和室の襖(ふすま)の種類を分かりやすく解説

ふすまの種類を分かりやすく解説

ふすまの種類を分かりやすく解説
和室に欠かせないふすま(襖)には、色々な種類があることをご存知でしょうか。ふすまに使用する襖紙にも種類があり、ふすまの種類によっても適した襖紙や襖縁の張り方が変わります。 この記事では、ふすまの種類と襖紙の種類、襖紙を選ぶポイントを紹介します。ご自宅に和室がある方や、新築やリフォームで和室を作る予定の方は参考にしてみてください。

ふすま(襖)にはいろいろな種類がある

ふすま(襖)にはいろいろな種類がある
ふすま(襖)は大きく分けて「和襖」と「戸襖」「量産襖」があります。和襖と量産襖はさらに種類が細かく分かれるのですが、和襖・戸襖・量産襖かで襖紙の張り方が変わりますので、どちらの種類なのか見分けられるようにしておきましょう。

和襖

和襖
和襖とは、古くからある伝統的なふすまで、多くの住宅で使用されているふすまです。組子襖と呼ばれることもあります。ふすまの内部に骨組みがあり、その上に下張りといって、何枚もの紙が貼られているのが特徴です。下張りの上から浮かし張りという手法で襖紙を張り替えできます。 和襖の場合は襖縁を隠し釘という手法で取り付けますが、簡単に縁が外せるので、縁のデザインを変えて楽しむことも可能です。和襖は4つの種類に分けられます。

1. 本襖

最も伝統的なふすまのことです。何度でも張り替えができ、高級感のある本格的なふすまに仕上がります。

2. 在来襖

障子のような骨地に下張紙と胴張紙を張り、その上から襖紙を張ります。何度でも張り替えが可能です。

3. チップボール襖

骨地にホットプレス機を使って耐水・耐高圧の下張紙を張り上げるふすまです。その上から何度でも襖紙を張り替えられます。和襖の中では量産に対応しています。

4. ペーパーコア襖

内部の組子の中にペーパーコアを入れ、その上から下張り紙を張って仕上げるふすまです。浮かし張りで何度でも襖紙を張り替えられます。中部地方と近畿地方の一部で普及しているふすまです。

戸襖

戸襖
和室と洋室の間仕切りとして使用されるふすまです。現代の家屋は洋室がメインのことが多いので、和室と洋室を仕切るこのふすまが使われます。 戸襖は組子にベニヤ板を貼って作られていることが多く、和襖よりも重量があり丈夫です。そのため、比較的防寒性や防音性に優れ、部屋の仕切りに適したふすまです。

量産襖

量産襖
マンションや建売住宅に使用される事が多いふすまで、文字通り量産が可能です。量産襖は襖紙をベタ張りするため、今ある襖紙を剥がして張り替えることができません。張り替えるときは、今ある襖紙の上から新しい襖紙を重ねて張ります。襖縁はボンドで取り付けられているため、外せません。

1. 発泡系襖

発泡系襖は発泡プラスチックを下地にし、その上にチップボール紙とアルミ箔を貼って、最後に襖紙を貼り付けるふすまのことです。関西から中部の一部地方で普及しています。

2. 段ボール芯襖

段ボール芯襖は、段ボール紙を何枚か貼り付けて層にし、それにアルミ材を貼り付けた上から襖紙を貼り付けるふすまのことです。関東を中心に普及しているふすまですが、中部地方や関西地方でも使われることがあります。

3. ペーパーコア芯襖

ペーパーコア芯襖は、ペーパーコアを下地とし、それにアルミ箔とチップボール紙を貼り付けて上から襖紙を張り付けるふすまのことです。関西の一部の地方で普及しています。

ふすまに使う襖紙の種類

ふすまに使う襖紙の種類
どのふすまでも最後には襖紙を張りますが、襖紙にもいくつか種類があります。

和紙襖紙

和紙襖紙は日本で伝統的に使われているスタンダードな襖紙で、比較的リーズナブルです。和の風合いがあり、和室によく合います。さまざまな種類の和紙を使った和紙襖紙があるので、種類によって印象が大きく変わるのが特徴です。

織物襖紙

天然繊維を織り込んで作られた襖紙を織物襖紙といいます。和紙襖紙よりも強度が高く、耐久性があるのが特徴です。天然繊維を使ったものと合成繊維を使ったものがあり、折り目が繊細なのは天然繊維を使った織物襖紙です。合成繊維の織物襖紙は粗い目が特徴で、和室に個性が生まれます。

