージする世界を作り上げていきます。そのため、用いる材料に決められたルールはなく、あえて言うのであれば思い描いた景色を表現できるだけのお盆や器が必須といったところでしょう。
ここからは、盆景を作る上で用いられることの多い材料を紹介します。

お盆や器

盆景に使用するお盆やお皿に決められたものはありませんが、水を使用するのであれば生け花に用いられる浅型の花器がおすすめです。景色を作るために使用する砂や石、植物などとのバランスを考えながら選びましょう。

植物

盆景に使用する植物は、基本的に植え替える前提ではありません。生け花のように季節や場面に応じて変えるものではなく、年間を通して楽しめてかつ丈夫な植物を用いるのが良いでしょう。松や椿、クチナシなどは比較的丈夫なため盆景にはよく使用されることが多いです。

盆景では、より自然の風景に近づけるために苔が用いられることが少なくありません。一例としては乾燥に強い花のような形のスナゴケや、ふんわりとした雰囲気のオキナゴケなどがあります。

岩・石・砂

岩や石、砂は盆景においてはメインとなりやすい材料です。 自然にあるもの、販売されているもの、どちらを用いても構いません。
例えば砂に関していえば、鉢植えの土の表面だけに被せたり、水槽などに用いる化粧砂といわれる専用のものを使用したりと、使い方も使用する砂の種類もさまざまです。自分の理想に近い砂を選んで使っていきましょう。

その他の小物

盆景ではここまでに紹介した自然の材料以外にも、人や鳥、魚、橋、建物などのミニチュアアイテムを用いることもでき、盆景用に販売されているものもあります。 ただし、盆景の主役はあくまでも石や植物などの自然の材料ですので、バランスを意識して使用する必要はあるでしょう。

盆景の作り方

盆景の作り方
盆景の基本的な作り方としては大きく次の7つのステップが挙げられます。
  • 1. 全体のイメージを考える
  • 2. 必要な材料を揃える
  • 3. お盆や器に植物を配置する
  • 4. お盆や器に土を入れて固定する
  • 5. 石や岩、砂を配置する
  • 6. 苔を張る
  • 7. 小物を配置する
もちろん作っている途中にアイデアが浮かんだら途中で配置や材料を変えることも可能です。

また、植物を用いた盆景では定期的に水やりを行い、日光に当てることで植物の状態を維持していくことも大切です。 基本的に水やりは霧吹きなどで少しずつ行い、日光を当てる頻度は3日に1回程度が目安となります。

盆景で自分の理想郷を表現しよう

盆景は自分の思い描く世界観と材料があれば、誰でも始めることができるものです。また、盆景は盆栽と同様に植物を扱うことになるので、植物を愛でるという意味での配慮は必要ですが、難しく考えすぎず、自由な発想で楽しんでみてはいかがでしょうか。
ぜひあなただけの小さな理想郷を表現してみてください。

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