こどものときに経験する「七五三(しちごさん)」 晴れ着を着て美味しい千歳飴を食べた経験をお持ちの方も多いと思います。
この行事、一体何のために行うものだったのかご存じでしょうか?
この記事では、七五三の持つ意味や歴史、年齢ごとに変化する服装のお話、そのほか甘くて美味しい千歳飴の情報まで詳しく解説しています。
七五三の歴史をしっかり深掘りしていますので、この行事に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
目次
七五三(しちごさん)とは?
七五三とは、子供が3歳、5歳、7歳になった成長を祝う日本の行事であり、神社やお寺などで神様に報告を行う「七五三詣で(しちごさんもうで)」というものを行います。
男の子、女の子を問わず、かわいい晴れ着を着て七五三に参加し、お祝いとして千歳飴をもらう。
また、年齢ごとにちょっとした儀式を行うという人生のうちに2~3度経験するこどもの頃の楽しいイベントです。
古くから行われている伝統的な行事であることから、現代でも各年齢を迎えた多くのこども達がこのイベントを楽しんでいます。
七五三の歴史
七五三の歴史は諸説ありますが、その中でも有力な説としておよそ350年前の江戸時代に徳川家の城主「徳川徳松」がこどもの健康を祈るために始めたものだと知られています。
当時は江戸の関東圏のみで行われていた地域的な行事でしたが、少しずつ行事が広まっていき、今では全国的に知られるこどもの行事として浸透しました。
そんな七五三がはじまった由来、そしていつ行われているのかについてご紹介します。
由来
江戸時代など、現代よりも医療技術が発達していない時代には、飢饉や病気のまん延、また衛生面も良くなかったため、こどもたちの命が失われやすい環境となっていました。
また、早く亡くなるこどもが多かったことから、江戸時代あたりまでは7歳を迎えると一人前であると認められていたそうです。
そのため、7歳を迎えるまでにやってくる縁起の良い奇数3、5、7にお祝いが行われていたと言われています。
七五三は晴れ着を着て神社・お寺で行うため、神様に子供の健康を願う意味で庶民、皇族を問わず行われていました。
いつ?
七五三を行う日付は11月15日が一般的です。
ただし、日本の旧暦では11月が収穫の時期であり、その実りの感謝にあわせて七五三を行っていたため、11月中のおやすみに合わせて実施されていたと言われています。
このとき、寒冷地では収穫の時期が1か月程早まるので、10月に行う場合が多かったそうです。
地域差によって少しずつ変化しながらも、全国的に行われている行事であることから、根深い歴史を持つこども行事であることがうかがえますね。
各年齢の意味
七五三は名前の通り、3歳、5歳、7歳の合計3回行う行事です。3回も行事を行うことには意味があり、年齢ごとに神様へ報告・祈願する意味が変化してきます。
そしてこの行事、七五三の発祥地である関東、そしてその他の地方で行う年齢が違ってくるのをご存じでしょうか。
こちらについてもそれぞれ深掘りしていきます。
関東
まずは発祥の地である関東、七五三はそれぞれ次の年齢で行われます。
- ●3歳(男の子・女の子):「髪置き」こどもが髪を伸ばし始めるときの儀式
- ●5歳(男の子):「袴着」男の子がはじめて袴をつける儀式
- ●7歳(女の子):「帯解き」女の子がはじめて帯を結ぶ儀式
以前までは男の子・女の子で行う年齢が違っていたため、人生で2回の七五三を経験していましたが、近年では性別を問わず、男の子・女の子ともに3回行うのが一般的になっています。
他の地方
基本的には、関東と同じ年齢で七五三を行っていきますが、地方によっては次のようなアレンジの加わった七五三が開催されます。
- ●七五三、十三詣り(13歳の数え年になったとき行うお祝い)
- ●福岡県のある地区で行われる行事
- ●4~5歳(男の子・女の子):「ひもとき」
- ●7歳(男の子):「へこかき」ふんどしを身に付ける
- ●7歳(女の子):「ゆもじかき」湯文字という下着を身に付ける
- ●出雲地方では、3歳、5歳、7歳は厄の年であるため七五三を行い厄払いするという考えもある