アイロン接着襖紙

文字通りアイロンを使って簡単に接着できるのが、アイロン接着襖紙です。DIYでふすまを張り替えたい人に人気があります。色や柄が豊富で、和を感じさせるものもあれば、モダンなデザインやポップなデザインもあるので、お部屋の雰囲気がガラッと変わります。

再湿のり襖紙

襖紙の裏面にのりがついている襖紙のことです。水につけるとのりが溶けて張り替えができる仕組みで、こちらもDIYでふすまの張り替えをする人に人気があります。アイロン接着襖紙よりは貼る時にコツが必要ですが、本格的な仕上がりになるのが特徴です。

シール襖紙

襖紙の裏面がシールになっている襖紙です。シールを剥がせば簡単にDIYで襖紙の張り替えができます。量産型のふすまの場合は襖縁が取り外せませんが、シール襖紙なら縁を外さなくても張り替え可能です。一人で接着するのは難しいので、二人以上で張り替えるといいでしょう。

襖紙を選ぶ時のポイント

襖紙を選ぶ時のポイント
先ほど紹介したように襖紙にはさまざまな種類があります。また同じ和紙襖紙でも和紙の風合いや色によって見た目に大きな違いがあり、そのほかの襖紙も使用している素材やデザインによって印象が大きく変わります。 張り替えをするとき、どんなポイントを意識して襖紙を選べばいいのでしょうか。ポイントを紹介します。

ポイント 1. 好みのデザインで選ぶ

襖紙は使用している素材や織り方、加工法、グレードなどで、肌触りや見た目の印象が全く変わります。せっかく襖紙を張り替えるのですから、この機会に自分好みのデザインを選んで、自分好みの部屋にしてみてはいかがでしょうか。ふすまは面積が大きいので、張り替えをすると部屋のイメージが一新されます。 モダンなデザインやポップなデザインを選びたいのであれば、アイロン接着襖紙やシール襖紙が種類豊富でおすすめです。和室ならではの良さを出したいのであれば、和紙襖紙や織物襖紙のなかから好みの風合いやデザインを選ぶといいでしょう。

ポイント 2. 張り替えやすさで選ぶ

最近はDIYが流行っていることもあり、襖紙を自分で張り替えるという人も増えています。自分で張り替えを行うのであれば、張り替えが簡単にできるアイロン接着襖紙かシール襖紙がおすすめです。これらの襖紙は初めて張り替えを行う人でも、比較的簡単に張り替えできます。 再湿のり襖紙もDIYできる襖紙ですが、アイロン接着襖紙やシール襖紙よりもコツが必要なので、初めての人には難易度が高いかもしれません。ただ、再湿のり襖紙ならDIYしたとは思えない美しい仕上がりが期待できます。 和紙襖紙や織物襖紙もDIYでの張り替えができないわけではないのですが、専用の工具が必要だったり、難易度が高かったりするので、自分で張り替えるのには向いていません。

ポイント 3. ふすまの種類で選ぶ

縁が外せない量産襖なら、縁を外さなくても張り替えができるシール襖紙を選びましょう。アイロン接着襖紙や再湿のり襖紙はDIY向きですが、縁を取り外さないと張り替えができません。縁が取り外せる和襖であれば、どの襖紙でも張り替えできます。

ポイント 4. 機能性で選ぶ

最近の襖紙には消臭機能や防炎機能がついている襖紙もあります。使用する部屋によって機能性のある襖紙を選ぶのもおすすめです。防汚効果がある襖紙があるので、小さなお子さんやペットがいるご家庭は、汚れがつきにくい襖紙を選ぶといいでしょう。 また湿気がこもりやすい1階の部屋などは、カビが発生しづらい和紙襖紙がおすすめです。

ふすまの種類を知っておけば自分で張り替えるのも簡単

ふすまの種類を知っておけば自分で張り替えるのも簡単
ふすまは和襖・戸襖・量産襖があります。いざ襖紙を張り替えようと思った時にふすまの種類がわからなければ、最適な襖紙が選べません。どのふすまの種類なのか知っておくことが大切です。ご自身で見分けられない場合は、施工業者に相談して、自宅のふすまの種類を確認しておきましょう。
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