秋の風物詩、月を愛でる「十五夜」とは?その歴史と由来のご紹介

秋の風物詩、月を愛でる「十五夜」とは?その歴史と由来のご紹介
月見を楽しむ秋の風物詩「十五夜」は、日本に昔からある伝統的な行事です。 ただ、十五夜という時期があるのは知っているけど、具体的にどのようなことを行うのか分からない人も多いでしょう。

この記事では、十五夜の特徴と歴史、そして十五夜のお供え物や料理について解説しています。 9月にやってくる十五夜を楽しく過ごすためにも、ぜひチェックしてみてください。

十五夜とは?

十五夜とは?
秋になるとよく聞く「十五夜」、お月見やススキの景色、月に浮かぶウサギの模様といったイメージが浮かぶ人も多いでしょう。 では、この十五夜はいったいどのような行事なのでしょうか。 まずは、十五夜の概要を理解していただくために、日程や名称に関する知識をご紹介します。

十五夜のことを深く知るためにも、ひとつずつ見ていきましょう。

秋の収穫に感謝する行事

十五夜とは、秋の風物詩として有名な行事であり「秋の収穫」に対して感謝するという行事なんです。

月がきれいに見える日のことを「十五夜」と呼んでおり、9月に農作物を収穫できたことに対する「感謝」を神様に伝える行事です。 収穫した農作物の一部を神様にお供えすることから、ススキやお団子、収穫物を自宅玄関や窓際に飾り付けるという風習があります。

今年の十五夜はいつ?

2022年の十五夜は9月10日(土曜日)です。

十五夜の日付は、その年の満月が出る日であるため、毎年同じ日付に十五夜が来るとは限りません。 十五夜の夜には、飾り付けお供え物の準備が必要ですので、9月9日までには必要なものを揃えておきましょう。

別名、中秋の名月

十五夜は、別名「中秋の名月」と呼びます。 9月の中で一番キレイに月が見える日のことであり、2022年9月10日のことを「十五夜」「お月見」「中秋の名月」といった様々な名称で呼びます。

余談ではありますが、十五夜という言葉、じつは毎月の月がきれいに見える日のことを指し、年に12回も十五夜があるんです。 これに対し、中秋の名月は年に一度しか来ないため、2022年9月10日という日は、中秋の名月と呼ぶのが正しいのです。

十五夜お月見の歴史や由来

十五夜お月見の歴史や由来
日本に古くからある十五夜のお月見という行事。 これには、いったいどのような歴史があるのでしょうか。

ここでは、長く親しまれている十五夜の歴史と、お月見を行う由来についてご紹介します。

十五夜の歴史

日本における十五夜の歴史は、はるか昔の平安時代までさかのぼることができます。

紫式部が書いた「源氏物語」の中にも「月の宴」という言葉が登場するように、この時代には貴族階級の人たちが毎年の秋の収穫を感謝するために、十五夜の行事が行われていました。

当時のお月見は、宮廷や屋形船に貴族が集まり、お酒や管弦を楽しんでいたと記されています。 ここから、にぎやかで楽しい行事だということがうかがえます。

宮廷の池やお酒の盃に映るまん丸の月を眺め、自分たちの行く末を考える。 戦(いくさ)などが多い時代、貴族たちにとって重要な行事だったのでしょう。

また、当初は貴族階級の人たちだけで行われていた十五夜のお月見ですが、次第に一般庶民にも広まっていき、家族で家に飾りつけをしたり月見団子を食べる行事へと、小さく変化していきました。

十五夜の由来

十五夜は日本発の文化ではなく、中国から伝わった文化だと言われています。

十五夜のお月見自体は、今から3000年ほど前に生まれた文化であり、伝統的なお祭りなどの行事として広がったのは唐の時代(618~907)です。

その後、日本にやって来た中国人が、十五夜について記された「中秋節」を日本に伝え、貴族に広まったとされています。

秋の収穫を感謝するという考え方は、現代まで続いている面白い文化ですので、古人たちの気持ちによって紡がれた大切な行事だということがうかがえます。

お月見飾りやお供え物

お月見飾りやお供え物
十五夜には、自宅にお月見飾りやお供え物を用意します。 その中でも代表的な3つをご紹介します。

すすき

すすき
秋に群生する「すすき」は、お月見を代表する飾り物のひとつです。 古くからすすきを表現した和歌が謡われており、源氏物語や枕草子でもススキが登場する描写が用いられています。