このように、地方ごとに違うお祝い方法があるのも七五三の面白いポイントですね。
七五三の服装
子供が晴れ着を着て行う七五三、古くからの風習をもつ行事であることから、男の子・女の子で晴れ着の種類が変化します。
そこで、七五三のなかでも一般的な関東の七五三の服装について詳しくご紹介します。
三歳女児
3歳の女の子は、赤色のかわいい模様付きの和装に無地の下着、「丸ぐけ」と呼ばれる細長い紐で帯締めを行う格好をします。
手には扇子と筥迫(はこせこ)という小さいバッグをもち、神社を訪問します。
近年では、かわいい髪飾りを付けたりと、七五三の服装にもバリエーションが増えてきていますので、女の子がすきな服装ができるようになっています。
五歳男児
5歳の男の子は、熨斗目(のしめ)という模様付きの長着と羽織り、そして羽織には細長い羽織り紐というものを通します。
手には真っ白な扇子を持ち、かっこいい和装で神社を訪問します。
羽織りには、熨斗目模様にあわせて兜や竜など男の子心をくすぐるデザインを載せてある和服も選べるので、こちらも男の子がすきな服装ができるようになっています。
七歳女児
7歳の女の子は、3歳の頃に着た和服とは違い、本裁ちのしっかりしたこども用振袖(小振袖)を着用します。
帯締めなどは3歳のときと同じように「丸ぐけ」を使用するなど、大きな違いはありません。
小振袖を成長しても着られるように、大人向けの「五つ紋」と呼ばれる格式高い着物にしておく場合もあるそうです。
親の服装
七五三は、主役のこどもだけでなく、その両親も服装を考える必要があります。
このとき、子供と合わせて和装をする親もいますが、最近では男性ならスーツ、女性ならワンピースやセレモニースーツを着用することも多くなっています。
また、次に示す服装は基本的にNGとされていますので、注意して服装を選んでいきましょう。
- ●カジュアルすぎる服装
- ●派手な服装
- ●こどもよりも格式が高い服装
千歳飴(ちとせあめ)について
七五三のときにもらえる「千歳飴」は、ただ甘くて美味しいお菓子というだけでなく、意味や歴史のあるお菓子なんです。
かわいい見た目をした千歳飴がどういったものなのか、ひとつずつ解説していきます。
千歳飴とは?
千歳飴とは、細長い飴を固めてつくったハードキャンディーであり、大きいものだと長さ1m程度の物もあります。
デザインやカラーにバリエーションがあり、模様が入ったストライプ状の飴もあれば、シンプルデザインだけど、飴の断面に絵や文字が書かれている千歳飴なども販売されています。
お祝い用の紙袋に1本入れて手渡される場合が多く、この飴を食べて長寿を願うのが七五三のイベントのひとつとなっています。
由来・歴史
千歳飴は文字通り「千年」「長い年月」という意味を持ち、こどもの長寿を願うために渡すお菓子です。
細長い見た目には「細く長く生きてほしい」という意味を持たせてあり、かつて病気などが蔓延していた江戸時代で健やかに成長してほしいという意味が込められています。
千歳飴の歴史は七五三が登場した江戸時代までさかのぼることができ、当時貴重だった砂糖を使うことから、お祝い事のときのみ食べられたお菓子となります。
製法
千歳飴は地方ごとに形状や色が異なっています。
そのなかでも関東の千歳飴が一般的な形として知られています。千歳飴の製法はとてもシンプルで、次のような工程でかわいい千歳飴が完成します。
- ●水あめと砂糖を140℃の鍋で煮詰める
- ●ドロドロになった飴を冷やしつつ練り混ぜて空気を加える
- ●固まり出してきた飴を転がして細長くしつつ、適当な長さで切断する
模様や色を加えるときには、着色した飴を重ね合わせて細長く転がして作られており、古くから千歳飴を作るお店では手作業で飴づくりが行われているそうです。
まとめ
以上、日本の伝統行事「七五三」について解説しました。
日本で暮らすこどもなら、ほとんどの人が経験するイベントであり、当初は楽しい行事だということだけを考えて参加したはずです。
その七五三には古い歴史があり、子供の健康を祈る大切な役割があります。
日本全国いろんな場所で行われているイベントとなりますので、この機会に七五三について詳しく学んでみてはどうでしょうか。