自宅を新築したり建替えしたりするのに業者と打ち合わせする際、スムーズに進めるためにもある程度建築用語を知っておきたいと考える人もいるでしょう。
特に、部屋の部分名称は知っておくと便利です。
今回は和室の部分名称についてご紹介します。
伝統的な和室の内装を構成する主な部分の名称は覚えておくと便利
伝統的な和室を構成する部分の名称は次のとおりです。
建具(襖・障子)については省略しています。
敷居(しきい)
敷居は和室開口部の下にある横材で、襖などの建具をスライドして開閉するための溝があります。
「敷居が高い」という言い回しがありますが、昔の住宅の玄関は引き戸が多く、家と外の境界線に敷板あったため、そう言われるようになりました。
鴨居(かもい)
鴨居は開口部の上部の横材で、敷居とセットで建具をスライドさせる役割を持っています。
どちらも建具をスライドさせるために溝がありますが、鴨居は深い溝、敷居は浅い溝です。
欄間(らんま)
欄間は和室と和室、和室と縁側の堺になる鴨居の上にはめ込まれている透かしや装飾を施した板のことです。
光や風を通す緩やかな空間の仕切りの役割だけではなく、芸術的な装飾品でもあります。
小壁(こかべ)
小壁は鴨居の上にある、狭い壁のことです。
長押(なげし)
長押は柱と柱を水平につなぐ部材です。元々は構造材でしたが、工法が変化したことで装飾材になりました。
鴨居の上に取り付けられるのが内法(うちのり)長押、天井に接するのは天井長押、柱の下端をつなぐのが地長押と呼ばれます。
床の間(とこのま)
床の間は和室の上座にある、座敷飾りです。
床から一段高く作られており、季節や行事にちなんだ掛け軸や花、置き物が飾られる「和室の顔」です。
和室では床の間の前が上座とされ、主客が座る場所になります。
床の間の名称について
床の間の中にも覚えておきたい名称があります。
正式な床の間は床の間・違い棚・書院(付書院)の3つから構成されますが、個人の住宅では違い棚と書院は省略されるのが一般的です。
床柱(とこばしら)
床柱は床の間の中心的な化粧柱です。
和室の格式によって使われる柱の形状や木材の種類・加工方法が異なります。
- 北山杉(絞り丸太・磨き丸太)
- 黒檀(こくたん)(甲丸・角柱)
- 紫檀(したん)(甲丸)
- 欅(けやき)(甲丸・角柱)
- 楓(かえで)(甲丸)
- 花梨(かりん)(甲丸)
床板・床畳(とこいた・とこだたみ)
床板は床の間の地板のことで、床畳は格式が高い和室に使われます。
床框(とこかまち)
床框は床の間の前に配置する化粧の見切り横材です。塗框と素地框があり、角材・丸太・竹などで作られます。
落とし掛け(おとしがけ)
落とし掛けは床の間上部の小壁を受け止める横材です。
格式によって桐・杉・竹など使われる材料が変わります。
長押や鴨居の高さより上の位置に取り付けられるのが一般的です。
下げ束(さげつか)
下げ束は床の間の小壁や天袋の襖の戸当たり部分に取り付ける短い垂直材です。
立足束(たたらづか)
立足束は床を支えるための束で付書院の下に取り付けられる短い垂直材です。
付書院(つけしょいん)
付書院は床の間と縁側の間に設けられる座敷飾りです。
明かりの入る外部に面した作り付けの文机として考えられたものでしたが、のちに床の間に組み込まれるようになりました。
廻縁(まわりぶち)
廻縁は天井と壁が接する部分に取り付ける見切り部材です。納まりの役割があります。
無目(むめ)
無目は溝がない敷居や鴨居のことです。
天袋(てんぶくろ)
天袋は棚の上部に作り付けられた、小さな襖(ふすま)仕立ての物入れです。
襖には絵が描かれたり装飾が施されたり、引き手の意匠を施されるなど床の間の見どころの1つです。
違い棚(ちがいだな)
違い棚は書院造りの床脇として代表的な意匠で、2枚の棚板を段違いに張り出して海老塚(えびづか)でつなげた棚です。
地袋(じぶくろ)
地袋は棚の下部に作り付けられ、襖仕立ての物入れです。天袋より物入れの高さがあります。
前板(まえいた)
前板は床の間と畳の境目に入れる板畳です。
畳はリバーシブルで利用可能
和室には欠かせない畳は、板状の畳床を畳表(たたみおもて)と呼ばれる敷物で包んで作られています。
サイズは縦横比が2:1になる一畳サイズと半畳サイズがあります。畳の表面は5年程度経って痛みや変色が目立つようになったら裏返して使えます。
畳の縁は長い方に畳縁(たたみへり)という布がつき、短い方は畳縁がつかない框(かまち)と呼ばれます。
和室の部分名称には読み慣れない言葉がたくさん
和室には細かい部分1つ1つに名称があります。自宅を新築したりリフォームで和室を作るために業者と打ち合わせする際などに知っておくと便利です。
名称には普段読み慣れない言葉もたくさん登場しますが、和室の計算された美しさを楽しむきっかけにもなるでしょう。