黄金色のシャラシャラと音を鳴らす「すすき」は、秋に収穫されるお米の稲穂に似ていることから、これからの収穫を願い、稲穂の代わりに飾られていたと言われています。

また、すすきは古くから「神様の依り代」と考えられており、悪霊や災いから秋の収穫物を守る目的で、玄関や窓辺に飾られていたそうです。

お団子(月見団子)

お団子(月見団子)
お月見の中で、最も有名なのが「お団子」です。 白くまん丸なお団子は「月見団子」とも呼ばれ、ピラミッド状に積み上げた姿は、現代でもよく見かけます。

月見団子は、江戸時代から飾られるようになったと言われており、お米を粉末状にして作った月見団子を満月の形に見立てることによって、来年の秋も問題なく収穫できるようにと祈られていたそうです。

農作物(里芋・栗)

農作物(里芋・栗)
前項の2つが主な飾り物、お供え物として有名ですが、十五夜は秋の収穫を感謝するために行われることから、収穫できた農作物も一緒にお供えされていました。

秋の収穫物として代表的なのが里芋や栗であり、月見団子と一緒に並べて玄関や窓辺に飾られていたそうです。

また、生活する地域によっては柿やキノコなどがお供えされていたと言われています。

十五夜に食べたいお料理

十五夜に食べたいお料理
現代でも長く親しまれている十五夜ですが、このときに味わえる美味しい料理が4つあります。

その時期に食べたくなる魅力的な料理ばかりなので、今年の十五夜に合わせて準備してみてはどうでしょうか。

月見うどん、月見そば

簡単かつ安定したおいしさを感じられるのが「月見うどん」「月見そば」です。 素うどんやそばの上にかまぼことネギ、そして月に見立てたまん丸の半熟卵を載せた料理です。

だしの効いた美味しい料理であり、その美味しさのせいか、お月見とは関係なく日本のうどん屋さんで季節を問わず注文できます。

月見団子

米を粉末状にしてお団子を作る「月見団子」は、モチモチ食感を楽しめる美味しいスイーツです。 作り方は簡単で、市販の団子粉と水と混ぜ、形を整えた団子を熱湯でゆでれば完成します。

飾り付けが終わったら、砂糖醤油やきな粉、あんこなど様々なトッピングで味わえるので、大人・子供を問わず人気の食べ物です。

栗ご飯、サツマイモご飯

研いだお米の中にお醤油、ダシ、そして秋の収穫物である栗やサツマイモを入れた「栗ご飯」「サツマイモご飯」も十五夜に人気の料理です。 ホクホクの食感と、甘味の効いたつやつやなお米がかなり美味しく、炊きあがったご飯の上にゴマ塩を振りかければ、さらに美味しさを際立たせることができます。

けんちん汁

秋の具材をたっぷり使った煮物「けんちん汁」は大勢で味わえる美味しい料理です。 使う具材は、大根、ニンジン、ごぼう、こんにゃく、豆腐であり、ダシと醤油、みりんなどで味付けします。

少し肌寒さを感じる9月だからこそ美味しさを感じる料理ですので、ぜひ味わってみてください。

まとめ

以上、9月に行われる十五夜(お月見)の特徴や歴史、そしてその時に食べられる料理について解説しました。 古くから、秋の収穫に感謝する行事であり、農家では現代も変わらずその行事が行われています。

また、十五夜にぴったりな美味しい食事が沢山あるので、当日にむけて料理を準備し、長い歴史のある行事を実際に体験してみてはいかがでしょうか。
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